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右左折しかできない交差点なのに、直進可能な交差点。

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これって、道路交通法ではイマイチ解釈できなくなるまあまあ深い話なんですが、

「直進」は可能なのか?という話。
要はこれ、正面にある道路は私有地の駐車場入口なので、路外に退出する扱いであって「交差点を直進」ではないので可能なわけですよね。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

「道路外に出入するための右左折」と捉えるか、「横断」と捉えるかは悩ましいですが、右左折してない以上「横断」と捉えるほうが適切か。

と言いたいところですが、この解釈にはやや問題が残ります。
私有地の通路を道路交通法上の「道路」(一般交通の用に供するその他の場所)と認めた場合、私有地通路と交差点の間に歩道がないことから私有地通路も含めて「交差点」と解釈することになってしまう

五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。

T字路交差点と私有地通路の間に歩道があれば問題ないのに、歩道がない以上は「道路」(私有地通路)とT字路交差点が直接接続していて、十字路交差点とみなさざるを得なくなり、私有地通路に進行することが「交差点を直進」に該当するのではないかと。

 

私有地通路を道路とみなさなければ解決しますが、駐車場入口の私有地通路を道路とみなさず、交差点ではないとしたものがあります。

 

事案は最高裁 昭和46年10月27日。
被告人は駐車場通路から南進して東西道路(公道)に進入した際に、東西道路を進行していた車両と衝突
これについて原判決は駐車場通路を「道路」(2条1号)と解釈し、駐車場通路と東西道路を交差点(2条5号)とした。
ところが問題が勃発。

 

駐車場通路の入口部分が楔形をしていた関係で、東西道路(公道)よりも駐車場通路のほうが「明らかに広い」(36条2項)になってしまい、優先関係がぐちゃぐちゃになってしまう笑。

被告人が、普通乗用自動車を運転し進行してきた、逗子市新宿一丁目二番地の県営駐車場の土地は、昭和39年に神奈川県が逗子都市計画に基づく街路用地として買収したもので、将来は田越川に架橋して右駐車場から桜山海岸通り小坪線道路に達する県道を建設する予定になつているところ、右計画達成までの間、夏期対策として一時的に駐車場として開放されたものであるが、本件当時においては夏季のみにかぎらず、常時一般に開放使用され、駐車場の出口すなわち南西側は本件において被害者の運転する普通乗用自動車が進行してきた、南東側において約3.85m、同人の進行方向北西側において約3.90mの市道245号線にほぼ直角に交接し、同道路を隔てて国道134号線に交差する幅員10.80mの道路に通じ、駐車場に向つて右側出口付近すなわち南側には高さ1.65mの、表示板の部分、縦1.00m横2.00mの「県立無料駐車場神奈川県」と書いた木製の表示板が、被害者の進行してきた前記市道に面して立つており、東北側は田越川に接し行き止まりとなつているが、これに至る間の左右部分に駐車区劃線を設け、中央部分を車路とし、駐車区劃線内は駐車の為だけに利用されるべきものであつたとしても、中央車路部分は右に駐車するための不特定の車両が通行できるように区劃され、現況も少なからぬ車両がそのように右車路部分を通行利用していただけでなく、右駐車場の西北方に接するホテル逗子ガーデンおよび同所一階に設けられているいくつかの飲食店へ赴く客等も自由に右駐車場内を通行していたものと認められる。ところで、道路交通法は2条1号で道路の定義をしているが、右にいう道路は道路法に規定する道路等のほかに、特に、「一般交通の用に供するその他の場所」をも掲げているから、前記のように県営駐車場内の一部であり、田越川によつて行き止まりとなつており、また入口に前記のような表示板が立つていても、別段管理人もおかれておらず、少くとも本件駐車場内の中央車路部分は不特定の人や車両が自由に通行できる状態になつており、現にそのように通行利用されていたものと認められるから、右にいう道路に該当するものと解するのが相当である、と考える(最高裁判所昭和44年7月11日第二小法廷判決参照。)。検察官が、答弁書に掲げる判例の趣旨をできるかぎり参酌してみても、前記中央車路の部分が道路であると認定することの妨げとなるものとは思われない。特に、道路性を否定した仙台高等裁判所昭和38年12月23日判決や、検察官が特に答弁書に掲げていないが、同じく道路性を否定した東京高等裁判所昭和45年6月3日第7刑事部判決は、当該箇所の通行につき土地管理者の許可ないし諒解を要した場所、すなわち、客観的に不特定多数の者の交通の用に供されているとみられない場所についての判決であるから、本件とは事案を異にし適切でない。そして、この点については、原判決も、本件中央車路部分の道路性を一義的に否定し去つているわけではなく、「かりに駐車場内の中央部分が道路にあたるとしても」として、それを前提とする判断を示しているのであるから、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の解釈、適用を誤つた違法がある、とはいえない。

ところで、右車路部分は、被害者の進行していた市道245号線への出口において幅員9.42m、奥行47.00m、田越川に接する部分において幅員3.68m(同地点の幅員を前記市道と平行に測定すれば幅員がより狭くなることは明らかである。)、というくさび状の形をしていて、右市道出口付近においては、幅員3.85mないし3.90mの同市道より道路の幅員が明らかに広いと認められるが、右車路の部分は、前記のとおり、駐車場内に設けられた奥行わずか47.00mの袋地で、かつ、くさび状の形をしているきわめて特殊な道路であるばかりでなく、右駐車場の市道ぎわの入口付近には県立無料駐車場神奈川県と記した前記縦1.00m横2.00mの木製の表示板が立てられていることなどからみても、右が通り抜けできる普通の道路であるとは何人にも思われない特異な通路であることに思いをいたすと、右市道を進行する車両と右車路から進出してくる車両との本件交差点における優先通行の順位を単にその幅員のみを基準として一義的に決定しようとするのは妥当な見解とはいい難い。最高裁判所昭和43年7月16日第三小法廷判決が、「車両等が道路交通法第42条にいう『交通整理の行なわれていない交差点で左右の見とおしのきかないもの』に進入しようとする場合において、その進路の幅員が明らかに広いため同条により優先通行権が認められているときには直ちに停止することができるような速度にまで減速する義務があるとは解されない。」としているのは、その進路が、これに交差する道路よりも明らかに幅員が広い通常の道路であることを前提とし、このような場合には当該交差点における優先通行の順位が一般社会見解上おのずから明らかであるから、その車両の運転者に徐行ないし停止の義務を課さなくても、その間に交通上の混乱を生ずる恐れのないことを考慮した趣旨に出たものと解せられる。したがつて、単に交差点における道路の幅員の広狭のみを比較してただちに本件車路に優先通行の法理を適用し、これに右判例の趣旨とするところを推及しようとするのは、妥当な見解とはいい難い。してみると、右車路の市道への出口の幅員が9.42mで、被害者の進行していた右市道よりもその幅員が明らかに広くても、左右の見とおしがきかない本件交差点においては、前記最高裁判所昭和43年7月16日判決の趣旨に鑑み、被告人が、被告人が、事故の発生を防止するため、右交差点に入ろうとするにあたつて徐行して左右道路の安全を確認し、場合によつては一時停止するなどして事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるものといわなければならない。原判決が、広路優先の法理の適用のない理由として、本件車路が通り抜けのできない袋地であることのみをあげているのは、ややその説明が不十分であるとも思われるが、結局結論においては正当であり、法令解釈の誤りはない、というべきである。

東京高裁 昭和45年7月30日

要は駐車場通路と東西道路(公道)を交差点と解釈した場合、駐車場通路のほうが「明らかに広い」ことになり、駐車場通路進行車両が優先権を持つことになってしまう。
そして当時の最高裁判例は42条の徐行場所について、優先道路と明らかに広い道路は左右の見通しが悪い場合でも徐行義務がないと解釈していた。

車両等が道路交通法第42条にいう『交通整理の行なわれていない交差点で左右の見とおしのきかないもの』に進入しようとする場合において、その進路の幅員が明らかに広いため同条により優先通行権が認められているときには直ちに停止することができるような速度にまで減速する義務があるとは解されない

最高裁判所 昭和43年7月16日

そうすると、駐車場通路を進行していた被告人は徐行義務がなく、しかも明らかに広い道路だから公道を通行していた被害者より優先だという謎解釈に陥る。

検察官
検察官
駐車場通路は道路(2条1号)だろ!
読者様
読者様
ということは、駐車場通路と公道の接点は交差点だな。
公道よりも駐車場通路のほうが明らかに広いのだから、被害者よりオレが優先じゃないか!
しかも広路車は左右の見通しが悪くても徐行義務がないと最高裁が昭和43年に判断したばかりじゃないか!
検察官
検察官
なに!
交差点と言っても単なる駐車場に過ぎないのだから、交差点の優先規定を適用するのは不適切だろ!
読者様
読者様
だって法律上はオレ優先だし、オレに徐行義務はないんだろ?
いい加減なことを主張するな!

東京高裁は

右が通り抜けできる普通の道路であるとは何人にも思われない特異な通路であることに思いをいたすと、右市道を進行する車両と右車路から進出してくる車両との本件交差点における優先通行の順位を単にその幅員のみを基準として一義的に決定しようとするのは妥当な見解とはいい難い

という解釈を用いて、力技で交差点の優先関係を適用せず被告人を有罪に。
そして最高裁は「そもそも道路じゃない」というさらに力技を発揮。

本件は、被告人が、本件駐車場から南進し東西に通ずる公道を横断して進行する際、同公道を西進してきた被害車両と衝突しその同乗者を負傷させたものであるが、原判決は、右駐車場の中央部分は、当該駐車場に駐車する不特定の車両が通行利用しまた右駐車場西側に隣接するホテルなどの利用客等も通行しているものであることを理由に、右中央部分を、道路交通法二条一号にいう「一般交通の用に供するその他の場所」に該当し道路であるとして、それを前提に被告人の過失を認定している。ところで右駐車場は、公道に面する南側において約一九・六米、川に接している北側において約一四・一米、南北約四七米のくさび型の全面舗装された広場であつて、そのうち東側および西側部分には、自動車一台ごとの駐車位置を示す区画線がひかれ、南側入口には、県立無料駐車場神奈川県と大書された看板があつて、その広場の全体が自動車の駐車のための場所と認められるところであるから、駐車位置区画線のない中央部分も、駐車場の一部として、該駐車場を利用する車両のための通路にすぎず、これをもつて道路交通法上の道路と解すべきものではない。ホテルなどの利用客等のうちには、右駐車場を通行する者があるとしても、それはたまたま一部の者が事実上同所を利用しているにすぎず、これによつて右駐車場中央部分が、一般交通の用に供する場所となるわけのものではない。これに反する原判断は、事実を誤認したか法律の解釈適用を誤つた違法があるものといわなければならない。ところで被告人は、右駐車場から公道に出て進行したのであるから、駐車場から公道に出るに際し、一時停止または徐行をして左右の安全を確認すべきであつたのであり、これを怠つた被告人には過失がある。とすれば、被告人にかかる過失を認めた原判断は、その結論において正当であるから、その前提における右の誤りは、判決に影響を及ぼさない。

最高裁判所第二小法廷 昭和46年10月27日

原判決は駐車場通路を「道路」とし、交差点と解釈したけど駐車場通路のほうが公道よりも明らかに広いことになってしまった。
それを「普通の道路に見えないのだから交差点の優先関係を適用するのは違うだろ」と力技で被告人の注意義務違反を認定。

 

最高裁は「そもそも道路じゃないし」とし、あくまでも路外から公道に進入した扱いなんだから一時停止又は徐行して左右確認するのは当たり前だろ(25条の2第1項)としてますが、なぜ駐車場通路が道路ではないのかの説明は避けた印象。

 

要は冒頭のケースも同様で、私有地通路を「道路」と解釈すると歩道を挟んでいない以上は「交差点」になり、交差点の優先関係が適用されるのではないか?という疑義が生じます。
左方優先だの適用すると、実態と合わないのよ。

 

だって、路外から公道に進入する車両は最劣後なんだから。

 

結局、道路交通法を厳格に解釈するとどこかにムリが出るので、最終的には条文解釈よりも実情を優先して解釈することになりますが、あくまでもT字路交差点にたまたま駐車場通路が接続していると捉えるのが妥当でしょうね。
なので理屈の上では、左折レーンと右折レーンしかなくても「まっすぐ進行して横断し、路外に出る」ことは問題ないことになりますが、道路交通法を厳格に解釈するとどこかにムリが出るという…

コメント

  1. きゃばりーのらんぱんて より:

    ちっと気になったのですが、路面標示の矢印のみで、指定方向外進行禁止の標識はいらないのでしたっけ?

    ここは
    大館市, 秋田県
    https://maps.app.goo.gl/RAsQWPz9cMAMWpZ27
    みたいなのですが、撮影時期で標示が消滅してたり、冬季は積雪で見えないのに変な気がします。

    まあ、素直に直進しなければ問題がないですよね(笑)

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      要は直進は「路外退出」なので、指定方向外進行禁止を使っても意味がないのです。
      おそらく、T字路にたまたま私有地の通路が接続して十字路風に見えるだけです。

  2. 元MTB乗り より:

    ちなみに、正面の敷地に入る場合はどちらのレーンが良いのでしょうか。どっちでも良いのかもしれませんが。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      どちらでもかまわないですが、左レーンのほうがスムーズに見えます。

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