PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

歩道を横切る前に一時停止しないのは違法!?

blog
スポンサーリンク

こちらについて質問を頂いたのですが、

読者様
読者様
歩道を横切る前に一時停止しないのは違反ですよね?

これはそもそもの考え方が違います。

スポンサーリンク

歩道を横切る条件

歩道や路側帯(以下、歩道等)を横切ってもいい条件は、実は2つしかなくて、以下のみ。

①道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合
②第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するとき

(通行区分)
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条及び次条第一項において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。

なので転回目的で歩道等を横切る行為はそもそも違反になります。

「道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合」とは

 

道路外に設けられた車庫、駐車場、ガソリンスタンド、倉庫、官署、病院に出入する場合に、歩道を横断する以外にこれらの施設や場所に出入する方法がない場合をいう。これらの施設や場所に出入りすることがやむを得ない場合の意味とは異なる(同旨 横井・木宮113ページ、交法研76ページ、宮崎98ページ)。
これ以外の目的で歩道を通行することは許されないから、道路が狭くても、いわゆるUターンやスイッチバックをするために歩道に乗り入れる行為は許されない(同旨 法総研74ページ、横井・木宮113ページ、久保66ページ、宮崎98ページ)。

 

東京地方検察庁交通部研究会、「最新道路交通法事典」、東京法令出版、1974、p75~76

なので道路交通法上は、この大型車が右折進行するために歩道に乗り上げた時点で違反なので、一時停止義務云々以前の問題。

ただまあ、実務上で取締り対象なのかは知りません。
理由はこちら。

車両の通行区分について

昭和35.12.19 警察庁丙保発第50号
警察庁保安局長から各管区警察局長、警視総監、各道府県警察(方面)本部長通達

 

車両の道路左側部分の原則及びその特例を規定したものであるが、この規定を励行することにより、著しく道路交通の円滑に影響を生ずる場合がないわけではないと思われる。従って、現実の取締りに当つては、道路の条件、交通の事情等によって、良識的な判断をすることも必要であろう。

あくまでも左側通行の原則(現行法の17条4項)についての通達ですが、これを準用するなら誘導を付けた上で安全確保して行う分には取り締まりするとは思えないけど、道路交通法テロリストの皆様におかれましては許しがたい暴挙と捉えるのかもしれません。

 

道路交通法を遵守するなら、歩道を使ったスイッチバック式転回が許されないことは各種解説書に書いてある通り。
歩道等に乗り上げないと右折進行できないなら、左折しか許されないことになります。

 

左折して、迂回して戻ってくるしかないですね。
道路交通法を遵守するなら。

 

しかし、このアカウントはなんですかね笑。
イマイチ意味がわからないのでコメントしにくい。

ついでに

普通自転車の場合、一定の要件を満たせば歩道通行が可能ですが、「自転車が歩道通行して違反切符になったケースなんてあるの?」と質問を頂いてました。

 

自転車の歩道通行が解禁されたのは昭和45年ですが、昭和33年6月26日 吉井簡裁判決に自転車の歩道通行について17条1項の違反としたものがあるようですが、それ以外はわかりません。
まあ、この時代って自転車に対してもまあまあ厳しく取り締まりしていたのかなと思われる判例がいくつかあって、例えば自転車の2人乗りについて処罰した福岡高裁 昭和30年4月21日判決や名古屋高裁金沢支部 昭和34年10月20日判決(ともに有罪)。

昭和30年代は、自転車2人乗りで「有罪」。
自転車の「悪質な」違反に対して警視庁は赤切符運用を始めましたが、今まで自転車の違反なんて注意止まりがせいぜい。 赤切符でも98~99%は不起訴なんですが。 でも昭和30年代、チャリ2人乗りでガッツリと有罪にしていたりします。 チャリ2人乗り...

(罪となるべき事実)
被告人両名は、昭和29年10月4日午前10時35分大分県東国東郡a町大字bC前町近道路において二輪車に相乗り(被告人Bは同自転車の荷台に乗り、被告人Aにおいて運転進行)したものである。

 

福岡高裁 昭和30年4月21日

自転車の無灯火が故意か過失かを争った大阪高裁 昭和31年11月15日判決とかもあるし、

自転車の無灯火は犯罪なのか高裁まで争う。
ちょっと前に自転車の2人乗りで有罪にした判例を紹介しましたが、 同様の判例は名古屋高裁金沢支部 昭和34年10月20日判決にもあります。 (罪となるべき事実) 被告人は昭和34年4月10日午後2時20分頃敦賀市松島百三十字松原地先道路におい...

無灯火の自転車のペダルに片足をかけ、地面を三回蹴って約5m前進した行為が、自転車の無灯火通行に該当するかを争った広島高裁松江支部 昭和25年8月30日判決など、今の時代には100%起訴しないような判例が残っている(無罪ですが)。

 

たぶんですが、冒頭の動画のように歩道を使ったスイッチバック式転回にしても昭和30年くらいなら取り締まり対象だったと思う。
転回禁止道路にてスイッチバック式転回をした人が違法かどうかを争った判例もあるくらいなので。↓

 

転回禁止道路なら、これは違法ですよね。

ところが被告人は、後退と右折をするスイッチバック式転回というプレイをした。

これが転回に該当するかを争った判例があります。
弁護人の主張はこちら。

第一点本件は東京都特別区公安委員会が「転回禁止No. U Turn」と表示した場所で「一旦小路にスイッチバツクしてから転回」したことが道路交通取締法第12条第2項の転回運転に該当するか否かというテストケースなのである。而して現在東京都に於ては直接のUターンは右法条に該当するが右のような方向転換は該法条に触れず禁止ないものと多くの運転手から解釈せられ現に本件実地検証の際にも僅か10分間位の間に判検事弁護士の眼の前で官庁用自動車である二台が相次いで併し何の連絡もなくその通り実演してスマシタ顔で平然と過ぎ去つたことが示す通り行われている点にテストケースたる所以があるのである。
形式的に之を論ずるならばその禁止の表示が「No. Uターン」となつていてとはなつていないこと同法第12条が「併進し又は後退し若くは転回」となつているので、ここに所謂「転回」とは「一度でやる∩型転回行為」を意味するのであるから何等違反しないといつて差支ない更に実質的に之を論ずるならば一旦車が停車して後続の車のいないことを確めてからスイッチバックして車の尻を小路につき込み、交通の安全を確めてから方向転換をするのである。この場合停車することも後退することも「他の交通の妨害にはならぬ限り」(同法12条第1項)差支ないのである。然るにスイッチバックは右にいう後退ではないので傾後方に尻を突込ことであるから「交通を妨害する虞」なき限り固より差支ない、運転手はスイッチバックの時、後続車の無いのを確めてからやるから固より何の交通上の危険もない。ここで車がスイッチバックして尻を小路に入れた時の状態から「転回」する時の状態を見れば車がその小路の奥から出て来て新に右転回をしようと思つて車の先を小路の先にノゾカセタ状態と少しも違いはないのである。右のように小路の奥から進行して来た車がその小路を出て右転回することが禁止されていないのに本件のようなスイッチバックの後に転回することを禁するという理由は毫も存在しないのである。交通安全を実質的に何等妨害するものでない点に於て両者差異はない。警視庁が之を変型的転回と称して運転手の教養講習に用いることは良い併しながら断じて違反事件として処罰することはできないのである。

 

昭和27年6月13日 東京高裁

犯罪の成否を争っている中、「テストケース」とか緊迫感がない判例です笑。
裁判所の判断はこちら。

道路交通取締法が禁じて居る転回行為とは車馬が従来の進行方向とは逆の方向に進行する目的を以て為す同一路上に於ける方向転換の行為を汎称するものであつて、型に為す所謂ユー・ターンを最も其の典型的なものとし、之を一回の操作により短時間内に完了するのを通常とするけれども、該方向転換の途上-主として前後左右の交通状況等を確認し其の安全を図る等のため-一旦停止、改めて進行を開始して方向転換行為を終るが如きものも之を其の目的から観察して一の転回行為と解するのを相当とするのみならず、更に、従来の進行方向の路上に於て一旦停止し附近の小路の出口等に後退の上改めて直進横断して右折し、其の進行方向を転換して逆方向に進行するが如きものも亦、其の目的の「転回」せんがためのみである以上之を転回行為と謂うに妨げなく、況んや其の路面の転回禁止区域内なることを知り乍ら敢て該地点に於て転回せんとし、右の後退、横断右折等合法的方法によつて右禁止を回避せんとするが如きは同法所定の転回禁止に触れる行為であると謂わねばならない。
而も同法第12条第2項による転回禁止区域内に於ては同法条第1項に於ける場合と異り、該区域内に於ける転回行為を絶対に禁止する趣意であり、該行為当時具体的に他の交通を妨害する虞れがあつたか否か、之に対応する措置が講ぜられたか否か等は毫も右違反罪の成立に影響を及ぼすものではないと解するのを妥当とする。

 

昭和27年6月13日 東京高裁

事故判例ではないので緊迫感がない気がしますが、転回禁止道路にてスイッチバック式転回は道路交通法違反になります。

 

このような暇なケースを取締りして起訴していた時代もあるので、冒頭の動画のように歩道を使ったスイッチバックをしたら、昭和30年くらいなら警察官が発狂して取締りしたのかもしれません。
今はゆるゆるですから、たぶんパトカーが目の前にいても何も無しで終わる予感。

 


コメント

タイトルとURLをコピーしました