過去にもいくつか、ディスクブレーキのロードバイクについて記事を書いていますが、
http://roadbike-navi.xyz/archives/243
私自身、過去の記事でも現在でも、ディスクブレーキのロードバイクについてはまだ買わないほうがいいかなと思っています。
ただ、個人的には欲しいとは思っていませんが、そろそろ買ってもいいかなとは思える兆しが出てきているような気もします。
ディスクブレーキ車に潜む問題点
個人的な印象ですが、ディスクブレーキのロードバイクについては、性能という面ではむしろキャリパーブレーキよりもいいと言い切れる部分もあります。
それは具体的に言うならば、制動力とリムの耐久性ですね。
ブレーキの制動力ですが、ディスクブレーキでは握力がない女性でもしっかりかけることができるとか、雨天時などでも制動力が落ちにくいという点は大きなメリットです。
また、キャリパーブレーキの場合はリムをブレーキシューで挟み込んで制動力を得ようとするので、特にカーボンリムの場合は破損に気を付けなければなりませんし、アルミリムでも一生使い続けられるわけではありません。
ディスクブレーキの場合、リムを挟み込むわけではないので、リムの寿命が著しく伸びるのは間違いない事実です。
過去に書いた記事について、だいぶ前にメールで批判してきた方がいました。
ディスクブレーキに乗ってもいないクセに、批判するような記事書いてんじゃねーよ!
要約するとこんな感じです。
ただ何か勘違いしているようですが、私が考えるディスクブレーキのロードバイクにおける最大の問題点は【乗る以前の問題】だと思っています。
なので乗ってから書け!というレベルの話ではありません。
最大の懸念は、普及するかが不明すぎること
私がディスクブレーキのロードバイクに対して抱いている懸念ですが、大きくは二つに分けられます。
規格の問題
ディスクブレーキのロードバイクが登場した初期は、リアエンド幅135mmでクイックリリースというのが標準的な規格でした。
しかしこの規格は1年程度でほぼ消えました。
現在の主流はリアエンド幅142mm、12mmないし15mmのスルーアクスルです。
いまは12mmスルーアクスルのほうが優勢でしょう。
2018年モデルのディスクブレーキのロードバイクを見たときに、ほぼ【リアエンド幅142mm、12mmスルーアクスル】という規格で統一された感はありますが、実はいまだに135mm&クイックリリースというものも存在します。
ホイールメーカー側も色々と工夫して、様々な規格に対応できるようにしていることもあるのですが、今後は恐らく【142mm、12mmスルーアクスル】が標準的な規格になっていくでしょう。
そうなったときにほかの規格が淘汰されて、最悪の場合は補修用にパーツを調達したくても手に入らない可能性もあります。
そういう最悪のことを考えるとなかなか手を出しづらいなと思ってしまうので、まだ買うのは様子見たら?というのが私の意見です。
これは乗ってどうこう以前の問題ですね。
しかしながら、規格としてはほぼ統一されていた感じですので、【142mm、12mm】なら今後も大丈夫でしょう。
FELTのVRシリーズを見ると、VR40以上のモデルでは【リアエンド幅142mm、12mmスルーアクスル】なんですが、VR50とVR60についてはリアエンド幅135mm、クイックリリースなんですよね・・・
FELT(フェルト) 2018年モデル VR60【ロードバイク】
普及するかの懸念
詳しい統計データを持っているわけではないのですが、キャリパー車とディスク車を比較した場合、間違いなくキャリパー車のほうが多いのは確実です。
最近、ごくまれにディスクブレーキのロードバイクを見かけるようになりましたが、それでも【ごく、まれに】です。
実際のところ、どのプロショップに行っても、置いてあるロードバイクはキャリパー車が圧倒的に多いでしょう。
一番の懸念事項なのですが、いくらプロ選手が乗っても、いくら雑誌などで宣伝しても、一般ユーザーに売れなかったらその商品は廃れていきます。
これがディスクブレーキのロードバイクの最大の懸念事項で、もし思ったよりも売れなくてメーカー側が【やーめた】と言った場合、そのあとのパーツの供給性などで苦労するのが目に見えています。
これも乗ってから話すことではなく、乗る以前の問題なんですね。
どんなに性能が良くても、一般ユーザーが買わなかったら廃れていくのは当然のことです。
これが怖くて、私は手を出したいとは思っていませんでした。
これからはディスクブレーキの時代?
【これからは間違いなくディスクブレーキの時代が来る】と説明しているプロショップがあるという話も知っています。
そう説明しているショップの話を聞くと、【プロ選手も乗っているから】などと言われてしまうこともあります。
プロ選手はあくまでも広告塔みたいなもんです。
スポンサーの意向は完全に無視することはできません。
未来を正確に予知できる人間なんていませんが、ロードバイクの未来がどうなるかをある程度の根拠に基づいて推測していく必要があります。
私自身は、例えば一般ユーザーの過半数がディスクブレーキのロードバイクに乗っているような日が来るか来ないかでいうと、たぶん来ないだろうと思っています。
フレームメーカーが思い切ってディスク用フレームだけにするとかそういうことをしない限りは、今後もキャリパー用の従来のフレームを求める人が多いかと。
ディスクブレーキを買う人は、そのほとんどが【ロードバイク一台目】に限られてくるのではないでしょうか?
日本で売られているロードバイクのほとんどは、日本以外のメーカー製で、輸入品です。
そのため、輸入代理店が日本にあることが普通です。
例えばLOOKですが、日本の代理店サイトを見る限り、ディスクブレーキのロードバイクは一つもありません。
ですがフランス本国のサイトを見ると、ディスクブレーキ車もあったりします。
こちらは日本では販売されていない、765 OPTIMUM DISC ALLROADという車種ですね。
ALLROADとあるので、もしかしたらグラベルロード的な存在なのかもしれません。
ただ、日本では代理店がこれを販売していません。
勝手な予想ですが、日本では売れないと判断しているのかもしれませんし、ほかの事情があるのかはわかりませんが。
本国仕様と日本仕様が違うというのはどのメーカーでもあったりしますが、LOOKの代理店は何らかの事情でこれを販売していないということになります。
すでにキャリパーブレーキのロードバイクを持っている人は、それなりのホイールを持っていたりすることも多いです。
ディスクブレーキのフレームに買い替えた場合、今まで使っていたホイールは使い道がなくなってゴミになってしまいます。
それを嫌がって、フレーム買い替えでも完成車買い替えでも、既にロードバイクに乗っている人がディスクブレーキ車に行く可能性は低いのではないでしょうか。
ディスクブレーキとは直接関係ありませんが、もしリア12速コンポが出た場合、キャリパー車のリアエンド幅130mmでは足りずに拡張すると言われています。
これはほぼ間違いないでしょう。
もしキャリパー車でもエンド幅が135mmなどに広がった場合、既存のホイールがどう対応するのかが問題になりますよね。
もし対応できるようなコンバージョンキットみたいなのをホイールメーカーが作ってくれなければ、ホイールも買い替えになります。
なのでキャリパー車でも今後はわからない部分もあるのですが、とりあえず今のところはリアエンド幅130mm、クイックリリースで規格が定まっているとみていいでしょう。
ディスクブレーキ車の場合はこのあたりが不透明な感じがします。
だいぶ規格も統一されてきた感がありますが。
なのでディスクロードを買うときは、とりあえず今最も安定しているメジャーな規格のリアエンド142mm、12mmスルーアクスルを買っておいたほうがよさそうです。
これはグラベルロードでも同じかと。
個人的には、2019年モデルの各社のディスクブレーキ車を見てから判断しても遅くないのかなと思いますが、もしロード一台目でディスクブレーキのロードバイクを買う場合は、フレーム規格に注意したほうがいいでしょう。
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2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
日本のマーケットは特殊かもしれませんがトレンドは作れません。
あくまで欧米に追従するのみです。 長い目で見ればリムブレーキは自然に淘汰されていくでしょう。
同じ映画でも馬鹿高いプレーヤーで見るDVDより安いプレーヤで見るBlu-Rayの方が綺麗なのと同じです。
貴重なご意見、ありがとうございます。
一点お聞きしたいのですが、欧米ではディスクブレーキ車への買い替えが結構増えているのでしょうか?
海外の事情は全く分かりませんが、確かに日本独自のトレンドを作れるかというとそこは難しいと思います。
欧米ではアマチュアレベルでもディスクブレーキ車への買い替えがトレンドとなってきているなら、とおりすがり様のおっしゃる通りになっていくかと思いますが、日本以上に機材にはお金をかけない傾向がある欧米のアマチュアではディスク車が流行っているのでしょうか??
日本人はアマチュアでもデュラエースだアルテグラだと高級機材を使う傾向がありますが、特にヨーロッパなどではあまり機材にお金をかけないという印象を持っていましたので、海外ではどうなっているのか知りたいです。
結局のところ、フレームメーカーもパーツメーカーも、あくまでも一般ユーザーに買ってもらうために開発しているわけで、海外のアマチュアレベルでディスクブレーキへの買い替えが急速に進んでいるなら、いずれは日本でもそれに追従せざるを得ない状況、つまりは根本的にリムブレーキのフレームが少なくなるなどが起こると思うのですが、海外でディスクブレーキへの買い替えがそれほど進んでいないなら、そこまで普及しないのではないかと思っています。
とおりすがりです
こんな記事があります。
http://roadbike-navi.xyz/archives/5200/
この中で北米の場合新車の7割がディスクブレーキだとか書いてありますね。
2018年のロードの新モデルはディスクのみだったってのはどこのメーカーでしたっけ? Felt? Trek?
イギリスの自転車情報サイトなんか見てても新車のレビューはディスクブレーキ装着車が多いですね。 欧米の方がシクロクロスの需要も高いし…やっぱり時代はディスクでしょう?
上リンク見てあれ? 同じサイトだと思い混乱しました。
書いた人が違うのでしょうか?
コメントありがとうございます。
>この中で北米の場合新車の7割がディスクブレーキだとか書いてありますね。
これは私が書いている記事ですが(というより、このサイトの記事は私しか書いていません)、7割がディスクロードという話は読者様からのタレコミ情報です。
それに対して裏付けを取りたくて検索したところ、ワイズの記事がありました。
>2018年のロードの新モデルはディスクのみだったってのはどこのメーカーでしたっけ? Felt? Trek?
どこのメーカーかまでは把握していません。
しかしながら、それぞれの国で販売されている車種は違う場合もありますので、もしかしたら北米ではどこかのメーカーがディスクモデルしか販売していない可能性もあります。
これはわかりません。
LOOKでも本国サイトにはディスクロードがありますが、日本のLOOK代理店はディスクロードを取り扱っていません。
恐らくは売れないと判断しているのでしょう。
こういう感じで、それぞれの国の代理店が、それぞれの国で売れやすい車種のみ輸入している可能性はあります。
>上リンク見てあれ? 同じサイトだと思い混乱しました。
書いた人が違うのでしょうか?
すみません、これの意味がどうにもわからないのですが、何か書いていることに矛盾があったということでしょうか??
ディスクロードについては、正直なところアンケートを取った後、読者様からのタレコミで少し見方が変わったのが事実です。
私の中では、ディスクロードはナシだと思っていましたが、世間の流れがディスクに向かっているなら、キャリパー車滅亡の危機を迎える可能性もゼロではなくなってくるので、その場合は必然的にディスクにいかざるを得ないかと思っています。
コメントの意味を理解できなかったので、補足お願いします。
>>上リンク見てあれ? 同じサイトだと思い混乱しました。書いた人が違うのでしょうか?
>すみません、これの意味がどうにもわからないのですが、何か書いていることに矛盾があったと>いうことでしょうか??
変な誤解を生んでしまい申し訳ありません。
実はアーカイブ5200の記事を数日前に拝見してからここの記事(アーカイブ5120)を読んだんです。
でこの記事で返信を書いている時にアーカイブ5200の記事を思い出してリンク張って返信し終わった後に改めてリンク先のサイト名見たら同じサイトだったので困惑。 さらに記事の投稿日を見て混乱。
出た結論がサイト内で複数のライターが記事を書いているのだろう…ってな訳です。
確かに日本の代理店は売れそうな品しか販売しませんね。 でもそれで流行りとニーズを見誤ればユーザーはどんどん海外通販へと流れて行くことでしょう。
コメントありがとうございます。
当サイトは見ての通り、デザイン的にもやる気がない簡素な作りをしていますので、完全個人ブログですよ。
なのでライターなどと言えるような人はいませんし、私一人で気ままに書いています。
ディスクロードの件ですが、正直なところで言うと私自身はほとんど興味がなかったのですが、ディスクに関する質問が増えているので、【ディスクロードはもうそろそろ買いなのか?】という記事をまず書いて、その後アンケートを実施。
その中で読者様から北米事情に関するタレコミをいただいたので、アンケート結果とともに紹介したという経緯です。
なのでもしかしたら、最初に書いた記事とは矛盾が生じているかもしれません。
もしそうであればご指摘ください。
ただ、アンケート結果でディスクロードを求める層がかなりいることが分かり、北米事情のタレコミ情報から、私の中でのディスクロードに対する見方が変わってきているのは事実です。
もし疑問点がありましたら教えてください。