どこのサイクリングロードでも起こりうる話かなと思うのですが、サイクリングロードって狭いですよね。
サイクリングロードで先行する自転車を追い抜きした際に起きた事故について、ちょっと珍しい事故態様のものがあります。
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サイクリングロードで自転車同士の追い抜き事故
すみません、いきなりですが間違ってました笑。
堤防道路で幅員が3.85mになってますが、よくわかりませんがクルマの通行が禁止されてないらしい。
事故の態様です。
・先行する被控訴人の自転車は、後ろからみてジグザグ左右にふらついていた
・道路左側を通行する被控訴人の自転車を追い抜きしようとして控訴人が右斜め後ろについた際に、控訴人の後方にいた友人が咳払いをした
・先行していた被控訴人は咳払いに反応して右後ろを振り向いた際に、バランスを崩して転倒
・被控訴人が右に転倒した際に、追い抜き中の控訴人自転車と接触し両者転倒
・追い抜き時の側方間隔は長くても1m程度と考えられる
追い抜きしようとした控訴人(追い抜き側)が骨折し、カーボンフレームのロードバイクが全損扱いとして提訴したものの、一審は以下の過失割合を認定。
被控訴人自転車(先行) | 控訴人自転車(追い抜き) |
30 | 70 |
一審判決を不服として控訴しましたが、控訴棄却。
追い抜きしたロードバイクの過失割合を70%とし、ロードバイクの全損扱いも認めませんでした。
いくつか興味深い点があります。
①先行自転車の「ふらつき」については自転車という不安定な乗り物の性質から、26条の2でいう「進路変更」とは同視できないとしている。
②バックミラーがない自転車については後方確認が困難なのに対し、後続自転車は前方確認が容易だとして後続自転車の責任が大きいとしている。
③自転車店が全損と評価したものの、超音波検査で異常が見られない傷だったことや、カーボンフレームの修理・塗装を行う業者が同じ県内に二件あるとして裁判所は全損扱いを認めず。
被控訴人側がカーボンフレームの修理費用の相場を証拠として提出していたことや、超音波検査で異常が見られないことを重視した内容になっています。
あえての話
狭いサイクリングロードにおいて先行自転車を追い越し、追い抜きする際に「右側通ります」などと声をかけるケースがありますが、それによって先行自転車が転倒した場合には責任を負うのでしょうか?(誘因事故)
ふらふらしている自転車を追い抜きする際は、その責任はほとんど後続自転車が負うことになります。
これは一般的に「追い越し、追い抜きは後続車の責任が大きい」ので、自転車同士に限った話ではありません。
まあ、バスに追い越し?追い抜きされた事案において「先行する自転車が悪いYo」と真顔で語るYouTuberがいた気がしますが、単に勉強不足な炎上系YouTuberなんて相手にするだけ無駄な気がしてます。
他のYouTuberでも、「歩道を横切って道路外に出るときに歩行者妨害しなければ一時停止義務はない」などと真顔でデタラメを語る人とか、
「歩行者は法で定義されてない。歩道通行の自転車は歩道を通行する者だから歩行者だ。」などと意味不明な話をする人とか、
事故にあった自転車の、自転車ライトが落下していた映像をみて「イヤホンっすね」「自転車の乗り方が気にはなります」などと被害者の名誉を侵害する人とか、
なんでYouTuberって、こうメチャクチャになる人が多いのか不思議ですが、きっと真面目に勉強しているYouTuberもいるのでしょうから「YouTuberガー!」なんてまとめ方しちゃダメなんでしょうね。
たまたまおかしなこと語る人がYouTuberだっただけで。
改める気がない人に力説しても、無力だよなあとしみじみ感じます。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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