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「車椅子のために0.75m説」、そもそもガセネタなんじゃないかな…

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こちらの続き。

路側帯駐停車ルールに思う矛盾。
こちらの続き。路側帯がある場所での駐停車ルールについては根本的に矛盾を抱えていると思う。路側帯の駐停車ルール路側帯の駐停車ルールについては47条にありますが、路側帯は令1条の2第2項において「原則として0.75m以上」としながらも、最小0....

路側帯がある場合の駐停車方法については、路側帯が0.75mより狭い場合は「車道の左側端」、路側帯が0.75m以上あるときは「路側帯に進入して0.75m開ける」ルール。

で、「0.75mの根拠は車椅子」という説がありますが、以前から疑問視してまして。
というのも0.75m開いていても車椅子が通行できるとは思えず…
しかも路側帯が規定された昭和46年の警察庁の説明をみると、法が保証したのは「0.5m」でしかなく、なおさら車椅子のことを考えていたようには思えない。

車両が駐車し、または停車するときにその中に入ってはならない路側帯として政令で定めるものは、歩行者の通行の用に供する路側帯でその幅員を0.75メートル以下のものとする予定である。車両がこの程度の狭い路側帯に入って停車または駐車することは、常に歩行者の通行の妨害になるおそれがあるといえよう。路側帯の幅員については、第4条第1項の規定に基づく政令で、路側帯を設けるときにはその幅員を0.75メートル以上(やむを得ないときは、0.5メートル以上)とすべきことが規定される予定であるから、幅員が0.5メートル未満の路側帯は、存在しないたてまえとなり、路側帯が設けられている場所において車両が路側帯に入らないで停車し、または駐車する場合には、必ずその車両の左側に0.5メートル以上の余地があることになる。

「道路交通法の一部を改正する法律」、警察庁交通企画課、月刊交通、1971年8月、東京法令出版

現在の国土交通省が発表している「占有幅」によると、こう。

歩行者 車椅子
0.5m 0.7m
占有幅 0.75m 1.0m

そもそもこの「占有幅」の概念はいつからあるのか疑問があるのですが、昭和35年時点で歩行者の幅を「0.75m」としていまして。

歩道の巾員

第3項は歩道を設ける場合の最小巾員の規定である。
本表における歩道の巾員の数値のうち、左側は通常の場合用いる一般巾員であり右側は本文にあるとおり特別な場合に用いる特別巾員である。左側の一般巾員で路上施設を設けない場合の最小は3.25mであるが、これは人が3人同時に並んで歩ける巾という考えで1人の巾0.75mを3倍したものである。

高野務、「道路構造令解説」、日本道路協会、1960(昭和35年)、64頁

うーん、あくまでも歩行者1人の占有幅を0.75mとみていたのだと思われる。

ちなみにJIS/ISOの規格では、電動車椅子が0.70mとしてますが、要は昭和46年に路側帯を新設したときの「0.75m開けるルール(ただし0.5mしか法は保証してない)」については、

 

車椅子を考慮せずにあくまでも歩行者1人の占有幅を0.75mとみていただけなんじゃないかな…
0.5mなら歩行者がカニ歩きすりゃ通れなくはないし、昭和35年時点の道路構造令解説でも「歩行者1人0.75m」としているわけでして。

 

なので「0.75mの根拠は車椅子説」について、それはそもそもガセネタか、何らかの方便として実態を無視して説明した程度の話なんじゃないかと勘ぐってしまう。
(ちなみに路側帯を新設した際の説明には、車椅子説は出てこない。)

 

正直なところ確証までは持てないんだけど、昭和46年に路側帯を新設した際の「駐停車ルール」については、そもそも車椅子を考慮しなかったから「0.75m(ただし最小0.5m)」にしたんじゃないかな。
現実的に手動車椅子でも0.75mの余地では通行困難なはずで、車輪を手で回すのだから腕がはみ出るのよね。
しかも寸分違えずまっすぐ進むことはムリがある。

 

本当に「車椅子のために0.75m開けるルール」なんですかね?
むしろ車椅子を考慮しなかったから0.75mなんじゃないかと…

 

で。
前回取り上げたこちらですが、この記事は路側帯駐停車時に0.75m開けるルールを「謎ルール」と評価し、その理由として0.75m開けても歩行者が通行しにくい実情も紹介している。

人は文章をきちんと読まない。
ちょっと前になりますが、なんかおかしな方向に炎上させた人たちがいてビックリした話は書いた通り。以前から感じていたことだけど、ちゃんと読まないままテキトーなことを語る人がわりといるんだな…「行政にその質問をしたら、ダメと言われるに決まってるだ...

「謎ルール」と評価した後、むしろ路側帯内で左側端に寄せるほうがいいのではないか?という結論を導いている。

 

記者は、路側帯駐停車ルールの趣旨を理解した上で「謎ルール」と評価しているけど、

特に「0.75m空ける」という規定には意図がある。このルールは、路側帯を通る歩行者が車道に出ることなく通行できるようにとの配慮から来ているようだ。

幅寄せNG? 駐禁の“謎ルール”が招く迷惑駐車の実態! 「0.75m空ける」必要は本当にあるのか?(Merkmal) - Yahoo!ニュース
駐車違反に関するルールは複雑で、特に「0.75m空ける」という規定には意図がある。このルールは、路側帯を通る歩行者が車道に出ることなく通行できるようにとの配慮から来ているようだ。 しかし、実際

私とは若干根拠が違いますが、「謎ルール」という評価はその通りなのよ。
要は歩行者の安全を考えるなら、路側帯に進入せず駐停車するルールも考えられるところ、0.75m開けて路側帯内に入るルールを採用した。
安全と円滑のバランスを考慮したとも言えますが、一方では路側帯は0.5mまで縮小することができ、その場合は駐停車車両の左側には0.5mしか保証されていない。
それのどこが歩行者フレンドリーなのか?と聞かれたら激しく疑問。

 

そのような疑問がある中で、記者は「むしろ路側帯内左側端まで寄せるほうが合理的」と結論し、私は「むしろ路側帯の幅員に関係なく左側端1mを開ける方法もありうるのではないか」と考えますが、

ちゃんと読まないままタイトルだけみてテキトーな発言をしたようにしか見えないのよ。
「謎ルール」であると評価したことは間違いとは思わない。
謎ルールだと評価した後の対策については意見が割れるでしょうけど。

 

謎ルールだと認めた上でルールが本当に妥当なのか議論が進むべきところ、こうやってテキトーな発言でちゃかしてしまう人がいると、本当の問題点がスポイルされてしまうわけで…それで本当にいいんですかね。
なお、路側帯新設の経緯は月刊交通1971年8月号「道路交通法の一部を改正する法律」(警察庁交通企画課)が詳しい。
調べた限りでは、車椅子を考慮しなかったから0.75m(ただし法が保証したのは0.5m)なんじゃないかと思ってしまうので、その昭和の価値観が令和においてそのままでいいのか疑問です。

 

前から不思議なルールだと思ってましたが、記者と結論は違うけど「謎ルール」だと評価した点はその通りなのよね…
記事にある結論はさておき、「謎ルール」だと認めた上で改正議論が進んでも良さそうに思っているのですが、そういう議論に向かうことを絶ち切ったように見えてしまい…もったいないのよ。
なお、路側帯駐停車ルールの立法経緯について何か資料をお持ちの方がいましたら是非提供してください。
立法経緯を知らないと、議論が正常に進みにくいので。
路側帯の幅員を最小0.5mとし、0.5mのときは「車道の左側端」に駐停車するルールにしたことを考えると、そもそも歩行者の安全性より車両の円滑を重視しただけなんじゃないかと疑ってしまうのですが…立法者の真意はなんなのだろう。

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