ちょっと前に取り上げた件。
「交差点内は駐停車禁止だから、青信号で横断歩道を通行する歩行者にクラクション鳴らして蹴散らせ!」という恐ろしい主張をする人すらいますが、
このように交差点前後に信号のない横断歩道があり、交差点奥にある横断歩道に横断歩行者がいた場合、車が一時停止する位置は、その横断歩道直前(交差点内)です。(参考:執務資料 道路交通法解説)#知れば止まれる横断歩道止まれば渡れる人がいるpic.twitter.com/voL5v4HI8K
— とまるん@信号のない横断歩道(交通安全) (@tmr38z) July 15, 2024
交差点内は「法令による一時停止」は禁止されていない。
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
信号がある交差点でも同じです。
横断歩道が青信号に変わることが予見されるので減速接近義務(38条1項前段)を免れず、青信号に変わった瞬間から「横断しようとする歩行者」に対し一時停止&妨害禁止(38条1項後段)。
だからこういう判例がある。
青の信号で交差点に進入した自動車運転者が、前方の横断歩道上左端付近に左から右に横断しようとして佇立している歩行者を認め、さらに右交差点の中央付近まできたときに前方の信号が黄色に変わったのを認めた場合には、直ちに横断歩道直前で停止すべき業務上の注意義務はないけども、間もなく歩行者に対する信号が青に変わり、歩行者が当該横断歩道を左から右に横断を開始することが必至であるから、自動車運転者としては、右歩行者の通行を妨げないよう配慮するとともに減速徐行し、状況に応じいつでも急停止し得るような態勢で横断歩道またはその付近における歩行者の動静を絶えず留意して進行するなど、その安全をはかる業務上の注意義務がある。
東京高裁 昭和41年10月19日
スクランブルでも事理は同じ。
ここか、
ここで一時停止義務。
いろいろ想定してみればわかるけど、黄色灯火時間を長くしたり、全赤時間を長くしても「交差点内は停止禁止」という誤った価値観からアップデートされない限りはなにも変わらない。
昭和41年東京高裁判決は、まだ38条1項前段が規定される前の判例。
業務上過失致死傷判例では38条1項前段が規定される前から減速接近義務を認めてきたわけですが、誰かがモディファイさせて「こ、交差点内は停止禁止です!」とか、「交差点即時退出義務!」みたいな誤った価値観が生まれてしまった。
そりゃ変ですよ。
こんなところで一時停止する車両はめったにいないので見慣れないから。
けど法規に従うと正解はここ。
正しい概念にアップデートされない限り、信号パターンを変えても同じです。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
個人的には、黄色出れない交差点に侵入するな、通り抜けるスペース月ないのに交差点に侵入するな、を徹底すれば交差点で停止しなきゃならない羽目になることは無いと思うんですけど、守られ無い事月分多いですね。
以前、自転車で黄色信号で停止したら、交差点を抜けた後に後続のスポーツカーに幅寄されましたね。
コメントありがとうございます。
二段構えで「黄色停止」、「間違って黄色進入したなら横断歩行者一時停止」にしているので、どちらかをやっていただければ十分なんです。
しかし実態は…