読者様から聞いたのですが、福島県に小沼崎バイバス(1.5キロ)という道路が開通したらしい。
国道の迂回路的なパイパスになり、狭い国道を避けて通行できるようになるそうな。
で、読者様の疑問は、
全然知らない道路なので調べたのですが、パイパスができる前の国道はこんな感じ。
路側帯もほとんどない上に路端の荒れも酷く、自転車が安全に走れる道路とは言い難い。
まあ、田舎の道路ってこういうところが多いですよね。
で、新しくできた小沼崎バイバス。
こんな動画を見つけた。
確かにパイパスの入口には「歩行者通行禁止、軽車両・自転車通行禁止」の標識がある。
けど
どういう道路設計なのか調べたところ、路肩もしくは路側帯の標準は2.5mになっている模様。
確かにこんだけ路端が広いのに自転車通行禁止は切ない。
チャリはガタガタで狭い国道を走れということか…
で、この分野はあまり詳しくないので間違っているかもしれないけど、なぜ自転車通行禁止なのかについて。
このパイパスって「地域高規格道路」の指定を受けて総延長距離50キロのうち1.5キロ部分が開通したようですが、
地域高規格道路の要件って、元々はこんな要件らしい。
・交差点は立体交差
・4車線以上
・原則として自動車専用道路
その後緩和されて、こうなったらしい。
・2車線以上
・平面交差可能
・車道と「歩行者」「自転車」は構造分離すれば可能
要は元々、地域高規格道路ってほぼ高速道路みたいなイメージの道路で、自転車や歩行者を対象にしていない。
その後「構造分離すれば」歩行者や自転車も通行可能にできるようにしたみたいだけど、白線で路側帯を区切っただけでは要件的にダメ…なんだと思う。
縁石や柵などで構造分離して歩行者・自転車の通行を可能にできるようですが、
路端に2.5mの路側帯又は路肩があるのに、自転車の通行は「地域高規格道路」の指定を受けた以上、構造分離しないとダメなんじゃないかな。
ガタガタの旧道と、ピカピカのパイパスの差。
路端がないに等しい旧道と、2.5mと広い路側帯があるパイパスの差。
自転車としてどっちのほうが安全・安心に通行できるかと言われたら明らかですよね。
けど自転車インフラってこういう何らかの法規制や、条例、通達などにより制限が掛かることはまあまああるので、法律等が現状に追い付いていない面がある。
そもそもこのパイパスも、事業に着手したのが平成9年だそうですし。
なお、自転車通行禁止道路を通行するのは違反になるのはもちろんですが、事故に遭ったときには過失割合としてもかなりマイナスに働くので、間違っても自転車で突破しちゃダメです。
国道の「自転車通行禁止」の標識を見逃して通行し、後続車に「追突」された事故について、自転車の過失を40%と認定した判例があります(横浜地裁川崎支部 令和元年6月21日)。
静岡県内の国道246、自転車通行禁止を見逃して通行中に後続車に追突された事故ですが、本来は追突された事故なら過失はほぼゼロ。
けど自転車通行禁止を重く見た裁判所が自転車過失を40%としてます。
おそらく地域高規格道路の要件的に、歩行者や自転車の通行を認めるには構造分離する必要があるのだろうと思うけど、ポジティブシンキングすれば「クルマはパイパスに流れていくから…旧道の通行量が減り…自転車がちょっと走りやすく…なる…」のかもしれません。
ネガティブシンキングすれば、「こんなキレイで広い道路から自転車を排除しやがって!」になるでしょうけど、ポジティブに捉えるなら
「クルマはパイパス、自転車は旧道」
と棲み分け…されると…いいのかも…しれません。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
構造分離が必要なので歩行者や軽車両が通行止めってのが原因なのかと思いますが、
道路の幅が広くてもトンネルの幅とか、高架に伴う強風、特に横風、傾斜に関しても考えないと駄目かも。
その点では構造分離しないとトンネル出口で横風に煽られて転倒やら、
視界不良(逆光)に伴う追突やスリップでの死亡事故多発みたいになっても困りますし。
※幸いトンネルは南北方向なので視界はマシかもですが……
最低でも冬季は通行止めでしょうねぇ、雪国だし。
道幅が広いのも案外除雪用とか、故障車が出た時に支障が無いようにかも。
コメントありがとうございます。
おそらく、元々は高速道路に近いイメージだから構造分離を要求しているのでしょう。
基本的には交差点すらない構造ですし、生活道路ではない前提なので自転車の通行は考えていなかったのかと。
高規格道路だと現実として平均速度が100km/h以上とかだったりしますから、道を作る側もある程度考慮してるのでしょうか。
コメントありがとうございます。
本来は80キロ前提の道路ですが、現実の速度との兼ね合いから自転車通行可にするには構造分離しか認めてないのかもしれませんね。
まあ、クルマはバイパス、自転車は旧道みたいな形になるならそれも悪くないかもしれません。
私はポジティブ派なので、バイパスが完成すれば旧道を自転車が走りやすいように再整備して欲しいなと思ってますし、できるだけ道路管理者に要望を届けるようにしてます。
自動車専用の橋梁は、そもそもアプローチの斜度が厳しく自転車では相当緩速になってしまうこと、なにより欄干が自動車用に設計されているため低く、自転車のような高重心では転落の恐れが高いことなどから、自転車での走行には向いていませんしね。
コメントありがとうございます。
その通りで、すみわけされるならそれはそれでいいんですよね。
クルマはバイパス、自転車は旧道みたいな分類になるならそれはそれでいい話です。