ちょっと前に奈良県警本部が発信した内容が気になったのですが、
横断歩行者事故の発生状況(過去5年)を分析すると、11月から3月にかけて多く、その中でも横断歩道横断中の事故は、「17時~19時台」、「車の右折時」が多くなっています。#奈良県警察 では、これら事故を抑止するため、横断歩行者妨害等の #取締り を推進します。 pic.twitter.com/6YgOwYbHpd
— 奈良県警察交通部 (@NPP_koutuu) December 26, 2024
横断歩道横断時の事故は「車両右折時」が多いらしい。
おそらくは歩行者と車両が同方向進行中、つまり車からみて歩行者は「右後方」に位置する場合やピラー死角の場合などなんじゃないかと思われますが、右折時に多いというのが全国的な傾向なのか、そもそも割合はどれくらいなのかは不明。
とはいえ、警察本部の発信なので一定の重みがある。
右折時に多いとなると、やはりこれなのよ。

JAFの横断歩道一時停止率調査は有名だけど、似たような人口の県同士で比較しても、一時停止率と事故件数に関係性を見いだせない。
長野県 | 新潟県 | |
人口(R4年8月) | 2,007,347 | 2,129,722 |
一時停止率(R5) | 84.4% | 23.2% |
一時停止率(R4) | 82.9% | 25.7% |
歩行者妨害事故(死亡者) | 246(2) | 204(2) |
横断歩行者妨害態様には「横断歩道がない交差点の歩行者優先(38条の2)」も含まれている可能性があるとはいえ、これ程一時停止率に差がある県同士を比較しても、事故件数との相関性は見いだせない。
以前指摘したように、そもそも交差点右左折態様はJAFの調査対象ではない。
調査場所
※センターラインのある片側1車線道路で、原則として、調査場所の前後5m以内に十字路および丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)とし、制限速度が時速40~60km程度の箇所調査対象
※横断歩行者側の車線を走行する自家用自動車、自家用トラック(白ナンバー)
信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2023年調査結果)「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2023年調査結果)」についてご案内します。
交差点付近の横断歩道を除外し、調査対象としては横断歩行者側の車線のみとしている。
もし右左折時の横断歩行者事故が多いなら、JAFの一時停止率調査とは何の関係もないことになる。
以前から指摘しているのは、JAFの一時停止率調査が全く無意味という話ではない。
要は調査対象を変えたときに全然違う数字が出る可能性があり、むしろそっちに重きを置く必要があるのではないかと。
例えばJAFの一時停止率調査では対向車線の歩行者は調査対象外なので、
事実上最徐行が求められる場面は調査対象ではない。
交差点付近も調査対象ではないので右左折時や見通しが悪い交差点も調査対象ではない。
調査対象を拡大したときにどういう数字が出るのかが問題だと思う。
現行調査の数字が改善しているのはいい傾向ですが、本当の問題点は
・死角解消しないまま漠然進行
・減速不足
の二点だと思っていて、JAFのどちらも調査対象ではない。
簡単に歩行者を発見できるイージーモードの数字に一喜一憂しているうちはダメなのよ。
ちなみに右折時の横断歩行者事故の判例にはこのようなものがある。

右折時の横断歩行者妨害態様が多いなら、調査対象は変えたほうがいい。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
右折時には対向車より先に行こうとして右側確認不十分で回るのが多いと思います
歩道走り右折車の後方から来る自転車に気付きにくい
荒北仮面がそれで事故ってる
ただ逆走だけど自転車通行可歩道から行ってるので違反では無いそうだ
ただ普通に考えたら前方に有るウィンカー出した車両にローディは何も考えないのか不思議に思います
コメントありがとうございます。
歩道から横断歩道に進入する場合、逆走にならない理由は「横断」だからです。
右折時事故が多いというのは確認不足でしょうけど、それが多いならなおさらJAFの調査対象は考え直したほうがいいかと。