昨年、自動車整備工場から発進する際にブレーキとアクセルを踏み間違え歩道を歩いていた親子が死亡した痛ましい事故がありましたが、

この事故、公判での報道をみて違和感がありました。
公判では、被害者遺族の意見陳述も、遺族側の代理人弁護士が代読するかたちで行われた。
亡くなった母子の夫、そして父である男性は、被告に対して「悔しさや残念な気持ちはあるものの、事故当初から憎しみや恨みはない」と言及。その上で、「事故を起こしたことは彼(被告)の本意でないにせよ、しっかりと罪に向き合って償ってほしい。その後はいち早く社会復帰して、少しでも世の中のためになる行動をしてほしい」と述べた。
一方、出庫時に誘導員を配置していなかったことや、被告と勤務先の自動車整備工場が今回のような事故が起きた際の保険に入っていなかったことなど、安全対策への強い疑問も示された。
「他人の車を預かる以上、ミスがある前提で安全対策するべきだった。その備えであるはずの保険に入っていなかったことに驚がくしている。人通りの多い路面店で平気で車を預かり整備していた、そういう工場は他にもたくさんあるのではないか。国や自治体は、自動車整備会社の保険加入を義務化してほしい」
これらの安全対策については、裁判所も被告人に確認するなど、関心を示している様子だった。
Yahoo!ニュースYahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
被害者遺族からすると、強い怒りなのかと思いきやそうでもないというか。
被告人は事実関係や過失の有無を争っておらず、被害者遺族に対しても反省を示していたようですが。
被告人の過失

いわゆる踏み間違え事故ですが、裁判所が認定した過失はこれ。
被告人は、整備中の自動車の試運転のために、同自動車を運転して整備工場からこれに接する歩道を横切って車道に後退進出するに当たり、整備工場内の段差を乗り越える際にブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んで自動車を後方に暴走させ、歩道を歩行中の二人の被害者に衝突させ、れき過して死亡させたものと認められる。被告人は、整備工場内では慎重に自動車を後退させようとしており、無謀運転や悪質な交通違反が事故の発端となったものではないが、市街地の歩道に接する整備工場内においてアクセル及びブレーキを的確に操作するという基本的な注意義務を怠っており、過失の程度は小さくない。なお、本件の自動車は、他の自動車と比べてペダルが左寄りに配置されていた上、事故当時、フロアマットがアクセルペダルの一部に被さっており、これらの事情がペダルの踏み間違いの一因となった可能性があるが、被告人は、自動車整備士として自らこれを整備した以上、自動車の状態に即した運転をすべきであったから、これらの事情は過失の程度を大きく下げるものではない。もとより二人の被害者に何ら落ち度はない。そして、本件事故により母子二人の尊い命が失われており、家族で温かな時間を過ごしていたところを突然車でれき過されて命を奪われた母子二人の苦痛や無念さは計り知れず、目の前で妻子を失った被害者参加人ら遺族の喪失感や辛さはとても大きいものと認められ、結果は極めて重大である。以上の犯情によれば、被告人の刑事責任は重いというべきである。
その上で、一般情状をみると、被告人も被告人を使用していた会社も本件事故を補償する自動車保険に加入しておらず、そのこともあって、上記のとおり結果が極めて重大であるにもかかわらず、遺族に対する被害弁償が一切なされていない。そうすると、被告人が本件事故を引き起こしたことについて深く反省し、事案の真相解明に積極的に協力していること、被告人に前科がないことなどの情状を斟酌しても、本件は刑の執行猶予が相当な事案とはいえず、被告人を主文の実刑に処することはやむを得ない。東京地裁 令和6年7月19日
若干気になるのはここ。
事故当時、フロアマットがアクセルペダルの一部に被さっており、これらの事情がペダルの踏み間違いの一因となった可能性があるが、被告人は、自動車整備士として自らこれを整備した以上、自動車の状態に即した運転をすべきであった
フロアマットがアクセルペダルに重なっていたことが踏み間違え事故の一因になった可能性があると指摘してますが、それを整備したのは被告人。
被告人の過失を減じる要素ではないとする。
ちなみに報道に出ている話は、判決文にはほぼ出てきません。
事故を起こした車は、車検のために工場へ預けられていた。アクセルやブレーキに異常はなく、事故当時は8割ほどの作業が完了している状態だったという。
この工場では、タイヤの側面とホイールが傷つくのを防ぐために木製の板が設置されており、出庫する際はアクセルを踏み込んで板に乗り上げ、すぐにブレーキを踏んで停止させる必要があった。被告はこの日、整備した車を試運転するため出庫させようとしたところ、ブレーキを踏んだはずがエンジンの回転数が上がり、車は急加速で後退。サイドブレーキも引けるだけ引いたが止まらず、反対車線側に建つマンションの柵に衝突し、停止したという。
Yahoo!ニュースYahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
けどあれですよね。
フロアマットの重なりが事故の一因になった可能性があるとしてますが、普通に防げた事故なのよ。
出庫の際にアクセルを踏み込んで板を越えてすぐにブレーキを掛ける構造にしていたのも疑問だし、さらにはフロアマットがアクセルペダルに重なっていたことなんて普通に回避可能な話。
出庫時に誘導員がいなかったことも問題ですが、話からすると誘導員以前に構造とフロアマットの件が問題。
そして会社も被告人も保険に入っていなかったことから弁済が一切なされていないにもかかわらず、被害者遺族の怒りは比較的緩和されているのは、被告人なりに謝罪を示したのだろうか。
注意すること

この事故の一因に「フロアマットとアクセルペダルの重なり」が指摘されている以上、ここは誰しも起こりうるミス。
とりあえずクルマを運転する人は、この単純なミスがないかきちんと確認する必要がある。
まあ、そんなミスは普通はないのですが…
けどこの事故判決を見る限り、過失自体は何ら複雑でも難しい話でもない。
シンプルかつ単純なミスなのよ。
小さなミスが大きな結果に繋がることは多々ありますが、よくある「サンダル履き運転」なんかもちょっとくらい大丈夫と思って重大な結果になりうるので、甘く見ちゃダメなのよね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


コメント
右ハンドル車は関係ないんですが、左ハンドル車だとアクセルペダルの右がフロアトンネルで、その部分のカーペットの擦れを防ぐために、パッドが張り付けてある車があります。このパッドが剥がれかかっていてペダルが引っ掛かって戻らなくなる事故がたまにあります。
そもそも両方足で踏むから間違えるわけで、ナルセペダルとか異なる動作にすれば間違わないのに。
コメントありがとうございます。
なるほど。
確かに別の動作にしたほうが間違いはなくなるかもしれませんね。