既に警察庁の有識者会議の内容は書いてますが、
有識者会議の内容には書いてない内容が報道されています。
追い抜きに関する規定は、「自動車が自転車の右側を通過する場合、十分な間隔がない時、自動車は間隔に応じた安全な速度で進行する」よう義務づける。同じ状況で自転車には「できる限り道路の左側端に寄って通行する」義務を課す。
「十分な間隔」や「安全な速度」の具体的数値は法令では規定せず、今後検討して目安を定めて示す。間隔は1~1・5メートルが基本になるという。速度については、自転車は通常時速20キロくらいで走ることが多く、追い抜く車はそれを5~10キロ上回る速度が目安になるという。
自転車追い抜き時、車に罰則付き義務 ながら運転禁止 道交法改正へ:朝日新聞デジタル警察庁は21日、道路交通法の改正原案をまとめた。車が自転車を追い抜く際、「間隔に応じた安全な速度」で進行する義務を車の運転者に罰則付きで課す新たな規定を盛り込む。自転車の交通違反に、青切符を受けて反…
この話について。
Contents
有識者会議の内容では
有識者会議の内容だと、これに関係する部分はたったこれだけ。
※追い越し・追い抜きに関係しない部分は割愛して抜粋します。
(2) 車道を通行する自転車の保護に資する取組
愛媛県においては、「シェア・ザ・ロード」の精神を基本理念とする条例「愛媛県自転車の安全な利用の促進に関する条例」を平成 25 年に制定しており、同条例においては「自動車等の運転者は、自転車の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行するよう努めなければならない。」と規定している。加えて、自転車の保護に係る取組をより一層強化するべく、条例に規定する「安全な間隔」を具体的に示すことで条例の基本理念の実践を促すことを目的とした、「思いやり 1.5m 運動」を平成 27 年から実施している(参考資料 10)。
(4) 現状の取組における課題
警察庁が令和5年に実施したアンケート調査結果によれば、自転車の運転中に自動車と接触したり、接触しそうになったりした経験がある者が全体の 36%を占めており、自動車と接触したことがある自転車の運転者に限っては、その4割以上が隣を通行する自動車に横から距離を詰められた経験をしているという結果が得られている(参考資料 11)。この結果を踏まえると、一部の地方自治体で実施されている車道を通行する自転車の保護に資する取組については、国としても推進していくことが必要であると考えられる。
2 有識者検討会において委員から出された主な意見
本有識者検討会において、警察における自転車通行空間の確保に向けた取組の現状やアンケート調査の結果を踏まえ、自転車が通行しやすい交通規制の在り方について議論を行ったところ、各委員から次のような意見があった。
○ 自転車にこどもを乗せて車道を通行している際に、自動車から幅寄せをされることがあり、そのような状況下では安心して車道を通行することができな
い。自転車が安全に車道を通行することができるよう、自動車の運転者に配慮を求めることも必要ではないか。○ 愛媛県等で実施されている「思いやり 1.5m 運動」は全国にも広げていくべきと考えているが、自動車と自転車との間に 1.5m の間隔を確保することができない場合には徐行する、としている点については検討が必要である。自動車に徐行させるとなると、自動車は自転車を追い抜くことができない。
○ 「思いやり 1.5m 運動」については、道路が狭く、自動車と自転車との間に1.5m の間隔を確保することができないことから、導入をためらっている自治体もある。また、「シェア・ザ・ロード」という表現についても、その趣旨が全ての方に正しく伝わるとも限らない。このような取組を広く浸透させていくためには、1.5m という距離にこだわるよりも、「自転車の横を通過するときはしっかりと間隔を空けて、お互いが気持ちよく使えるように」といった単純明快なメッセージでアピールをしていただきたい。
3 自転車が通行しやすい交通規制の今後の方向性 ~自転車が安全・安心に通行できる環境の整備~
本有識者検討会において議論した結果、それぞれの内容について次の方向性が取りまとめられた。
(1) 車道を通行する自転車の保護
自転車の車道通行を徹底するためには、前提として自転車が安全に車道を通行することができる環境を創出することが必要であり、そのためには、車道を通行する自転車の保護に資する取組を全国規模で推進していくことが適当である。具体的には、愛媛県等の取組事例も参考にしつつ、「全ての交通主体がお互いに思いやり、共に道路を安全・快適に利用する」という理念を国民に浸透させるためのキャンペーンを展開していくほか、車道を通行する自転車の保護に関する法制上の措置を講ずることが考えられる。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf
◯で示した部分は有識者会議の委員の意見。
これの意見がよくわかりませんが、
1.5m という距離にこだわるよりも、「自転車の横を通過するときはしっかりと間隔を空けて、お互いが気持ちよく使えるように」といった単純明快なメッセージでアピールをしていただきたい
「1.5mにこたわらないけどしっかり間隔を空ける」というのはなかなか意味が分かりにくいのですが、お互いが気持ちよく使うという単純明快なアピールを!という意見。
私の理解力では「お前は何の話をしているんだ?」とツッコミしたくなりますが、高度な日本語なのでしょう。
イマイチ不透明な話しか有識者会議の中間報告にはなく、国としても取り組んでいく方針はわかりましたが具体性はない。
そして出てきたのはこれ。
追い抜きに関する規定は、「自動車が自転車の右側を通過する場合、十分な間隔がない時、自動車は間隔に応じた安全な速度で進行する」よう義務づける。同じ状況で自転車には「できる限り道路の左側端に寄って通行する」義務を課す。
「十分な間隔」や「安全な速度」の具体的数値は法令では規定せず、今後検討して目安を定めて示す。間隔は1~1・5メートルが基本になるという。速度については、自転車は通常時速20キロくらいで走ることが多く、追い抜く車はそれを5~10キロ上回る速度が目安になるという。
自転車追い抜き時、車に罰則付き義務 ながら運転禁止 道交法改正へ:朝日新聞デジタル警察庁は21日、道路交通法の改正原案をまとめた。車が自転車を追い抜く際、「間隔に応じた安全な速度」で進行する義務を車の運転者に罰則付きで課す新たな規定を盛り込む。自転車の交通違反に、青切符を受けて反…
これを素直に読みますよ。
・十分な間隔がない時、自動車は間隔に応じた安全な速度で進行する。
・「安全な速度」とは、自転車の速度に+5~10キロ
要は1~1.5m空けることを義務付けしたわけではなく、十分な間隔を取れない場合は「安全な速度」として自転車の速度に+5~10キロであれば追い越し・追い抜きが可能だと明確にするわけですよね。
要は速度差が大きい至近距離追い越し・追い抜きはダメなんだとわかりますが、至近距離で速度差が小さい追い越し・追い抜きについてはむしろ法で容認することを明確化したモノだとわかる。
つまり、こういう話なのでは?↓
報道レベルと有識者会議の内容、そして愛媛県自転車条例の内容を総合すると、愛媛県条例のおかしな点を改良し(徐行で追い抜きできるわけがないw)、「十分な間隔」があるときは減速せずに追い抜きできて、「十分な間隔がないとき」は「安全な速度(自転車速度に+5~10キロ)」で追い抜き可能という意味にしか見えませんが…
そもそも過去の業務上過失致死傷判例も同様で、速度差が小さい場合の追い越し・追い抜きについては側方間隔50センチで無罪にした判例もありますが、
「十分な間隔がない時、自動車は間隔に応じた安全な速度で進行する」、つまり速度差が小さい場合の至近距離通過は法で容認する話にしか見えませんが…
大丈夫なのだろうか?
個人的には
個人的には速度差が小さい場合に1m空いてなくても気にしてませんが、自転車に乗るのは熟練者ばかりではない。
要は報道の内容からするに、至近距離高速度通過は違法なんだと再認識する程度の話に過ぎず、なんか違う気がする。
そして自転車にも「追いつかれた車両の義務」を課すのだと報道されていますが、これについてはちらほら噂が出ていたので、たぶんそうなんでしょう。
最初から左側端に寄って通行している分には関係ありません。
結局、報道と有識者会議の内容からするとほぼ意味がないように感じますが、実際の条文を見ないと判断できませんね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
深く考えていくとますますヤバイですね。
25キロで走行中にすぐそばを30キロで車が追い抜いていくのは嫌だなあ。
今でもこれは何度か経験していますが、前に駐車車両がいて右によけたくてハンドシグナル出したら追い抜いていく車に手が当たる。
はみ出し禁止の黄色線でも自転車の場合は除外してもらって、側方距離を1メートルと明確に決めて追い越してもらう方がよっぽど良い気がします。
コメントありがとうございます。
素直に報道を読むとおっしゃる状況が合法化しますが、結局「高速度至近距離通過」のみが違反になり、それ以外は容認する結果になりそうな気がします。
個人的には、並走状態の圧迫感が嫌なので、動揺させない程度の速度差でさっと抜いてくれた方が有り難い所はありますね。特にトレーラーとかの大型車は、速度差無い状態だと時間かかって怖いですし、運転席での間隔と後輪での間隔が一致しないので、大型車に限っては側方間隔厳守でお願いしたい所です。
コメントありがとうございます。
車種で分類すべきだと思うのですが、続報を見て判断するしかないですね。
コレはですよ
今まで握りこぶし一個分の側方間隔で追い抜かれても
「テメーナニシヤガンダー」と喚くしか出来なかったのが
(追いついたらボディぶっ叩いていますが)
(そういうのに限って助手席に子供を乗せていますが)
法律が成立したら
ドライブレコーダーの映像を警察に持って行けば
キッチリと違反金を徴収して違反点数を加算してくれるっていう話なのでしょうか
でしたら自転車用ドライブレコーダーの商機となり
使い勝手の良い小型・軽量の物が出てくるような気がします
コメントありがとうございます。
報道によるとそもそも、具体的な数値は条文には規定しないとあるので、ドラレコを持っていったとしても対応は今まで通り門前払いだと思いますよ。
また、報道からすると結局、至近距離通過でも速度差が小さいなら問題とはしないと読み取れますし、警察庁が「何か作った感」のみを演出するだけで全く意味がない施策なんじゃないかと疑っています。
それらを含め「むしろ今までより状況が悪化する」と捉えた人もいますし、この件はきちんと見極めないととんでもない結果になりかねない話と考えます。