路側帯の話題ついでに、散歩がてらひたすら路側帯を観察してきました。


ちょっと興味深い事例がありまして。
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路側帯に停止線
一般的に、路側帯がある道路に横断歩道ある場合、横断歩道部分は路側帯が途切れていて道路全幅に横断歩道が設置されている。
通常はこうであり、
こうはなっていない。
単路の押しボタン横断歩道。
交差点の無信号横断歩道。
ところが、信号交差点で路側帯が途切れず横断歩道がある場所を発見。
そしてこの交差点、なぜか路側帯にも停止線あり。

これは狙ってこうしたのだろうか。
路側帯が途切れず横断歩道がある場合でも、路側帯通行車両は交差点に進入する以上、信号規制の対象。
けど分かりにくいから路側帯にも停止線があるのだろうか。
分かりにくいよね
そもそも路側帯と路肩を混同する人は多いし、これにしても知らない人が多い予感。
法2条1項5号の規定により路側帯は交差点に含まれる(1.3-図4)
東京地方検察庁交通部研究会、最新道路交通法事典、東京法令出版、1974、9ページ
路側帯が設けられている道路においては、路側帯を含めた道路が交わる部分を交差点という
東京高裁 昭和60年3月18日(刑事)
交差点とは、十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路の交わる部分である(道交法二条五号)。そして歩道と車道の区別のある道路においては車道の交わる部分をいい(道交法二条五号かっこ内の部分、歩車道の区別がある道路とその区別がない道路が交わる場合について高松高判 昭和40・5・11下刑集7・5・789)、路側帯が設けられている道路においては、路側帯の部分を含めて道路の交わる部分をいう(警視庁交通部・実務のための道路交通法逐条解説上巻12頁)。
「道交法の解釈 交差点の意義と範囲」、竹重誠夫(東京地裁判事)、判例タイムズ284号、1973
施行令2条の三灯式信号の意味をみると、「停止位置を越えた進行」を制御していて、停止線がない場合の停止位置とは「交差点の直前」としている。
法の規定があくまでも「交差点への進入」を制御していて、「車道通行時」とか「歩道通行時」のような規定ではない以上、交差点の範囲を理解できないと信号遵守できないのよね…
以前もこんなのありましたよね。

このように歩道を通行していた自転車について
「これは信号無視ではない!」と発狂する自転車乗りがいて本当にビックリしたのですが、交差点の範囲には隅切りを含む。
なお、道路交通法2条5号にいう道路の交わる部分とは、本件のように、車道と車道とが交わる十字路の四つかどに、いわゆるすみ切りがある場合には、各車道の両側のすみ切り部分の始端を結ぶ線によつて囲まれた部分――別紙図面斜線部分――をいうものと解するのが相当である。
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日
交差点の範囲はここ。
三灯式赤信号は「停止位置を越えて進行するな」であり、停止位置とは「交差点の直前」なので余裕で信号無視なのよ。
横断歩道も歩行者用灯器もない場合、歩道通行自転車が三灯式信号に従う場合すらあるので、「車道の信号」とか「歩道の信号」と考える時点で的外れ。
規制対象はあくまでも交差点への進入。
けどこの動画のときも、最高裁判例とは異なる交差点の範囲を持ち出して「信号無視ではない!」と語る自転車乗りが何人もいて、こういう人たちは道路交通法を曲解してねじ曲げてからガセネタを流す界隈なんだと認識してましたが、そんなしょうもないことをするから「自転車乗りは屁理屈ばかり」みたいな悪評にすら繋がる。
本当に迷惑。
ちなみに交差点の範囲に隅切りを含むと解釈しないと、
これは交差点を通過していない以上「交差点を左折」には該当しなくなり、交差点を通行していない以上は優先規定が全て適用できなくなり不合理だからです。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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