川口の時速100キロ一方通行逆走暴走事故について、さいたま地検は危険運転致死での起訴を断念し、過失運転致死で家裁送致した件は昨日書きましたが、

これって「通行禁止道路態様」(2条8号)に該当しないし、残念ながら「進行制御困難高速度態様」(2条2号)も判例上は難しい。
要は危険運転致死傷罪って危険な運転による事故全般を指すのではなく、危険な運転のうち特に危険なタイプのみに絞って厳罰化したことから、このような「漏れ」が出てしまうわけですが、
こういうのって、気持ちはわからんでもないけどさ、検察が忖度したわけではなく危険運転致死傷罪の条文が悪いから当てはまらないのであって、悪いのは法律。
きちんと勉強すれば、悪いのは法律なんだと理解できますが、こういう誤認識の批判の何がダメかというと、本来非難すべき論点がズレて議論が散漫になる上、非難されるべきではない人が非難に晒されるからなんですよね…
例えば同レベルの話として、ちょっと前に中国籍の人が危険な運転をして事故を起こしながら現行犯逮捕されなかった事案がありますが、あろうことか「中国籍だから現行犯逮捕されなかったのでは?」とか「神奈川県警の忖度か?」なんて解説をする人すらいる。

これが現行犯逮捕ではなかった理由は報道をみれば明らかなように、容疑者が救急搬送された以上、刑訴法上の逮捕要件(証拠隠滅や逃亡のおそれあり)を満たさないからでしかない。
現行犯逮捕したらむしろ違法になりうる案件なのに、不勉強な人は「中国籍だから」とか「神奈川県警の忖度」なんて誤った解説をする。
本来非難すべき危険な運転方法から論点がズレた上、こんなヘイトスピーチレベルの解説をして中国籍の人全体に影響しかねないし、こういう人と同レベルなのよね。
検察の名前を書き換えるのも同レベル。
しかしまあ、飲み屋で聞いた感想レベルで「安物のスクラップ材」呼ばわりするような人もいるし、低レベルにも程がある。
不勉強は悪なのよ。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
昨今の外国人絡み事件は特定の政治不信を煽るネタとして殊更大きく使われてる印象ありますね
法の不備やら他の政党政治家は問題視しないのか、と問うと工作員のレッテルが貼られるようです
コメントありがとうございます。
工作員のレッテルですか笑。
工作船呼ばわりされないだけマシなのかも。