なんかこちらが話題のようですが、
遅くて邪魔なのは分かるけど、隣りの車線が開いていたり対向車が警戒するほど近いわけでなければ追い越して直ぐに左に被せるのは勘弁して欲しい。
「もう少し、こう手心というか……」という感もありで、つくづく娑婆は忍土であることやなという pic.twitter.com/yCeMU0VTTk— yasu_alize20 (@yasu_alize20) April 8, 2024
一番近いのはこちらの判例でしょうか(映像の最初の事例に近い)。
判例は仙台高裁秋田支部 昭和46年6月1日。
自転車に対し側方間隔20~40センチ、時速45キロで追い抜きした事例(刑事)。
被告人に注意義務懈怠の事実があるか否かについて考えるに、一般に先行する自転車等を追い抜く場合(追越を含む。以下同じ。)、自転車の構造上の不安定をも考慮に入れ、これと接触のないよう安全な速度と方法によって追い抜くべき注意義務のあることはもとよりであるが、右の安全な速度と方法の内容は、道路の巾員、先行車及び追抜車の速度、先行車の避譲の有無及び程度、対向車及び駐停車両の存否等具体的状況によって決すべく、一義的に確定すべきでないところ、前記認定の被告人車の場合のように左側端から1mないし1.2m程度右側のところを進行中、道路左側端から0.8m程度右側を進行中の先行自転車を発見し、これを時速45キロ程度で追い抜くに際しては、先行車の右側方をあまりに至近距離で追い抜けば、自転車の僅かな動揺により或いは追抜車両の接近や風圧等が先行自転車の運転者に与える心理的動揺により、先行自転車が追抜車両の進路を侵す結果に至る危険が予見されるから、右結果を回避するため、先行車と充分な間隔を保持して追い抜くべき注意義務が課せられることが当然であって、本件においても右の注意義務を遵守し、被害車両と充分な間隔(その内容は当審の差戻判決に表示されたように約1m以上の側方間隔を指称すると解すべきである。)を保持して追い抜くかぎり本件衝突の結果は回避しえたと認められる以上、被告人が右注意義務を負うことになんら疑問はない。
仙台高裁秋田支部 昭和46年6月1日
普通に有罪です。
他に似た事例だと東京高裁 昭和48年2月5日判決。
時速45キロで通行する自動二輪車を、大型車が時速65キロで追い抜き。
側方間隔が0.3m。
「0.3mの追い抜きにより驚愕狼狽せしめ、心理的動揺からハンドル操作を誤り平衡を失わしめ」として有罪にしています。
映像の具体的な側方間隔や速度はわかりませんが、仙台高裁秋田支部判決に似た状況に見えるし、この至近距離で追い抜きすることが正当化される余地もないし、自転車がこれ以上退避する余地もない。
こんな危険な行為をして問題無しになるわけもないですが、逆にこの映像から意見が割れる方が不思議。
かなり近い事例でこのように判示されている以上、
被害車両と充分な間隔(その内容は当審の差戻判決に表示されたように約1m以上の側方間隔を指称すると解すべきである。)
仙台高裁秋田支部 昭和46年6月1日
本来ならこの映像の状況は事故の発生とは関係なく安全運転義務違反(70条)を適用するものと思うけど、驚愕事故が起きれば有罪確定案件なのに、クルマは自己防衛しないのでしょうか?
有罪確定案件にならないようにするのが自己防衛になると思うけど。
自転車を追い抜き、追い越しする際の側方間隔や速度ってかなり大事で、側方間隔1.2m開けても驚愕事故が起きた判例とかあるんですけどね…
側方間隔1.2mならまあまあ側方間隔を取ってますが、現実に事故が起きている。
判例から学べることもたくさんあるのに。
なお、仙台高裁秋田支部判決は「必携自動車事故・危険運転重要判例要旨集」という比較的最近の判例集に掲載されているそうです(読者様情報)。
私が持っているのは最高裁判所がまとめた昭和60年の判例集ですが、これは入手困難。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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