こちらについて質問を頂いたのですが、
これは違反になるのでしょうか。
これ、私もちょっと勘違いしてましたが、何ら違反ではありません。
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自転車が横断歩道で右折できる理由
まず、歩行者用信号の意味はこれ。
信号の種類 | 意味 |
人の形の記号を有する青色の灯火 | 二 特例特定小型原動機付自転車及び普通自転車は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。 |
これは「横断歩道において右折」じゃないのか?ですよね。
これ、そもそも見逃していたのですが、車両用信号の青灯火の規定。
施行令2条で「直進」とあるときは、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む)と読み替える。
なのでこのような場合、
右折しようとする地点まで直進し、その地点で右折すると対面信号もないので、そのまま進行できます。
なお、右折した際に17条4項(左側通行)や18条1項(左側端寄り通行)の規制を受けるため、二段階右折風になる。
そして歩行者用信号の「赤灯火」については、横断を禁止しています。
信号の種類 | 意味 |
人の形の記号を有する赤色の灯火 | 二 横断歩道を進行しようとする特例特定小型原動機付自転車及び普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。 |
横断歩道において直進、左折、右折のどれも「横断」を伴うため、一律で禁じていることになる。
なので動画のように「横断歩道において右折」することは可能です。
右折後に対面信号がある場合はその位置で信号待ち。
ちなみに「左折できる」とあるとはいえ、
「左折できる」だから交差点を突っ切ることが可能だと考える人はいないでしょうけど、念のため。
「赤色信号を殊更に無視する」とは,故意に赤色信号に従わない行為のうち,およそ赤色信号に従う意思のないものをいい,赤色信号であることについて確定的な認識があり,停止位置(本件では本件停止線)で停止することが十分可能であるにもかかわらず,これを無視して進行する行為がその典型的なものであるが,ここで停止位置で停止する可能性が問題とされるのは,赤色信号の意味として車両等が停止位置を越えて進行してはならない旨定められていること(道路交通法施行令2条1項)による。しかし,停止位置で停止できず,それを越えて進行する車両に対し,赤色信号が何も規制しないということではなく,停止位置を越えて進行することを禁じる赤色信号の意味は,単に停止位置を越えることを禁じるのみならず,停止位置を越えた場合にもなお進行を禁じ,その停止を義務付けるものである。黄色信号が同じように停止位置を越えて進行してはならないものとされながら,当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く旨の例外が定められているのに対し,赤色信号についてそのような例外の定めがないことはそれを示している。そうすると,「殊更無視」の解釈に当たり,本件停止線で停止可能か否かが決定的な意味を持つものではなく,本件停止線で停止できないことから直ちに赤色信号の「殊更無視」が否定されるものではない。
東京高裁 平成26年3月26日
要はこのような場合に「右折地点」で信号待ちする義務があるとは解釈できないけど、
右折/左折した結果、交差点内に進入するのであれば話は別。
そもそも分かりにくい
そもそもいまだに「特定小型原付は特例モードにしないと横断歩道を渡れない」と勘違いしている人もいますが、例えばこのように単路の押しボタン式横断歩道の場合。
理屈の上では、路外のコンビニから歩道を横切り、たまたま横断歩道がある場所で右折することもある。
そうするとこうなる。
・全ての車両は横断歩道を渡ることが禁止されていない(ただし正常な交通を妨害するおそれがあるときは横断禁止、25条の2第1項)
・歩行者用信号は「特例特定小型」に対する規制はあるが、「特定小型」に対する規制はない。
交差点ではない単路の押しボタン式横断歩道の場合、自動車や特定小型原付が赤信号のまま横断して右折しても、「正常な交通を妨害するおそれがなければ」何ら問題がないことになります。
うちの近所なんて、こうですよ。
駐車場から歩道を横切り車道に出て右折する際に、クルマは歩行者用信号に従う義務がない。
なので赤信号のまま「横断歩道において右折」しても25条の2第1項により「正常な交通を妨害するおそれがなければ」違反ではない。
しかしクルマの運転者は、押しボタンを操作し、車道の交通を止めて安全に「横断歩道において右折」する笑
これも何ら違反じゃないのよね。
歩行者用信号が赤だろうと青だろうとクルマには関係ないし、かといって車道を通行する車両は三灯式信号が赤なら進行できない。
特定小型原付が交差点で三灯式信号に従って「横断歩道を横断」しても違反じゃないのよね。
要は施行令2条は従うべき信号機がどれなのかを指示しているだけで、特定小型原付が特例モードにしないと横断歩道を渡れないわけではない。
ただし、25条の2に抵触する場合は横断禁止です。
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。
たまに「車両が横断歩道を渡るときに25条の2は適用されない」なんて珍説を見かけますが、明らかに「横断」だし、その珍説を採用したらクルマが横断する際に何ら義務がないことになり大変不合理だと思いますが…
以前、「青信号で横断歩道を渡る自転車も正常な交通だろ!」みたいに噛みついてきた人もいましたが、第三者が正常な交通なのかの話であって、横断が正常かどうかなんて話をしてないのよ。
ということで話が逸れましたが、冒頭の映像は何ら問題ありません。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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