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横断歩道がない交差点で、歩行者に譲るべきか?

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これぞ譲り合い。

この場合に歩行者は「横断待ち」であって「横断中」ではないので譲る「義務」はないのですが、

(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときその歩行者の通行を妨げてはならない

譲ることは禁止されてませんし、譲るほうが好ましい場合には譲り合いですよね。

 

さて、ほとんどの人が知らない道路交通法の話。
質問です。

このように横断歩道ではない場所で歩行者を横断させるために自転車が停止したときに、自転車のさらに後ろにいる後続車には譲る義務が発生するでしょうか?

答えはこちら。

管理人
管理人
一部の都道府県では、後続車にも「歩行者を安全に横断させる義務」や「一時停止義務」が生じます。

これはマニアック過ぎて知らない人が多いけど、道路交通法71条6号(公安委員会遵守事項)にこのような規定がある都道府県もあります。

 

○東京都

(運転者の遵守事項)
第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(1) 前方にある車両が歩行者を横断させるため停止しているときはその後方にある車両は一時停止し、又は徐行して、その歩行者を安全に横断させること

「歩行者を横断させるために停止している前車」があるときに、後続車は「その歩行者を安全に横断させる義務」があり、その方法として一時停止又は徐行になっている。

 

○山梨県

(運転者の遵守事項)
第十条 法第七十一条第六号の規定により、車両等の運転者が守らなければならない事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 歩行者を横断させるため停止している車両の側方を通過してその前方に出ようとするときはその前方に出る前に一時停止すること。

山梨県の場合、横断歩道における38条2項に近い規定として、横断歩道外でも横断歩行者のために停止している前車の前に出るときには一時停止義務があります。
山梨県ルールだと、一台が横断歩行者のために任意で停止したら、後続車は強制停止になる。

 

○石川県

(運転者の遵守事項)
第十二条 法第七十一条第六号の規定による車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次の各号に掲げるものとする。
七 横断歩道以外の場所において歩行者を横断させるため一時停止している車両等の直近の側方を通行するときは一時停止し、又は徐行して歩行者を安全に横断させること

石川県は東京都ルールと同じですね。
東京都、山梨県、石川県ルールに共通するのは、「歩行者を横断させるため停止している車両」が前方にあるときに後続車に義務を課している。
「横断させるための停止」であり、「横断中のため停止」ではない点に注意。
つまり、歩行者が現に横断を開始していなくても、「横断させるための停止」であれば後続車には譲る義務が発生する。

 

全ての都道府県を調べたわけじゃないけど、一部都道府県にはこれに類する規定があります。
たぶん、実態として運用されてない死文になっているような気もするけど、一部都道府県ではこの自転車を追い抜きした後続車が違反(道路交通法71条6号、公安委員会遵守事項違反)になることがあるので、実は要注意です。

 

いくつか調べた限り、このルールがない都道府県のほうが多い気がしますが。

 

なお、公安委員会遵守事項違反は違反点数は0点、反則金は普通車6000円。
点数がつかない違反扱いですが、マニアック過ぎて知らない人が多いはず。

 

なお、「ルールを知らなかった」ことは故意の成立を妨げません。
青切符がなかった昭和30年代に、「福島県のローカルルールなんて僕知らないよ!」と反論したものの、有罪(公安委員会遵守事項違反)になった判例があります。

「ぼく、知らなかったもん!」は通用するのか?
先日のこちら。 路側帯を通行する自転車も一時停止義務がありますが、そもそも。 路側帯には停止線もないし、一般人の感覚だと歩道と路側帯の違いがわかってないなんてザラ。 43条は停止線自体は必須要件ではありませんが、一般人の感覚だと路側帯通行自...

福島県内でサンダル履き運転をした事件です。
福島県公安委員会規則で禁止されていたことを被告人が知らなかった(被告人が住んでいた地域では当時禁止されていなかった)から無罪とした一審判決について、検察官が発狂して控訴した事件

 

違法の認識が犯意成立の要件でないことについては、従来大審院の判例としたところであつたが、新憲法施行後においても最高裁判所は、刑法第38条第3項の解釈として有毒飲食物等取締令違反被告事件につき、犯罪の構成に必要な事実の認識に欠けるところがなければ、その事実が法律上禁ぜられていることを知らなかつたとしても、犯意の成立を妨げるものではない旨の説示をして、従前の判例を維持し(昭和23年(れ)第203号、同年7月14日大法廷判決、刑集2巻8号889頁参照)、その後も同裁判所は、「自然犯たると法定犯たるとを問わず、犯意の成立には、違法の認識を必要としない。」とし(昭和24年(れ)第2276号同年11月28日第三小法廷判決、刑集4巻12号2463頁参照)「犯意があるとするためには、犯罪構成要件に該当する具体的事実を認識すれば足り、その行為の違法を認識することを要しないし、またその違法の認識を欠いたことにつき過失の有無を要しない。」として(昭和24年(れ)第1694号同26年11月15日第一小法廷判決刑集5巻12号2354頁参照)、右大法廷判例の趣旨に従つた判決をしており、当裁判所も、右各判例の見解に従うのが正当であると思料する。
本件において、昭和35年福島県公安委員会第14号福島県道路交通規則第11条第3号は、道路交通法第71条第7号の規定に基づき車輌等の運転者が守らなければならない事項として「運転の妨げとなるような服装をし、又は下駄、スリツパ、サンダルその他これらに類するものをはいて自動車又は原動機付自転車を運転しないこと」と規定しているところ、被告人の原審第1回公判調書中の供述記載、司法警察員作成の犯罪事実現認報告書および被告人の当審公判廷における供述によれば、被告人は、昭和37年9月13日午後4時40分頃福島県双葉郡富岡町大字本岡字前谷地内道路において、サンダルをはいて普通自動車を運転した事実を認識しており、ただ、右規則第11条第3号の規定を知らなかつたにすぎないものであることが認められるから、右各判例の趣旨に徴し被告人の本件所為は、刑法第38条第3項にいわゆる法の不知に該当し、その犯意を欠くものではないといわなければならない。

 

東京高裁 昭和38年12月11日

以上から「ぼく、知らなかったもん!」というわけにはいかないことになります。

 

まあ、ローカルルールってね…知らない人は知らないので。
結局、ルールはルールとしても、最後の最後は善意とか譲り合いなのよ。
義務の有無を押さえた上で、義務以上のことをすることは禁止されてませんし。

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