こちらの記事についてコメントを頂いたのですが、
高知白バイ事件については、事案が全く違うので何ら関係がないようなに思うのですが。
高知白バイ事件
高知白バイ事件については、以前解説したことがありますが、
道路外から右折進行しようとして交差点内で白バイと衝突した事故です。
高知白バイ事件の争点は「事実関係」。
○バスは1分程度停止していたと被告人側は主張しているものの、警察・検察側は「バスは動いていた」と証拠を出してきた(ブレーキ痕捏造疑惑)
・被告人側の主張
・警察、検察側の主張
○白バイの速度について、被告人側は「時速100キロ」と主張。検察側は「法定速度を少し越えた程度」。
これら「事実関係の争い」について、裁判所は検察側の主張通りに事実認定した事件です。
対するこちら。
6日の初公判で谷口被告は、起訴内容について「違いはありません」と答えましたが、弁護側は「時速120キロという高速のバイクの接近を予見回避することは不可能。被告に過失はない」と無罪を主張しました。
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報道レベルなので正確にはわかりませんが、「事実」については争いがなく、その事実の下では予見不可能だとして注意義務違反がないことを争っているように受け取れます。
事実関係を争った高知白バイ事件と、事実関係は認めた(?)上で予見不可能だとして注意義務違反の成否を争っていると受け取れるので、問題にしている点が全く違うように思いますが…
高知白バイ事件については証拠捏造の疑いが強いと思ってますが。
違い
高知白バイ事件については、争点は「事実」についての認定。
・被告人側の主張
・警察、検察側の主張
裁判って、まずは事実を争うかどうかから始まり、事実を争ったのか、事実は事実として認めた上で注意義務違反について争ったのかでは全く意味が違います。
前回記事でも書きましたが、右折直進関係では「特別な事情がない限り」は大幅な速度超過直進車を予見する義務はないわけで、
仙台高裁 平成5年2月5日判決のように、指定最高速度を30~40キロ超過した直進車を予見する義務を認めた判例もありますが、理由はこれ。
最高速度が時速40キロメートルと指定されているものの、本件事故は前記のとおり午後10時8分ころに発生したものであり、この夜間の時間帯は、交通量が閑散としており制限速度を遵守せず、時速60ないし70キロメートルで進行する車両も稀でなく、時速70キロメートルを超過している例も認められる。被告人の司法警察員及び検察官に対する各供述調書によれば、被告人は本件事故現場を日頃頻繁に通行しており、このような交通事情については知つていたものと推認される。
仙台高裁 平成5年2月5日
被告人は普段から大幅に速度超過する直進車がいることを知っていたとして、信頼の原則を適用しませんでした。
今回の報道の件は一度不起訴にしたのに検察審査会が「起訴相当」としたそうですが、検察審査会って一般人から選ばれた人たち。
一般人から選ばれた人たちが「起訴相当」としたわけで、しかも報道からすると事実関係は争ってなくて、その事実の下では予見不可能だと主張しているように見えます。
高知白バイ事件は予見可能性の争いではなく、検察側が立証した事実認定がおかしいとして事実認定が間違っていると主張しているわけで、両者は全く関係ない事件にしか見えませんが…
一般人が起訴相当とした点がなんなのか気になりますが、詳しくはわかりません。
争点が全く違うと思われる事案を比較することの意味がよくわかりませんが、仮にですよ。
普段からこの交差点をよく通行するドライバーで、しかも普段から時速100キロ超で直進する車両が多いことを知っていたなら、右折車には注意義務は加重されます。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
検察審査会が起訴相当にしたのは違法濃厚な組織的な一般道での高速訓練を裁判記録に残したいんじゃないかなと穿った見方してしまいます
被告人はたまったもんじゃないだろうけど
コメントありがとうございます。
その発想はありませんでした笑