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見通しが悪い交差点で「左方優先」を遵守するには。

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世の中には結果論で違反が成立するかどうかばかり語る人がいてうんざりするのですが、

道路交通法上、優先道路(交差点内にセンターライン)もなく同幅員の交差点では左方優先というルールがある。
画像のような左右の見通しがきかない交差点で左方優先を遵守するには、どうしたらいいのでしょうか?

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左方優先と見通しが悪い交差点

左方優先の原則を遵守するには、左方道路を通行する車両を現認できなければ不可能ですよね。
そして当たり前の物理法則があって

管理人
管理人
クルマは急に止まれない

今のところ、時速30キロから瞬間停止できる技術はない。
このように左右の見通しが悪い交差点では、左方道路を通行する車両を視認できるのは「交差点直前」もしくは「やや交差点に進入した地点」になりますが、時速40キロで通行中に交差点直前で「左方道路通行車」を発見したとしても、すでに止まれない。

 

だから左右の見通しが悪い交差点では徐行義務(42条1号)を課しているのよね…

 

つまり運転者目線で順番を示すとこうなる。

 

・左右の見通しが悪い交差点に接近

・徐々に速度を落とす

・交差点直前では「ほぼ止まれるような状況(徐行)」になり、交差点の左右から通行してくる車両や歩行者がいないか確認する

・たまたま左方道路から進行してくる車両を見つけたなら左方優先により一時停止するし、たまたま横断歩行者を見つけたなら歩行者を優先する(38条の2)

・たまたま左方から進行してくる車両がなく、右方から進行してくる車両がいたなら、自分に優先権があるので右方車の動静を確認して衝突の危険がなければ進行する。

要は左右の見通しが悪い交差点での左方優先とは、徐行義務を果たしていた結果として生じるもの。
下記自転車にとっては、クルマに対し左方に該当しますが

自転車からしても左右の見通しが悪いのだから、右方から進行してくる車両がいたのは結果論に過ぎない。
左方から進行してくる車両がいたかもしれなくて、それは交差点直前までわからないのだから。

 

なので本質的には左方優先が直接的な事故の原因になることはあまりなくて、徐行してなかったから結果的に左方優先を遵守できなかったみたいなイメージが多いのよ。
そもそもこの動画は自転車が右側通行(逆走)なので、左方優先を主張できる立場ではないのですが。

左方優先?直進優先?

先日の件。

「転回は直進説」を信じると事故の原因になる。
こちらの件。「転回は直進の一種」だから直進レーンから転回しても違反にならないと解説している人がいますが、その説を採用すると右折レーンから転回したら違反になるわけでして…この説の何が問題かというと、「転回は直進」と信じると直進レーンから転回し...

同幅員の優先道路がない交差点において、左方優先(36条1項1号)が適用されるか?
それとも直進優先(37条)が適用されるか?

(交差点における他の車両等との関係等)
第三十六条 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。
一 車両である場合 その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車
第三十七条 車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない

これについては、左方優先ではなく直進優先(37条)が適用されます。

相手車両が左方道路からの右折車である場合には、いわゆる左方車優先の原則(法36条1項1号)との関係が問題になるのであるが、法36条1項は、同条2項が適用される場合を除きながら、法37条が適用される場合を除外していないので、条文の文言上、交通整理の行なわれていない交差点における直進車と左方道路からの右折車との通行順位につき、法36条1項1号と37条のいずれを優先的に適用すべきであるかが必ずしも明らかではない。しかしながら、右折車は右折のために当然に減速する必要があるのであるから、直進車と右折車を比較すれば、一般的に右折車の方が危険回避措置をとることが容易なのであつて、右折車はたとえ自車が左方車であつても右方直進車の進行妨害をしてはならないと解することが相当であり、そのように解することが道路交通の安全と円滑を図る法の目的にかなうところであると考えられる。したがつて、右のような場合には、法36条1項1号を排して法37条が適用されなければならない

 

札幌高裁 昭和50年11月27日

で。
これについても左右の見通しが悪いなら徐行義務になりますが(双方ともに)

赤車両からすると、交差点直前に来ないと左方道路通行車がいるか、その左方道路通行車は「直進」なのか「左折」なのか「右折」なのかわかるわけないのよね。
だから徐行義務を課して確認させているとも言える。

 

徐行せずにぶっ飛ばして、たまたま左方道路通行車が右折しようとしていたから「直進優先!」というのは単なる偶然の結果論でしかない。

 

けど事故映像がSNSにアップされたときは、徐行義務の話をすっ飛ばして「どっちに優先権があるか?」になるでしょ…
それは偶然の結果論でしかなくて、優先権が問題になるのは「交差点に入る以前の徐行義務等を果たしていた前提」で論ずる話なのよね。
本来は。

 

クルマは急に止まれないから横断歩道に対して減速接近義務を課しているし、クルマは急に止まれないから左右の見通しが悪い交差点で徐行義務を課している。
見通しが悪い横断歩道で減速していたから、たまたま歩行者がいたら優先することになるし、歩行者がいなかったらそのまま通行できる。
左右の見通しが悪い交差点で徐行していたから、たまたま左方車がいたら一時停止して優先するし、たまたま何もいなかったらそのまま通行できる。

 

運転者目線で順番を考えないと、実務では役に立たないのよね。
けど世間は結果論で「どっちが優先か?」ばかり論じるわけで、優先権を担保するために徐行することに気づいていない…

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