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「指定方向外進行禁止」と、自転車の「横断」。

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以前書いたこちらについてご意見を頂いたのですが、

自転車の右折と横断は分かりにくい。
先日の記事に補足。 このようにプレイすることが「交差点右折方法違反(34条3項)」に該当するのか?というと、 交差点の定義は2以上の道路(歩道と車道の区別がある場合は車道)なので、これは交差点を右折したわけではない。 「横断」して歩道に上が...

読者様
読者様
右折禁止(左折のみ可)で歩道に向かって右折した以上、違反なのでは?

「右折禁止」という概念を改めたほうがいいのかもしれませんが、いくつか質問を。

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指定方向外進行禁止の概念

では質問です。

 

A、指定方向外進行禁止として右折禁止になってます。

違反が成立するのはどの時点でしょうか?

 

①右折することを決意しウインカーを出した時点で違反
②右折を開始した時点で違反
③車体が右折方向に完全に向いた時点で違反
④右折先の交差道路に車体が進入した時点で違反

B、指定方向外進行禁止として右折禁止になってます。

以下は違反でしょうか?

 

①ガソリンスタンドに入るために右折した
②駐車場に入るために右折した
③転回した

C、指定方向外進行禁止として、直進のみ可能になってます。
自転車が交差点において車道から歩道に入りましたが、指定方向外進行禁止違反になるでしょうか?

 

D、「車両横断禁止」の標識があります。

以下は違反でしょうか?

①交差点を右折したら違反
②道路外の施設に入るために右折したら違反

さて、正解は?

正解編

指定方向外進行禁止違反の成立時期

まずはこちら。

問 指定方向外進行禁止(右方向進行禁止)の標識がある図示交差点で、車両が右に向きを変えている「A」時点で取締りができるか。

答 指定方向外進行禁止違反として検挙することはできない。
指定方向外進行禁止は、過去に行われていた「右折禁止」とはその成立時期において差があると考えられる。
すなわち指定方向外進行禁止とは、「交差点において指定された方向以外の道路に進行することを禁止するもの」と解されるので、交差点を過ぎて進行を禁止された方向の道路(斜線部分)に到達した「B」時点ではじめて既遂となる。
したがって、設問の時点ではいまだ未遂の状態にあるので、指定方向外進行禁止違反を行ったことにはならない。
実務上は既遂に達するまで待っていることなく、積極的に違反行為をしないように指導すべきである(交通関係質疑回答集)。

関東管区警察学校教官室 編、「実務に直結した新交通違反措置要領」、立花書房、1987年9月

つまり違反の成立は④。

「右折」とは?

問 指定方向外進行禁止交差点における「A車」の横断転回行為①、②、③は違反になるか?

答 指定方向外進行禁止違反にはならない。
指定方向外進行禁止の規制の道路標識は、交差点において一定方向の道路に進行することを禁止するもので、ガソリンスタンドや駐車場等の道路外の施設に出入するための横断や転回を禁止するものとは意味が異なる。
したがって交差点もしくはその付近で、あたかも指定方向外に進行するような形態で進行しても、路外の施設に入る行為や、転回行為は指定方向外に進行したことにはならない。
交通上の危険を防止するため、このような進行車両を禁止するためには、車両横断禁止又は転回禁止の規制をしなければならない。

関東管区警察学校教官室 編、「実務に直結した新交通違反措置要領」、立花書房、1987年9月

なので、「交差点を右折」したら違反になるけど、路外右折横断や転回は違反にならない。

 

同じ理由でこれ。

右左折するために交差道路に進入した時点が違反ですが、通行区分を車道から歩道にシフトしただけなので指定方向外進行禁止違反にはなりません。

車両横断禁止

車両横断禁止は交差点を右折することを禁止している趣旨ではなく、道路外への右折や横断を禁止する趣旨。
なので、②は違反ですが①は違反にはならない。

指定方向外進行禁止が規制する意図

話は戻りこれ。

指定方向外進行禁止とは、「交差点において指定された方向以外の道路に進行することを禁止するもの」と解される

指定方向外進行禁止の規制の道路標識は、交差点において一定方向の道路に進行することを禁止するもので、ガソリンスタンドや駐車場等の道路外の施設に出入するための横断や転回を禁止するものとは意味が異なる。

交差点の定義は2以上の道路(歩道と車道の区別がある場合は車道)が交わる部分。
指定方向外進行禁止が規制するのは、歩道がある場合には車道から交差点を通過して違う車道に進入することを規制しているわけ。
「右折禁止」ではなく、「交差点で右折禁止」なわけよ。
それこそこれの①なんて、右折行為自体は交差点内で起きてますが、路外への右折であって交差道路に進入してないので違反にはならない。

分かりにくいといえば分かりにくいけど、指定方向外進行禁止は「右折禁止」ではなく「交差点を通過して違う車道に右折することを禁止」。
あくまでも下記は横断なのよね。
「歩道に向かって右折」という見方もできるけど、それは指定方向外進行禁止が規制する内容ではない。

まあ、分かりにくいといえば分かりにくいけど、自転車は歩道を通行できる分、解釈がちょっとややこしい。
車道から車道に右折したなら違反だけど、車道から歩道に向かって右折した行為は「横断」であり「交差点を右折」ではないのよね。

解釈がややこしくなる理由

たぶん「車両の横断」という概念でつまづくのかなと思うのですが、25条の2では「道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折」と「横断」を分けているから勘違いしやすいのかも。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。

そもそも、「道路外への右左折」って概念は昭和46年以前は全て「横断」なのよ。

[改正の要点]
車両が道路外に出る場合の方法として、新たに道路外へ出るため左折するときの方法を定めるとともに、道路外に出るため左折または右折をしようとする車両が
道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして合図をした場合には、その後方にある車両は、その速度または方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除いて、合図をした車両の進路の変更を妨げてはならないこととした(25条の改正)。

[解説]
現行規定では、道路外に出るときの方法に関しては、より必要性が高い右折をする場合についてのみ規定しているが、今回の改正により、左折をする場合の方法についても規定し、車両は、道路外に出るため左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、徐行しなければならないこととした。
現行規定では「左折」または「右折」の用語は、交差点における左折または右折の場合のみに用い、交差点以外の場所については「右に横断」という表現をしているが、今回の改正により、交差点以外の場所についても「左折」または「右折」の用語を用いることとした。現行規定による「右に横断」する行為は、改正後は道路外に出るため右折し、引き続き横断する行為として捉えることができる。

「道路交通法の一部を改正する法律」(警察庁交通企画課)、月刊交通、1971年8月、東京法令出版

元々は「横断」と呼んでいた道路外への右左折を「右左折」と呼ぶことにしても、道路外への右左折には必ず横断を伴う。

 

25条の2第1項の右左折が「道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折」と限定しているので、道路外の施設に出入りする目的ではなく歩道を進行する目的で右左折するのは「横断」なのよ。

どちらにせよ、「交差点を右折」していない以上は指定方向外進行禁止規制の対象にならない。
車両の横断という概念がピンとこない人が多いのかも。

 

ちなみに私はよく「道路外に右折横断」と書きますが、

「道路外に右折」するには必ず横断を伴う。
あくまでも横断なんだと捉えたほうがスッキリする気がするけど、車両の横断は最劣後。

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