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自転車の横スレスレを追い抜きして事故が起きた場合、自転車に過失がつくか?

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いまだに自転車の横スレスレを追い抜きする危険行為がありますが、

改正道路交通法18条4項を気にする人も多い。

この規定、左側端寄り通行(18条1項)している分には何ら関係ありませんが、至近距離で追い抜きされた場合に自転車にも過失がつくのかについて、判例を2つ挙げます。

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大阪地裁 令和4年12月21日判決

この事故は自転車ではなく原付ですが、事故の概要。

片側二車線の道路にて、被害原付は車道外側線付近を通行中、後続車が追い抜き時に接触。
後続車は「接触して初めて気づいた」という状況です。
時間帯は夜間。

本件事故は、先行していた本件道路左端を走行する被害車両の後方から相対的な高速度で走行してきた被告車両が、被害車両を右側から追い越す際に、被告車両の左前角部を被害車両の右バックミラーに接触させ、同車両及び被害者を転倒させた事故であると認められる。
被告は、被害車両と接触するまで同車両の存在を認識していなかったから、被告には、前方を走行する被害車両の存在及び動静を注視せず、前方不注視により被告車両を被害車両に衝突(追突)させた過失がある。

被害車両は、本件事故時、被告車両の前方の本件道路左端(左路側帯ないし第1通行帯の左端付近)を走行していたと認められるところ、本件全証拠によっても、被害車両が蛇行をし、あるいは、被告車両側に進路を寄せたなどの事実は認められない。このような状況において、後方から走行してくる被告車両が被害車両の存在を見落としたまま右側から追い抜きをし、被害車両に接触させることを予見し、これを回避すべき義務があったということはできない。
したがって、被害者について、本件事故について何らかの落ち度があったということはできず、過失相殺をすることはできない。

大阪地裁 令和4年12月21日

若干気になるとしたら、被告は過失運転致死罪の被疑者として逮捕されたものの不起訴。
行政処分は「安全運転義務違反(70条)」と「人の死亡に係る交通事故」として付加点数16点の通知を受けたものの、軽減措置により免停90日に短縮。

 

事故の態様について争いがあることから見ると、刑事責任は証拠不十分で不起訴なのかもしれません。

神戸地裁 令和4年12月20日

こちらは自転車の事故です。

片側二車線道路の側道(合流)で、幅員約3.8m、自転車の通行位置は左端から約1.7m。
後続車が追い抜きした際に接触した事故です。
被害自転車は無過失を主張、加害者は過失相殺を主張。

本件事故の態様は、被告車が、前方にある原告車ないし原告の身体に向かって走行した結果追突等したというものではなく、原告車のハンドルグリップ(右)の端が、被告車の後部側面に接触した結果、原告がバランスを崩して転倒したという態様のものであること、衝突地点の道路幅員は約3.8mと解されるところ、原告車と被告車の接触した地点は、歩道の端から約1.7mの位置にあったことに照らすと、原告は、本件道路を普段から通行しており、また、当時の車両の交通量に照らせば、後方から進行し原告車の側方を通過しようとする自動車があることは予見可能であったというべきであり、原告の走行位置は、左寄りではあるものの左側端とは言い難いことを考慮すれば、原告にも過失があるというべきである。
この点、原告は、原告には、予見可能性、回避可能性がなかったとして、本件事故が、被告の一方的過失によるものである旨主張する。しかし、本件道路が、原告が普段から通行しているものであることに加え、当時の本件道路における車両の通行状況に照らせば、予見可能性がなかったとはいい難いし、被告車左後部側面と原告車のハンドルグリップ右端とが接触したとの前記認定説示に係る事故態様に照らせば、回避可能性が皆無であったとはいえない。また、原告は、道路構造令上、自転車通行帯の幅員が原則として1.5m以上と定められていることを根拠に、自転車が通行すべき範囲を、車道の左端から少なくとも1.5m以上を指す旨主張するが、同令は、自転車通行帯が設けられる場合の規制について定めているものであり、道路の幅員等諸般の事情が整って初めて自転車通行帯が設けられ得ることを考慮すると、自転車通行帯が設けられていない本件道路において、同令の定める幅員をもって「左側端」の範囲を判断するのは相当ではなく、接触地点までの距離が道路幅員の約45%を占めることをも考慮すると、本件道路の左側端を通行していたものとは評価し難い。

神戸地裁 令和4年12月20日

被害者に10%の過失相殺をしていますが、控訴審が和解になっているので詳細は不明。

そもそも

改正道路交通法18条4項が過失になるか?ですが、そもそも18条1項違反が今までも過失扱いされてきたので、さらに加重して過失扱いされるわけではないかと。

 

ちなみにこの手の判例は、事故態様や状況次第でいくらでも判断が変わります。
改正18条4項にしても、わざと後続車をブロックしたりしなければ問題になる可能性は無さそうですが、そもそも過失って「予見可能性」と「回避可能性」の問題。
道路交通法違反とは必ずしも関係しない。

 

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