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特定小型原付と追いつかれた車両の義務の話。

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特定小型原付は「政令で定める最高速度」が規定されているので、自転車と異なり27条(追いつかれた車両の義務)の対象になります。

 

自転車と同じく左側端寄り通行になりますが、自転車と特定小型原付の差はこれ。

自転車 特定小型原付
並走禁止(19条) 並走は禁止されていない
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特定小型原付と進路避譲義務

(他の車両に追いつかれた車両の義務)
第二十七条 第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)
2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。(以下略)

まず、「できる限り左側端に寄って」の解釈から。
意味合いとしてはこれと同じです。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、特定小型原動機付自転車等にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない

「できる限り」=客観的可能な限度でという意味なので、道路の障害や左側端に穴があるなど左側端に寄れない事情がある場合はそれら道路の危険を避けた上で左側端に寄るという意味。
間違っても通行に適さないエプロン部や側溝上まで寄る話ではない。

 

「できる限り」左側端。
こちらの記事について。 確かに左側→左側端となり、「できる限り」が付属してます。 「できる限り」 以前どこかで書いた記憶がありますが、 「左側端に寄って」 「できる限り左側端に寄って」 この差はなんなのか?という話になります。 これ、一番分...

 

特定小型原付が進路避譲義務(27条2項)が課されるパターンは主に2つ。

①並走時に追いつかれた場合

特定小型は並走が禁止されていませんが、追いつかれた場合には「できる限り左側端に寄って」なので並走を解除する義務があります。

②左側端寄り通行していない場合

特定小型原付は左側端寄り通行(18条1項)なので、左側端に寄れるのに寄らずに通行していて追いつかれた場合には、

左側端に寄る義務があります。
なので事実上、18条1項に罰則を設けたみたいな感じ(18条1項には罰則規定がない)。

 

なお、センターラインがイエロー(はみ出し追い越し禁止)でも追いつかれた場合には「できる限り左側端に寄る」義務があります。
民事判例で4輪車同士では義務がないとしたものがありますが、4輪車同士の判例なので何の参考にもならず。

 

現実問題として特定小型原付のうちキックボードタイプは不安定。
無理に左側端に寄りすぎると安定性の問題から危ないので、だから「できる限り」なんですね。
意味合いとしては「可能な限度で」ですから。

 

このような場合。

車道外側線は道路交通法上何の効力もないのは明らかですが、特定小型原付は27条2項の違反として罰則対象。
自転車は27条2項が適用されないので罰則はありませんが、風潮としては影響するでしょうね。

車道外側線は、道路構造令(昭和45年政令第320号)でいう車道と路肩とを区分するために両者の境界に引かれた区画線であり、その線の外側、すなわち車道外側線と歩道との間の部分も道路交通法上は車道にほかならない

 

大阪高裁 平成3年11月7日(最高裁判所 平成5年10月12日是認)

自転車との差

自転車には政令で定める最高速度が規定されてないわけですが、昭和35~39年までは追いつかれた車両の義務が課されてましたし、並走も禁止されていませんでした。
昭和39年にジュネーブ条約に加入した際に、並走を原則禁止にする代わりに進路避譲義務から削除したとみなせます。

ジュネーブ条約上は、自転車だろうと進路避譲義務の対象ですが、並走を禁止して進路避譲義務を削除。
特定小型原付は進路避譲義務の対象ですが、代わりに並走は禁止されていない。

 

結局、特定小型原付も進路避譲義務の関係から並走できる場面はほとんどないと思われますが、事実上18条1項に罰則規定ができたのと同じなわけ。

 

これが自転車にも影響する面はあるのですが、今後ややこしいことになる可能性もあるので本当にややこしい。

 


コメント

  1. ちゃふてら より:

    これ不思議なのはどうやって追いつかれたことを認知する筋立て立法なんだろうか。
    特定小型原付はミラーの装着義務は無いのだから理屈の上では追いつかれたことはわからない。後方確認の手段が無い。
    背後で音がしたら首を振って後方確認しなさいということか。
    音だけで察知しろということか、昨今のEVだと低速ではほぼ無音。
    「追いついた車両が通行するのに十分な余地がない」これも理屈の上ではわからない。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      認識の点では確かに疑問はありますが、そもそも左側端寄り通行していれば進路避譲義務の問題が起きないわけで、27条以前の問題と捉えたほうが分かりやすいかもしれません。

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