ちょっと前に取り上げたこちら。
無知を晒すことを覚悟の上でポストします。道交法の知識で自信がなくなりました。
※添付画像※
地元のある十字路交差点なのですが、白い実線の矢印が左と右のみ。直進はなし。しかし直進方向に進入禁止の標識も無し。
実情として多くの車が直進しているのですが、この場合直進はできるのですか? pic.twitter.com/T1ZPDVc701— タッキー (@n_tackey79) July 4, 2024
「直進」は可能なのか?という話。
要はこれ、正面にある道路は私有地の駐車場入口なので、路外に退出する扱いであって「交差点を直進」ではないので可能なわけですよね。
これ、読者様からGoogleマップの画像を頂いたのですが(記事のコメント参照)、

私有地通路なのかと。
で、指定通行区分として「直進」を示した場合、ある意味では行政が「私有地に直進してよい」とお墨付きを与えたことにもなります。
直進先が公道であればそれも問題ないでしょうけど、私有地に直進可能だと行政が矢印を出すのはたぶん問題になるんじゃないですかね。
私有地なので問題が起きた場合、行政は関与できない。
けど行政が直進可能だと示すと、責任が生じる。
なのであくまでも直進ではなく、「横断」(25条の2第1項)と捉えるのが適切。
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。
「道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折」とも捉えられますが、右左折してないのに右左折扱いするのも問題。
「横断」でいいと思う。
道路交通法上、私有地通路を「道路」(一般交通の用に供するその他の場所)と捉えた場合、私有地通路を含め交差点になってしまいますが、
ここの私有地通路ってGoogleマップで見ると、単にスーパーの駐車場だけではなく市役所や民家があるっぽいのよ。
なので「道路」(一般交通の用に供するその他の場所)であって「交差点を直進」と見なさざるを得ないのですが、
シンプルに道路交通法のバグなんだと思う。
前回記事で挙げた東京高裁/最高裁判例にしても、どこか苦し紛れ感は否めない。
駐車場の通路と公道の交点を交差点と認めると、駐車場通路のほうが「明らかに広い」になってしまい優先関係がぐちゃぐちゃになる笑。
普通に考えれば私有地通路から公道に出ることは25条の2第1項の「路外出入右左折」か「横断」だから最劣後するのに、なぜか道路交通法を素直に適用すると逆になる…
要はこれって、私有地通路と公道の間に「歩道」があれば全て解決します。
歩道がある以上、私有地通路と公道は交差点を形成しないで「道路外」なんだと明確になる。
けど歩道がないから話がややこしくなる。
とはいっても、私有地通路を含め交差点の規定を適用すると
私有地通路に一時停止標識もないし、左方優先の適用があるんじゃないか?と疑義が生じる。
結局、道路交通法を純粋に適用するとバグが起きる典型例なんでしょうね。
なお、数年前のGoogleマップをみると、第1通行帯には何の矢印もなく第2通行帯のみ右折矢印があったり、左右道路はセンターラインがある優先道路になっていた痕跡もあります。
何かしら問題が勃発して規制内容を変えたのかもしれません。
私有地通路と公道の交点を交差点と認める(つまり私有地通路を道路と認める)と、こういうバグが起きます。
曖昧さ回避のため歩道を挟まないとまずいのよね。
しかし、昭和40年代に最高裁を巻き込んで揉めたネタが、いまだに改善されずに存在するのだからビックリします。
最高裁判例にしても駐車場の通路を道路ではないとして決着してますが、じゃあ駐車場通路で飲酒運転してお咎めなしにするのか?という疑問がある。
「私有地通路⇔公道に出入するのは全て25条の2」だと決めたほうがシンプルな気がするけど、昭和の判例ってこういうネタで最高裁まで巻き込んでいるのが凄い。
道路交通法通りに解釈しようとすると、バグが起きる典型例なんでしょうね。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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