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時速100キロで交差点を曲がりきれず…しかもひき逃げ。

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なんか凄い報道が出てますが、時速100キロで交差点を曲がりきれず歩道に突っ込むとか意味がわかりません。

1月、JR博多駅前で車を運転中に歩道に突っ込み歩行者をはね大けがをさせ、現場から逃げたとして、警察が18歳の高校生を7日、逮捕しました。

警察によりますと、福智町に住む高校生の男は1月21日の未明、JR博多駅前の交差点で軽乗用車を運転中に歩道に突っ込み、歩いていた男性をはねて全治3カ月のけがをさせ、逃げた疑いが持たれています。

時速100キロほどで交差点に入り、曲がり切れなかったとみられています。

男は事故後、車で現場から立ち去りましたが、800メートルほど離れた場所で「人を後方からひいてしまった」と警察に通報したということです。

ただ、逮捕後の調べには「何かにぶつかったのはわかったが、人にぶつかったとは思わなかった」などと容疑を一部否認しています。

時速100kmか 博多駅前“ひき逃げ”高校生逮捕 (九州朝日放送) - Yahoo!ニュース
1月、JR博多駅前で車を運転中に歩道に突っ込み歩行者をはね大けがをさせ、現場から逃げたとして、警察が18歳の高校生を7日、逮捕しました。 警察によりますと、福智町に住む高校生の男は1月21日の未明

いろいろツッコミどころ満載ですが、先月の事故について今さら逮捕らしい。
で、

時速100キロほどで交差点に入り、曲がり切れなかったとみられています。

これは危険運転致傷罪の構成要件を満たすモノと考えられますが、いろんな意味で注目され批判の対象になりやすい「進行制御困難高速度危険運転」ですよね。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

この規定を勘違いしている人が多いですが、「進行制御」とはコースの逸脱を意味します。
分かりやすくいえば、カーブを曲がりきれないようなスピードで曲がりきれず事故を起こすようなものが対象です。

 

進行制御困難高速度危険運転の場合、カーブの限界旋回速度が一つの基準になり、限界旋回速度を超えていた、もしくは限界旋回速度に近かったことがポイントになります。

 

このような判例も出ています。
限界旋回速度から20キロ下でも危険運転致死の成立を認めた判例として、東京高裁R4.4.18判決(上告棄却R4.10.7)。

 

同判決ではちょっと踏み込んでいて、

限界旋回速度と「進行を制御することが困難な高速度」は異なる概念

と判示しています。
さらに故意の認定について以下の判示。

「進行を制御することが困難な高速度」とは、法的評価を要する規範的構成要件要素であるから、運転者において、このような評価を基礎付ける事実、すなわち、道路の状況及び「進行を制御することが困難な高速度」に該当する速度で走行していることの認識があれば、進行を制御することが困難であるとの認識がなくても、同号の罪の故意犯としての非難が可能である(その評価を誤ったとしても、故意は阻却されないというべきである。)。また、「進行を制御することが困難な高速度」に該当する速度で走行している認識があるというために、その速度について具体的な数値の認識まで必要とするものではないことは当然であり、自車の走行状況を概括的に認識していることをもって足りる。

 

今回の事故は交差点を100キロで曲がりきれず事故のようなので限界旋回速度を超えていた可能性が高そうに思えますし、この容疑者も曲がりきれないことを認識していたと思われますが、何考えているのやら。

 

そしてもう一つ。

男は事故後、車で現場から立ち去りましたが、800メートルほど離れた場所で「人を後方からひいてしまった」と警察に通報したということです。

ただ、逮捕後の調べには「何かにぶつかったのはわかったが、人にぶつかったとは思わなかった」などと容疑を一部否認しています。

「人をひいた」と認識して通報したのに、「人とは思わなかった」と供述して何の意味があるのやら。
そこを今さら否認しても無意味かと。

 

簡単にいえば、周囲の歩行者や他の車両からするとこういう運転をする人は単なるテロ同然。
普通に歩道を歩いていただけなのに巻き込まれてしまうのだから笑えない。

 

ちなみに「進行制御困難高速度危険運転」については「コースの逸脱」。
コースを逸脱させるような高速度で通行して事故を起こした場合を対象にしている規定なので、コースを逸脱せずに時速150キロで通行して事故を起こしたとしても該当しない。

 

よく報道される「まっすぐ走っていたから危険運転には該当しない」というやつは、そういう話です。
分かりにくい上に市民感覚とはズレがあるから批判の対象になりますが、この規定。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

今回の報道にあるような事故を想定して規定したものなので、批判が多いのよ。
大分の時速194キロ直進事故がこれに当てはまらない理由は、あくまでもコースの逸脱という意味で規定したからという事情が大きい。
要は交差点を曲がりきれないようなスピードで曲がって事故を起こすようなタイプを想定して作ったのが「進行制御困難高速度危険運転」。

 

しかし、若年層の暴走…理解に苦しむ。
ちょっと話が変わりますが、以前「原付の無免許運転」の判例を挙げました。

原動機を使わずに惰性で下った原付は「運転」と言えるか?
ちょっと面白い判例があるのですが、判例タイムズ2023年7月号(1508号)に掲載されたものです。 詳しくは判例タイムズを買って読みましょう笑。 下り坂をエンジンを使わずに惰性で進行した原付は「運転」と言えるか?が争点です。 エンジンを使わ...

被告人はまだ若い人ですが、なかなか凄いことに免許取り消しになっていて、さらに無免許運転で有罪(執行猶予)。
執行猶予中にまた無免許運転で捕獲されています。

 

最高裁判所に上告したそうなので結果はわかりませんが、原付の無免許運転で収監されるリスクがあるのにまた無免許運転をするのはなかなかビックリします。

 

世の中には常識が通用しない人もいますが、注意していても勝手に突っ込まれたら避けようがないですよね。

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