警察庁から「自転車の安全利用促進に向けた効果的な広報啓発手法に関する調査事業報告書」なるものが出てまして、
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/houkokusyo.pdf
びっくりしたのは186ページもあります。
より訴求効果のある広報啓発の在り方の調査を目的として自転車利用者の意識調査や広告効果の検証などをしたと。
内容は比較的つまらないです。
個人的な感想でいうと、法律自体の見直し、規制の見直しをしない限りは変わらないと思っているので。
例えば、「ほとんど守っていない交通ルール」として手信号、ヘルメット、横断歩道を押して渡るの三点が挙げられてますが、一瞬「?」と疑問が。
最近の警察庁は自転車が横断歩道を通行することを違反扱いしてるのか?と思ったのですが、アンケートの中身をビミョーに省略して書くから誤解に繋がる。
アンケートでは「横断歩道では歩行者の妨げにならない場合を除き押して渡る」になっているのを、アンケート集計では「横断歩道を押して渡る」にするからビミョーにニュアンスが変わっているような。
けどさ、手信号を「守っていない」と言われても、
プレイ完了まで継続できるわけがない。
日本国内には合図履行継続義務を守っている自転車乗りは1人もいないと思いますけど。
守れるわけがない。
要はおかしなルールや不合理なルールを簡略化してスッキリさせない限り、守れるわけがないのよ。
そもそもルールが分かりにくいので間違える人が多数出るのも当たり前。
例えば、
車道外側線の外側を「歩道」と思っている人がまあまあいるのですが、車道外側線の外側は車道。
歩道と思っている人は、そりゃ逆走するよ…
そして1人逆走すると、それが正しいと思って次から次へと逆走する。
歩道と路側帯の違いがわからない人なんてたくさんいるし、世の中そんなもんなのよ。
なにせ大阪高裁の民事部は「車道外側線と歩道の間は車道ではない!」と発狂してますし(大阪高裁の刑事部は車道だと判示。最高裁も是認)。
裁判官すら間違える法律だと…一般人はお察しなのです。
広告以前に、分かりにくい法律を改めることが先。
それこそ、例えばこれ。
「あー、自転車が停止線越えて信号無視してます!チャリカスですね!」という前になぜ停止線を越えてしまうか考えないといけない。
左折専用レーンで左折信号を先出しされたら、直進したい自転車は居場所を失う。
そうすると、こうなるよね。
仕方なく赤信号で停止線を越えた位置で待つわけで、第二通行帯OKにするか、左折先出し信号をやめるか、自転車待機帯を作らない限りは変わらない。
いくら広告を出して「信号を守ろう!」と言われても、理由があって信号を守らないのだから意味がない。
もちろん、意味もなく怠惰な信号無視が多いのも事実ですが、この膨大な資料を見る限り、「そこに注力して意味があるのか」は果てしなく疑問です。
先日の鹿児島市の「自転車レーンを整備しました報道」にしても、
これなかなか凄いなと思ったのはいわゆる自転車レーン(普通自転車専用通行帯)を約46キロ整備したかのように錯覚しかねない記事になってますが、
自転車専用通行帯を示す「青」はほとんどない。
オレンジで示した道路については、歩道の車道寄りに自転車マークを描いただけらしい。
これで自転車レーンを整備しましたと言われても、ちょっとムリがありすぎるわけですよ。
これで「自転車事故が減りません!」と言われてもそりゃそうだとしか言いようがない。
疑似レーンをカウントすることをやめることから始めたほうがいいのではないか?と思ってしまいますが。
なんかおかしな方向に進んでいる気がするけど、大丈夫なのか心配になる。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
管理人さんにこのことをコメントしてもお門違いなのですが、、、
自分はこの報告書全文を読んだ訳では無いのですが、交通ルールを知っていても守らない理由の二番目に対して対策を述べているのかが不思議に感じました。
自転車利用者に何とかさせるの考えしか無い、と、持っていきたいのか?
警察官で出来ることをまず最初にするべきだと思うのですが。。。
一番目の原因に対して対策を考えるのが嫌なのか?
無駄なデータ取りに協力させられた方々が不憫でなりません。
以上、単なるグチでした。
コメントありがとうございます。
一番目の理由とはこれ、でしょうか。
これについては警察的には取締りを強化するよりもまずは指導と考えているようで、取締り強化とは考えていないようです。
以前も挙げましたが、昭和30年頃には自転車の2人乗りや無灯火を起訴して有罪にした判例も残ってますし、無灯火で自転車を足蹴りして数メートル進行したことを無灯火運転として起訴した判例もありますが、いつの頃からか取締りより指導の方針になってますね。
取締りでは効果が見込めなかったのかもしれませんが、警察庁的には取締りより指導や教育を重視しているからこのような調査なんだと思われます。
それが妥当なのかは別問題ですが…
ご説明、ありがとうございます。
行き過ぎた取締りに対する批判を避けたい気持ちが見え隠れする答弁ですよね。
事故にならないなら注意警告でとのことなら、せめて信号無視の警戒で中小交差点での通勤時間帯に立哨でもしてほしいものですが。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
昨年、徳島県警が9年ぶりに自転車に対し赤切符を切ったという報道がありましたが、9年間違反切符を切らない程度に都道府県ごとに温度差が激しいようです。
警視庁はまあまあ積極的ですが、地方は9年ぶりですから…
https://roadbike-navi.xyz/archives/42887/
そう言えば、近所に右折レーンと直左レーンしかない信号で、左折信号が出る交差点がありまして、メインルートが左折なのですが、直進する車もそれなりにいる都合上、直進車が停車してしまって無駄になっていることが割と見かけます。このような構造を許すのなら、先出し左折信号で自転車が居座っても悪くはないのではと思わなくもないですね。
と言うのは冗談として、割れ窓理論じゃないですが、周囲が違反してるから違反しているような所もあるので、違反そのものを逃さないようにする必要があるのではないかなと思いますね。指導でもいいので、一旦徹底的にやるのが良いかなと。逆に、指導だからこそ多少過剰にやってしまっても問題として、小さく収まる面もあるかなと思いますけど、どうなんでしょうかね。まあ、そのためのヒューマンリソースが徹底的に足りないのが実情でしょうけど。
守ってないルールについては、手信号かな。左折は出しますが、停止徐行はあんまり出さないです。二段階右折で停止する時と、歩道に乗り上げる時など、停車することが判断できないケース位です。やはり、安定した状態で停止したいので、片手運転は避けたい所。赤信号とか、一時停止の標識とか、踏切前とか、前が詰まっているとか、見れば分かるケースで手信号が無いと停まれないというのは、勘弁して欲しい所。ツキイチやられたら必要になるのかも知れませんが、最近はツキイチされるケースはないですし(あまりにも出さないから、距離を置かれてるかも知れませんけど)。
あと、一ロードバイク乗りとしては、今の緩く車道が走れる環境は多少危険と隣合わせにしろありがたいので、変な方向に法令や規則、道路構造が変わらないことを祈りたい所ですね。勿論、違反をしたいと言うわけではないですが、軽車両として許される位のスピードでは走りたい。この辺は、身勝手な所だなあ、と個人的にも思いますが。
とりとめもなく駄文になってしまいましたが、感じていることを述べさせていただきました。
コメントありがとうございます。
取り締まりされないから守らない人が多い結果からすれば、取り締まりが必要と考えるのは自然。
けど、ルールの見直しも必要です。
明らかにおかしな構造もありますし…