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歩道通行青切符報道からみる、情報との向き合い方。

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自転車の歩道通行について青切符対象(取り締まり対象)とアナウンスされ、パブコメで「原則として歩道通行のみで取り締まりすることはなく、警察官の指示に従わない場合や徐行義務違反、歩行者妨害は取り締まり対象」とアナウンスされた件。

警察庁パブコメ結果に見る警察庁の考え方。
さてこちら。警察庁はパブコメの結果を公表していますが、そもそもこのパブコメ、かなりの人が勘違いしていたことがありまして。警察庁パブコメの真意今回のパブコメは「道路交通法施行令改正案」についてのものでして、改正案は自転車に青切符を適用する際の...

これ、当初から指摘しているように、歩道通行要件に「やむを得ないと認められるとき(63条の4第1項3号)」がある以上、歩道通行の事実のみで取り締まりすることはきわめて困難です。

 

だったら「歩道通行(通行区分違反)」で取り締まりするという当初のアナウンスはなんだったのか?という話になりますが、

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。

国家公安委員長/警察庁は当初から「青切符は警察官の指示に従わない場合や、具体的危険を認めたときに限定し、原則は注意指導」とアナウンスしていたわけで、結局「歩道通行(通行区分違反)」とは63条の4第1項の但し書きを意味しているのだと理解できる。

ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。

63条の4第1項の但し書きに該当する場合は、違反としては17条1項(通行区分)になります。

○ 自転車の運転者による反則行為のうち、交通事故に直結する危険な運転行為をした場合や、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合といった、悪質・危険な行為が自転車の交通違反の取締り対象となります※。
○ 一方で、単に歩道を通行しているといった違反については、これまでと同様に、通常「指導警告」が行われます。青切符の導入後も、基本的に取締りの対象となることはありません※ 。
※ 例えば、スピードを出して歩道を通行して歩行者を驚かせ立ち止まらせた場合や、警察官の警告に従わずに歩道通行を継続した場合には、取締りを受ける場合があります。

国家公安委員会委員長記者会見要旨
令和5年12月26日(火)11:02~11:09

 

問   自転車運転の青切符を盛り込んだ報告書が国家公安委員にも報告されたと思います。そこでお伺いしたいのは今後の教育の問題です。特定小型原付でも具体的な教育があまりなされている様子がなくて、今後、警察庁だけではなくて文科省とか総務省とも連携しなければならないと思います。閣僚としてどのように働きかけるおつもりかお願いします。

答  まずご指摘の自転車につきましては、近年、対歩行者との事故が増加傾向にあるとこういうふうにまず認識をしております。そのことを踏まえまして、警察庁においては、本年の8月以降、有識者検討会を開催してきたところでございます。お尋ねのとおり、このたび、有識者検討会においては、安全教育、違反の処理、交通規制の3点に関して、今後の取組の方向性について提言をする中間報告書が取りまとめられ、提言いただいたところでございます。
このうち、交通安全教育につきましては、官民の知見により、それぞれの年齢層、ライフステージに応じた安全教育に係るガイドラインの策定をいたしまして、安全教育の質の担保をすることが提案されているところでございます。これを実現するためには、教育現場や自治体との連携が非常に重要であるため、関係省庁に対して必要な働き掛けを行っていくよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。
そのようにしっかりと連携をいたしまして、やってまいりたいと思っておりますが、違反の処理につきましては、自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度の対象とすることが提言をされておりますが、制度の運用に当たっては、指導警告をまず原則といたしますこれに従わないなどの特に悪質、あるいは危険な違反に限っては青切符による取締りを行うことにより、目的である違反者の行動改善を促すこと、こういった取組をしっかりとやってまいりたいと考えております。

問   取締りについては、まず切符を切るということではないということですね。

答  申し上げたとおり、まずはやはり指導警告これを原則といたしておりますので、報道等では即青切符というイメージが残っておりますが、やはり交通ルールを守っていただき、結果的に事故が起こらないことが私どもの目的でございますから、その点については、申し上げたとおりでございます。

国家公安委員会委員長記者会見要旨

実効性のある指導警告

運転に免許を必要としない自転車利用者に対して交通ルールを認識させる機会でもあることから、違反者自らの違反行為の危険性や交通ルールを遵守することの重要性について理解できるよう実効性のある指導警告を行う。

取り締まりの推進

警察官の警告に従わずに違反行為を継続したときや、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたときなどには、積極的に取締りを行う。

https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf

令和5年末の記者会見の内容から何も変わらないし、そもそも法律を理解していれば「やむを得ないと認められるとき」がある以上、歩道通行事実のみで検挙することはきわめて困難としかいえない。
つまり警察官の指示事項違反(63条の4第1項但し書き、17条1項)のことを「取り締まり対象(青切符対象)」とアナウンスしていたのだと理解できる。

で。
一義的には誤解を招くメディア報道が悪い。
確かに通行区分違反が青切符になるにしても、令和5年国家公安委員長の会見や警察庁のアナウンスをみれば、その対象はきわめて限定的だと理解できるところ、一律青切符であるかのような誤解を招く報道を繰り返した。

 

次に問題なのは、メディア報道や警察庁の意図を調べようともしない一部の方々。

宮田浩介氏のすり替え論法は理解し難い。
こちらの記事。宮田浩介氏は原付の重量が80キロ程度であり、スピードも簡単に30キロを越える点を挙げ「自転車と原付は他害性が違うのだから、原付と同じ反則金は公正さを欠く」という主張をしてますが、これは宮田浩介氏の藁人形論法。原付とは一般原付と...
自転車青切符パブコメにみる「炎上商法」。
自転車青切符パブコメは単なる炎上商法だと思ってみてました。というのも、メディアや自称有識者たちは「歩道通行したら即青切符で反則金」という前提を作り、「そんなのおかしい!」と騒いでいたわけですが、そもそも道路交通法63条の4には「歩道通行でき...

これって結局、警察庁が意図した「歩道通行の取り締まり」とは①警察官の指示事項違反②徐行義務違反③歩行者妨害なんだと理解できるところ、意味を理解しなかった方々がパブコメやSNSでハッスルしまくり、警察庁がビックリして火消ししただけなのよね。
警察庁の方針は終始一貫何も変わらない。

 

ハッスル系バカが騒いだだけですが、痛いことにこれらの方々は「パブコメでハッスルしたから警察庁が方針を変えた」と勘違いし、民意の勝利だと宣伝に使ってしまう。

 

こちらの人にしても事実誤認を前提に批判を展開することがしばしばみられるので、「三流政党の手法と変わらない」と言わせてもらいましたが、

普通自転車通行指定部分は「原則」徐行。
なにやらおかしな話をし始める人がいますが、意見数5926件で、多くが車道通行の危険性や歩道通行に対する反則金の問題に言及。警察庁は歩道通行可標識が無くても車道が危険なら取り締まらないとの考えを示しましたが、歩道に自転車通行指定部分があっても...

歩道通行の件にしても、警察庁の方針は終始一貫何も変わらないのである。
しかし勝手に曲解し、パブコメやSNSでハッスルしまくり、ハッスルしたから警察庁が方針を変えたのだと勘違いし、ハッスルすることが大事なんだという大きな間違いを宣伝する。

 

曲解してハッスルすることよりも最初からきちんと調べて正しい情報を宣伝することが大事なのは言うまでもないし、なんでもかんでも持論のダシにする精神が三流政党と同じなのよ。

 

で。
何が言いたいかというと、マスコミ報道から短絡的に捉える前に、まずはひたすら情報を集めましょう。
もちろん「情報」とはメディア報道のことではなく、警察庁などが出した公的な文書や専門書などのこと。
集める段階では「情報を集めること」のみに集中し、バイアスを掛けて選別してはいけない。

 

そしてかなりの数の資料が集まったら、それらを統合して整理しましょう。

 

そうすれば、今回の件にしても真相は

「歩道通行したら即青切符」というガセネタが広まりパブコメで発狂するバカが大量発生したことについて、警察庁がビックリして正しい法解釈と当初の方針通りに整理して解説しただけ

とわかるのでして。

 

とにかく情報を集めてから統合して整理する、というのは重要で、「38条2項に対向車を含むか問題」や「路側帯通行自転車は三灯式信号に規制されるか問題」も同じなのよ。
ごちゃごちゃ騒いだ人ほど、ほとんど調べてないし調べようともしていない。

38条2項と、44条3号の関係。
こちらについてご意見を頂いたのですが、これは私の説明不足でした。これについては他の記事でも触れてますが、昭和46年改正以前の44条は今と違うんです。昭和39~46年昭和46年以降横断歩道の手前の側端から前に五メートル以内の部分横断歩道の前後...
警察の逐条解説も「路側帯は交差点に含まれる」と。
先日のこちら。なかなか凄い根拠を探してくる人もいるんだなと思いましたが、調べてみたら解説書の交差点の定義のところで「道路から路側帯を除いた車道の交わる部分をいうものと解される」とありました。 pic.twitter.com/TXKawZfT...

けど、一部の方々は「パブコメでハッスルしたから警察庁が翻意した」と思っているんだろうな…

コメント

  1. 木人形 より:

    こんにちは
    違法改造により怪我、被害が大きくなった場合その部分にも過失割合が適用されるのでしょうか
    例えばフェンダーからはみ出たタイヤやホイールナットに北斗の拳に出てくるバギーのようなナイフみたいな突起物付けていてそれらにより怪我が大きくなったらどうなるのでしょうか
    大きくなった怪我分の証明が大変な気はしますけど

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      これはケースバイケースです。
      その改造次第では過失を加重することもあります。

      損害拡大防止義務違反という概念があり、その改造をしなければ被害が小さかったと推認できるなら過失が加重されるかと。

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