結構前から話題になっていたパーツですが、Shock Stopというメーカーから出ているサスペンションステムというパーツがあります。
このパーツ、考え方としてはなかなか面白いと思うのですが、高価なことや重量増加の面では不利なのでなかなか一般的に浸透しているとは言えません。
考え方としては面白いので、Shock Stopのサスペンションステムをご紹介いたします。
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Shock Stopのサスペンションステム
ステムというと、フォーク(フレーム)とハンドルを繋ぐ重要なパーツです。
私のバイクでいうと、サイクルコンピューターが載っている部分ですね。
ステムは各社いろんなものを出していますが、正直なところアルミだろうがカーボンだろうがそこまで重量差が大きく出るパーツではありません。
なのでポジション出しで長さや角度を変えたいときくらいしかあまり気にならないパーツなんじゃないかと思います。
私も過去に、アルミステムからカーボンステムに変えたことがありますが、正直なところ振動吸収性などの性能差はわかりませんでした。
長さを変えたいという動機で手を出したのがカーボンステムだったので、ポジションが変わること以外には特に期待していなかったというのもありますが。
さて、アメリカのブランドのRedshift Sportsから出ている、Shock Stopというサスペンションステムという商品が出ていることをご存知でしょうか?
これです。
このステムですが、上下に動くことで衝撃を緩和するというシステムです。
今までありそうでなかったパーツですよね。
このショックストップのステムを見ていきましょう。
大きな特徴
こちらの動画を見てもらったほうがわかりやすいかもしれません。
このステムですが、振動吸収のためのエラストマーを中に入れて、振動吸収するという仕組みです。
エラストマーは剛性が異なる5種類が付属します。
Redshift ShockStop専用スペアエラストマー(5個セット)
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エラストマーには70とか80とか数字が書いてあるのですが、この数字は体重ごとにこれくらいがいいだろうという推奨値のようです。
なかなか手が込んでいるシステムです。
見た目自体も一般的なステムと大差ない感じです。
動画を見る限りですが、ちょっと触れただけでグラグラフワフワ動くようなものではないようです。
どちらかというと強い衝撃を受けたとき、例えば路面の凹凸を通過するときなどにステムが上下動するものの、ダンシングなどでハンドルに荷重をかけた際にグラグラ動くという感じはないようです。
なので微振動を消すという効果ではなくて、大きめの衝撃を緩和するというほうが正解でしょう。
ちなみにですが、ステムの剛性ってダンシングしたときにハッキリわかります。
剛性が低いステムから剛性が高いステムに変えると、ダンシングしたときのバイクの挙動が変わります。
シッティングで乗っている分には全く分かりません。
ショックストップのステムですが、スペックはこんな感じです。
トラベル量 | 10~20mm |
コラム径 | OS(1-1/8) |
クランプ径 | 31.8mm |
問題点
世の中メリットがあれば、デメリットもあります。
メリットしか存在しないものなんて信用しないほうがいいです。
デメリットをいくつか挙げていきます。
重い
Shock Stopのステムは最小サイズで238g~となっています。
一般的な完成車についてくるアルミステムは150g以下だったりしますし、軽量ステムなら100g以下なのでそういうものから見ると重いです。
ステムが重いことでどれだけ乗り味が変わるかというと、そこまで劇的に変化を感じるわけではありません。
ただ、ロードバイクに乗っている人のほとんどは軽量化には興味があるものの、重量化については嫌な顔する人が多いので、難しいところですね。
高い
Shock Stopのサスペンションステムは、定価で2万円弱なのでステムとして見た場合はちょっと割高です。
最近はスペシャライズドのルーベとかトレックのドマーネのように、フレーム側に仕組みを作って振動を吸収するモデルもありますが、そういうのに買い替えることを考えたら全然安いです。
サイズはそれほど多くはない
まずアングル6度のものと30度のものがあります。
6度。
【特急】レッドシフト ShockStop サスペンション ステム
こちらの6度はステム長が90mm、100mm、110mm、120mmの4種類です。
まあ、普通はこれだけあればほとんどの人をカバーしているので十分です。
アングル30度。
【特急】レッドシフト ShockStop サスペンション ステム
こちらはステム長が100mmのものしかありません。
体重ごとに推奨されるエストラマー
【特急】レッドシフト ShockStop専用スペアエラストマー(5個セット)
先ほども軽く触れましたが、体重ごとに推奨のエストラマーが設定されています。
このエストラマーは付属品ですし、別売りで購入も可能。
ドロップハンドルの場合。
体重 | エストラマー1 | エストラマー2 |
52キロ以下 | オレンジ | イエロー |
52~61 | ブルー | イエロー |
61~70 | ブルー | オレンジ |
70~84 | グリーン | イエロー |
84~93 | グリーン | ブルー
(初期設定) |
93キロ以上 | ブラック | イエロー |
エストラマーを交換することで様々な体重に対応しているところが面白いところです。
この手の商品だといわゆるサスペンションみたいにバネになっているものが過去にあった気がしますが、バネだと細かい部分まで調整が利かないので、エストラマーの交換で対応している点がちょっと面白く出来ている感じです。
衝撃は最大70%削減
衝撃を最大70%削減するそうです。
ここで注意なのですが、このステムの名前はあくまでも【ショックストップ】です。
衝撃を止めるという意味です。
決して【バイブレーション(振動)ストップ】ではないことに注意です。
あくまでも大きな衝撃を緩和するために動くのであって、微振動などではステムのサスペンションは働かないようです。
もしかしたら微振動でも多少なりともエストラマーが振動を吸収していて、ロングライドの終盤では違うのかもしれませんがそこまで置きなものではなさそうです。
これについてですが、微振動でも反応するような商品にした場合、ハンドル操作でステムがグワングワンと動いて怖いですしパワーロスするでしょう。
あくまでも衝撃を緩和するステムということです。
どういう人に向くか?
上でも書いたように衝撃吸収が第一の目的であって、振動吸収するシステムではありません。
なので路面状況が悪くてガタガタ言い過ぎるような悪路(パリルーベのような)を走る人とか、グラベル走行する人向けですね。
なお、メーカーは本格的なオフロード走行では使わないようにと注意書きをしています。
あくまでもロード用、グラベルロードあたりまでですね。
【特急】レッドシフト ShockStop サスペンション ステム
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
初めまして。興味深く楽しく読ませて頂いてます。
昔よく乗り込んでいる時代に、ハンドルからの衝撃から逃れるのに色々と工夫したことがあります。バーの上だけにバーテープを重ねたり、チューブを切って貼ったり。今はこういう いいモノ が製品としてあるんですね。時代の流れを感じます。何故にハンドルからの衝撃からにこだわってたかと言いますと、一回あたりの衝撃は小さくても積み重なるとかなりの衝撃になり、脳にも影響していずれは パンチドランカー になるのでは?という不安からでした(笑) くだらないコメントですみません。
コメントありがとうございます。
>一回あたりの衝撃は小さくても積み重なるとかなりの衝撃になり、脳にも影響していずれは パンチドランカー になるのでは?
そういう考え方もあるんですね。
すみません、失礼ながら笑ってしまいました。
脳に影響するかどうかはちょっとわかりませんが、理論的には椎間板に大きな負担が掛かっていそうだと思ってます。
職業ドライバーにはヘルニアが多いという論文を見たことがありますが、その理由は座っている+振動だったと思うので。
返信がたいへん遅くなりすみません。
職業ドライバーさんにヘルニアが多いののは着座姿勢が長く、腰部の血流が阻害されるし、上半身が垂直に近いことから振動による突き上げとかの影響も受けやすいのかなと。あくまて素人意見です。
ちなみに自分は通勤でスクーターに乗ってます。乗車姿勢は上半身がほぼ垂直。まあまあのスピードでリアサスペンションがフルボトムするようなギャップだと腰椎にえらく堪えます。フルフェイスヘルメットの中で叫びを上げてしまいます。そして二、三日痛みが残ります。
ロードレーサーの乗車姿勢だと、上半身でもショックを吸収する形になり、振動に対する腰への負担は軽減されるのではないでしょうか。上半身がほぼ垂直になるミニサイクルとかシティサイクルのサドルにスプリングが付いているのは納得がいきます。
コメントありがとうございます。
一般に、座っている姿勢自体が立っている状態に比べ、椎間板への圧力が1.5倍くらいになります。
ドライバーさんにヘルニアが多いとされるのも、姿勢的に椎間板への圧が高まっていることと、振動の両方ですね。
ロードバイクの姿勢だと、座っているといっても荷重がハンドルとサドルに分散されてるのが大きな違いかと思います。