最近、無免許運転+自損事故などの事例について(同乗者負傷等)、「人身傷害特約に加入していれば無保険車であっても人身傷害特約で過失相殺無しの保険金を受け取れるんです!」みたいな主張を繰り返す人がいるんだけど、
わりと不思議なのは、運転者が無免許なことを知っていて同乗したのでは?と疑われる事案についても人身傷害特約をプッシュしている。
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事故の蓋然性がある中、同乗したのでは?

一般人の感覚でいえば、無免許なことを知っていたら同乗しないのよね…
例えばなんだけど電車に乗ろうとしたときに、
「本日は運転士と車掌の手配ができなかったため、無資格の鉄道マニアが運転します」
とアナウンスがあれば、
①乗らない
②保険に期待して乗る
普通の人は①を選ぶわけよ。
鉄道であればレール上だから逸脱の可能性は低いと見る人もいるかも知れないけど、クルマやオートバイならどこに吹っ飛ぶのかすらわからない。
事故の蓋然性があるのにわざわざ同乗しておいて、「人身傷害特約があれば保険金を受け取れるんです!」ってなかなかヤバい話にしか思えないのよね…
乗らなきゃいいだけのこと。
ところで、無免許運転に同乗して自損事故の場合、残念ながら自業自得としか言いようがない。
ところが運転者が無免許なことを知っていて同乗し、他人を死傷させた場合には同乗者も共同不法行為責任を負う可能性がある。
そりゃそうだよね。
無免許なことを知っていたなら「やめろ!運転するな!」と制止すべきなのは当然。
制止すべきなのに無免許運転を容認して同乗したなら、被害者からすれば運転者に支払い能力がなくても共同不法行為責任を追及しようと考えるのは当たり前と言える。
感覚がズレる

これは反面教師として私にも当てはまるんだけど、法律を調べだした初学者は「いろいろ調べているうちに一般社会の常識とはズレてしまう」ことがあって、
怪しい投資話があったときに、普通の感覚なら「怪しい」からお金は出さない。
「怪しい投資話で詐欺に引っ掛かったとしても、保険があれば安心」とは言わないのよね(そもそもそんな保険はないと思うが)。
「無免許で事故る可能性が十分考えられるところ、同乗したら事故りました。人身傷害特約があれば保険金の支払いがあります」
ではなくて、普通の感覚なら
「事故る可能性が十分考えられるのだから止めろよ。止められなかったなら乗るなよ」
でしかないし、事故る可能性が十分考えられることすらわからないなら、そもそも論外という話でしかない。
無関係の第三者を死傷させたなら共同不法行為責任すら問われかねないところ、自爆で済んだだけマシなんじゃないかとすら思える。
道路交通って加害者になるか被害者になるかは結果論に過ぎず、例えば歩行者の信号無視や自転車の一時不停止は「必ず被害者になる」なんてことはない。
現にそれらの歩行者や自転車を避けようとしてオートバイや四輪車が死傷した事案は普通にあって、歩行者や自転車が重過失致死傷罪で有罪になった事案もある。
人身傷害特約で自分の保険金を確保することを力説しても、そんなのはたまたま被害者になった場合のみの話だし、一般社会の常識とはかけ離れていくだけなのよね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


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