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過失70%→0%。

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こちらで挙げた広島高裁岡山支部の判例ですが、

 

車道外側線と道路交通法18条1項。
先日の記事について。 車道外側線は道路交通法上何の効力もないということは確定で、車道は歩道の縁石までになります。 道路交通法18条では軽車両は「車道の左側端に寄る」ことを求めていますが、車道外側線との関係について言及している判例もあります。...

 

読者様
読者様
広島高裁岡山支部の判例についてできれば詳細を!
管理人
管理人
自分で調べましょう!笑

というのは冗談として、この判例は過失割合という面では大変興味深い判例です。

判例の詳細

この判例の概要。

・先行する原付が交差点を右折するために、ウインカーを出して中央線付近に寄った
・後続四輪車はそれをみて、車体の一部を車道外側線からはみ出して左側から追い越した。
・原付は右折する交差点を間違えていたことに気付き、左側に進路を戻した(合図なし)。
・後続車と衝突

イメージはこんな感じです(正確性は保証しません)。

これについて、一審は原付:車=30:70としました。
双方が不服を申し立て控訴した事件です。

 

結論から言いますと、一審被告(後続車)の主張を全面的に認め、無過失の立証があったとして原付:車=100:0にした判例です。
なお、最高裁への上告受理申立は不受理決定。

 

原付の主張の中に、このような趣旨があります。

・車道外側線から歩道の間は路側帯であり、仮に路側帯ではなくても車道ではないから、車道以外を使って追い越ししたのは通行区分違反。
・二輪車を追い越すときに必要とされる側方距離1.5mを保てない状況で追い越ししたもので、通行区分違反をしながら追い越す後続車があることを予見できない。

その結果の一部がこれ。

外側線は、それ自体としては、道路管理者が、道路の構造を保全し、又は交通の安全と円滑を図るため、必要な場所に設けられた区画線(道路法45条1項、2項)の一つにすぎず、外側線を表示する区画線は、「歩道の設けられていない道路又は道路の歩道が設けられていない側の路端寄りに設けられ、かつ、実線で表示されるもの」に限り、路側帯を表示する道路標示とみなされる(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令7条)から、一審原告及び一審被告の進行方向に向かって左側に歩道があると認められる本件道路の左側の外側線が、路側帯を表示する道路標示とみなされることのないことは明らかというべきである。そうすると、一審被告が外側線からはみ出して走行していた部分も車道に該当するから(道路交通法2条1項3号)、一審被告がこの部分を車両で通行したことが通行区分(同法17条1項本文)に違反する行為であるということはできない

 

広島高裁岡山支部 平成26年8月7日

側方距離についても1.5m以上保って追い越ししているし、車道外側線の外側は車道だし、後続車には過失が認められないとしています。
一審で過失割合が70%としながらも、二審で無過失になるのは珍しいような。
なので過失割合について大変興味深い判例です。

 

要は、右折しようとして右折合図して中央線付近に寄ったあと、右折をやめて進路を戻すなら後方確認や合図が必要という話です(当たり前)。

裁判は

民事訴訟は、当事者が立証責任を負うわけです。
こちらで挙げた大阪高裁判決ですが、

 

どこまでが車道なのか?という判例を検討する。
ウィキペディアの【車道外側線】のページをみると、車道外側線の外側は車道であるとした判例と、車道ではないとした判例で見解が割れていることになってます。 まあ、このようなことがなぜ起こるのか?という話。 車道外側線の外側は車道ではない? 車道外...

 

この判例では車道外側線の外側は車道ではないとしてます。
一審は路側帯と認定してますが・・・歩道があるので路側帯ではない。

 

二審の場合、口頭弁論は原則として一回のみで結審します。
車道外側線と歩道の間は、道路交通法上は車道ですが、標識令は道路交通法(道路標示、道路標識)と道路法(区画線)が混ざっている上、道路交通法の車道と道路法の車道は範囲が違う。

 

裁判官がきちんと理解していないことはあり得るので、紛らわしいところはきちんと主張しないとおかしな認定をされかねません。

 

上で挙げた判例も、仮に車道外側線と歩道の間を「車道ではない通行禁止部分」と判断されてしまったら無過失にならないかもしれないです。

 

まあ、道路交通法は極めて分かりにくい点が最大の問題なのかも。
きちんと主張しないとおかしくなる実例としては、これか。

 

逆走自転車と衝突したのに、順走自転車が過失100%??
ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなのですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故で、順走側に過失100%を付けている判例を紹介していました。 古い記事のようですし、何か...

 

逆走自転車と順走自転車が衝突した事故ですが、順走自転車が過失100%になっています。
理由はよくわかりませんが、掲載された書籍をみると「逆走違反を主張していない」。

左側通行義務違反については当事者の主張がなされておらず

 

自転車事故過失相殺の分析、財団法人 日弁連交通事故相談センター著、株式会社ぎょうせい、p371

主張していないことは何ら評価されません。

 

車道外側線については、たぶんきちんと理解している人のほうが少ないのではないかとすら思いますが、Wikipediaの記述は紛らわしいので直したほうがいいと思うけど、Wikipediaって間違いが多いので一体誰が書いているのやら。
見解が対立しているわけではなくて、単なる間違いですし。

 

「自転車は車道外側線の外側を走る義務はない!」と盛んに主張する人とかいますが、あえて言うなら「車道外側線は何ら基準にならないので、その発想自体が無能」。
道路交通法上、車道外側線は法定外表示でしかないのよ。

 

ちなみにですが、18条1項における左側端。
どこまでが左側端と言えるかは状況次第ですが、要は左側端に寄りすぎたら危険だし、立法趣旨は遅い車両を左側にして右側からの追い越しを促す点にあるので、左側から自転車が追い抜きできない程度に寄っていれば十分と考えます。

たまに路肩のエプロン部を通行する自転車を見かけますが、危険。
追い付かれた車両の義務は自転車には関係ありませんが、自転車が左側端を通行している分にはそれ以上逃譲する余地がないから対象外なわけ。

 

【警察庁回答】道路交通法27条(追い付かれた車両の義務)は、自転車には適用外で確定。
まあまあ今更感はある内容ですが、以前書いた記事。 回答が来ましたので。 自転車には道路交通法27条は適用外 道路交通法27条は追い付かれた車両の義務と言われる条項です。 (他の車両に追いつかれた車両の義務) 第二十七条 車両(道路運送法第九...

 

民事上、27条の検討をしている判例もありますが、結局のところ18条の義務を果たしたかの争いだと考えたほうがわかりやすいかと。

 

自転車に対し、27条【追いつかれた車両の譲る義務】を認めた判例。
堅苦しい話が続いていますが、一つの参考になるかと思いまして。 自転車の場合、道路交通法27条の【追いつかれた車両の義務】は適用外です。 これは刑事事件として取り締ま利される対象ではないというだけで、民事では認めた判例もあります。 事例 判例...

 





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