先日書いたこちら。
標識令では規制標識につける「自転車」という略称は普通自転車を意味すると書いてあります。
規制標識に車両の種類を記載するときは、次の表の上欄に掲げる車両について、それぞれ同表の下欄に掲げる略称を用いることができる。
車両の種類 | 略称 |
普通自転車 | 自転車 |
さらに普通自転車が規制対象の補助標識には、特定小型原付を含む。
従って「自転車を除く」の補助標識がついたこれの場合、普通自転車と特定小型原付は逆走OKだけど、非普通自転車は逆走NGと書きました。
逆走禁止 | 逆走OK |
自動車一般原付20キロ以上出る電動キックボード(一般原付)非普通自転車(牽引車)非普通自転車(タンデム) | 普通自転車時速20キロ以下の電動キックボード(特定小型原付) |
これについてご意見を頂きました。
今回の記事で疑問がありますのでよろしくお願いします。
>この場合、「自転車」とは普通自転車のことを意味します。
>それぞれ同表の下欄に掲げる略称を用いることができる。
この2つから補助標識に「自転車」と書いてあると「普通自転車」が対象であると書かれていると思いますが、”用いなければならない”とは書いていないし、そもそも広い意味の「自転車」の略称自体が表に載っていません。(3文字なので略称というのもおかしい)
それでも補助標識に自転車と書いてあると普通自転車のみが対象になるのでしょうか?よろしくお願いします。
うーん。。。
アレですよね。
標識令では普通自転車を規制対象にするときには「自転車」という略称を使えると書いてある一方、「自転車」って略称ではなく正式な道路交通法の用語でもある。
つまり、「自転車を除く」という車両進入禁止の補助標識があるときに、
この「自転車」とは略称の可能性もあるし、略称ではない可能性も残るという意味ですよね?
略称ではない自転車 | 略称の自転車 |
非普通自転車を含む自転車全般 | 普通自転車 |
そう言われると確かに疑問が残る。
うーん、、、
で。
警察庁の交通規制基準によると、
車両の種類の表示は、標識令別表第二備考一の(六)の車両の種類の略称を用いて行うものとする。
「略称を用いて行うものとする」なので、そもそも略称ではないパターンを想定してないのかもしれません。
あとだいぶ厳しい話になるかもしれませんが、「略称を用いることができる」とある一方、「略称以外で記せる」という規定がない??ので略称しか使えないという話なのかもしれません。
例えば法4条1項はこうなります。
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者若しくは遠隔操作型小型車(遠隔操作により道路を通行しているものに限る。)(次条から第十三条の二までにおいて「歩行者等」という。)又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。
この規定の解釈ですが、「公安委員会は唯一、標識、標示、信号を設置して交通規制できる」という意味になります(ただし5条と6条で警察署長や警察官の例外規定あり)。
「交通規制できる」とするのが公安委員会だけなんだと明確にしています。
標識令の「用いることができる」にしても、他に正式名称で「用いることができる」とする規定がない(?)ので、結局は「唯一用いることができる」⇒「用いなければならない」という意味になるのかなと。
あまり自信がないです笑。
異論反論がある方はお待ちしてます。
「原付」って道路交通法上は正式名称ではないけど、「自転車」って正式名称なんですよね。
ただまあ、たぶんですが得意のアレです。
「非普通自転車が逆走しても、取締りではなくせいぜい指導止まり」
自転車の違反ってよっぽど悪質か危険性がない限りは取締り対象にならないので、せいぜい指導警告票。
確かに「略称とは限らないジャマイカ!?自転車は正式名称でもあるジャマイカ!?」という言い分も成り立ちそうな気がしないでもない。
けど「略称を用いることができる」としながらも他に「用いることができる」とする規定が無さそうなので、結局意味合いは「略称を用いなければならない」と同義になる…ような…気が…します…。
すこぶる歯切れは悪いです笑。
けどこれ。
意味合いは似ているけど使い分けている理由は、「非普通自転車」と「自転車以外の軽車両」の兼ね合いなんでしょうね。
これらは「幅」が違うので、普通自転車や特定小型原付とは分けたいのかと。
馬車を乗り回す若者がいないから「自転車ではない軽車両」という概念すら薄れますが…ワケわからんフル電動自転車よりも馬車に乗れって話ですよね。
法律用語の「用いることができる」とは、他に「用いることができる」という規定がなければ結局「唯一用いることができる」という意味になるんじゃないかと思いますが、若干疑問が残ります。
ついでにこれの件。
結局正解は何なのか?と質問を頂いたのですが、正解はわかりません。
警察庁の考えと、執務資料や日弁連の考えが異なるという話ですが、そもそも並走違反で検挙されて起訴されるなんてあり得ないから解釈が割れたままなんでしょう。
ちなみに、歩道を並走した行為が事故の誘因になったとして、誘因事故の過失割合を認定した判例はあります。
違反か否かではなく、誘因事故の原因になったという話なので、解釈上は関係ないです。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
車体サイズが小さく定められているから普通自転車を特別扱いする意味があるのであって非普通自転車と軽車両を区別する意味がほぼ無いですから自転車に非普通が含まれることはないかと
コメントありがとうございます。
たぶんそういう意図だと思うのですが、略称を使わなければならない理由があるのか?と聞かれるとやや疑問が残ります。
こんにちは、いつも面白い記事をありがとうございます。
略称で文字数減らしてるのは単なるコストの問題でしょうね。標識令見ても
納得いかない方は警察官立会いの下600mm超ハンドルMTBで進入して赤切符を
切らせて区検で趣旨説明して正式裁判で確定させればスッキリしますよ。
コメントありがとうございます。
自転車の違反でややこしいのは、そもそも警察官が理解してなくて普通自転車と非普通自転車の違いさえ理解してないケースがあり、摘発されないと思われます笑。
自己申告で「違反中です」とアピールして、検察官の前でも悪態つきまくりとかじゃないと起訴に至らないので、そもそも裁判所ははるか遠くに…
返信ありがとうございます。
「警察官立会いの下」とは当然ながら普通自転車では無いがこれから進入するぞ
と宣言する意味で「区検で趣旨説明」とは法解釈に疑義があるから正式裁判する
ので処分保留や不起訴にするなよと検察官に言うことですが、あまりに空想的な
お話ですからこれで終わりにしましょう、大変失礼いたしました。
コメントありがとうございます。
自転車赤切符の99%は不起訴ですから…「起訴してください!」と懇願しても起訴してもらえないので終了でしょうね。