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「自賠責保険が2台分」というのはほとんど意味がない。

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この人は何の目的で「自賠責保険が2台分支払われる」と解説するのか不思議なんですが、

ちょっと考えてみましょう。
自賠責保険の死亡保険金の上限は3000万になる。
これは自賠責基準という計算式で算定したときに、例えば3200万になったとしても3000万までしか支払わないというもの。

 

では2台分から支払われるとしたら上限は6000万になるけど、自賠責基準での計算上、おそらく3300~3500万にしかならないと思われる。
なので「上限が6000万」というのは絵に描いた餅でしかない。

 

一応、母親が運転して我が子に加害し死亡させたとして自車の自賠責保険に請求した場合、母親の法定相続分は民法520条「混同」により消滅する(最高裁判所第一小法廷 平成元年4月20日)。

第五款 混同
第五百二十条 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

例えば自賠責基準での算定額が3400万だと仮定する。
一時不停止の加害車両の自賠責保険に3000万請求し、自車の自賠責保険に400万請求したとすると、自車の自賠責保険からは父親の法定相続分(2分の1)にあたる200万は支払われるが、母親の法定相続分(2分の1)は混同により消滅するのである。

 

相手方が無保険などの特殊な事情があれば別ですが、基本的には意味がない。

自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条による被害者の保有者に対する損害賠償債権及び保有者の被害者に対する損害賠償債務が同一人に帰したときには、自賠法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権は消滅するものと解するのが相当である。けだし、自賠法三条の損害賠償債権についても民法520条本文が適用されるから、右債権及び債務が同一人に帰したときには、混同により右債権は消滅することとなるが、一方、自動車損害賠償責任保険は、保有者が被害者に対して損害賠償責任を負担することによって被る損害を填補することを目的とする責任保険であるところ、被害者及び保有者双方の利便のための補助的手段として、自賠法16条1項に基づき、被害者は保険会社に対して直接損害賠償額の支払を請求し得るものとしているのであって、その趣旨にかんがみると、この直接請求権の成立には、自賠法3条による被害者の保有者に対する損害賠償債権が成立していることが要件となっており、また、右損害賠償債権が消滅すれば、右直接請求権も消滅するものと解するのが相当であるからである。

最高裁判所第一小法廷 平成元年4月20日

普通に相手方に請求する方がいいのでして、わざわざ自車の自賠責保険を持ち出すのは意味がわからない。

 

ところで、運転レベル向上委員会はチャイルドシート不使用があるから母親の運転について無過失の証明ができないかのような解説をしてますが、

 

そもそもなぜチャイルドシート不使用と決めつけるのか?という疑問は置いといて、チャイルドシート不使用は民法上の過失(損害拡大防止義務違反)にはなり得ても、自賠法3条でいう無過失の証明とは関係がない。
なぜなら、自賠法3条でいう無過失とは「事故の発生」に係る過失のことであり、チャイルドシート不使用が事故の発生には関係しないからである。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者はその運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずるただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない

自賠法の趣旨及び規定等にかんがみると,同法3条は,自動車の運行を原因とする人身事故の発生により損害が生じた場合に,民法の不法行為責任を前提とした上で,責任の主体を拡大して自動車の運行供用者にもその賠償責任を負わせることとしつつ(同条本文),不法行為責任における過失の主張立証責任を加害者の側に転換し,かつ,免責要件を更に付加すること(同条ただし書)によって損害賠償責任を加重したものと解される。したがって,同条ただし書所定の免責要件のうち『自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと』とは,過失の主張立証責任を転換し,不法行為責任における過失がないことを免責要件として定めたものであって(ただし,運行供用者の無過失も証明されない限り免責されない。),損害賠償責任の根拠となる運転者の過失の範囲を民法の不法行為責任よりも拡大したものではないと解するのが相当である。
そうすると,同条ただし書の『自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと』は,もっぱら損害拡大に関わる過失など,人身事故の発生と関わりのない過失が存在しないことまでを求めるものではなく(最高裁昭和48年6月21日第一小法廷判決・裁判集民事109号387頁参照),免責を主張する運行供用者は,『自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと』として,運行供用者及び運転者が人身事故の発生を回避するのに必要な自動車の運行に関する注意を怠らなかったこと,すなわち,人身事故の発生と因果関係のある自動車運行上の過失が存しなかったことを主張立証すれば足りるものと解するのが相当である(このように解することは,自賠法3条ただし書所定の免責要件事実のうち,ある要件事実の存否が事故発生と関係がない場合には,免責を受けようとする自動車の運行供用者は,当該要件事実が当該事故と関係がない旨を主張立証すれば足りるとされていること(最高裁昭和45年1月22日第一小法廷判決・民集24巻1号40頁参照)とも整合する。)。

対面信号機の青色灯火信号に従って甲車を運転していたB子は,乙車のように対面信号機の赤色灯火信号を看過して交差点に進入してくる車両のありうることまでも予測して,本件交差点の手前で停止することができるように減速し,左右の安全を確認する注意義務を負わないものと解されるから(最高裁昭和45年10月29日第一小法廷判決・裁判集民事101号225頁,前掲最高裁昭和48年6月21日第一小法廷判決参照),B子が『自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと』,すなわち,B子に本件事故の発生と因果関係のある自動車運行上の過失がなかったことが証明されたといえる。
これに対し,Xは,チャイルドシート不使用の事実が存したことを理由として,B子は『自動車の運行に関し注意を怠らなかつた』とはいえないと主張するが,チャイルドシート不使用は,本件事故の発生,すなわち,乙車と甲車の衝突の原因となるものではないから,チャイルドシート不使用と本件事故の発生との間に因果関係は認められない。よって,チャイルドシート不使用の事実があっても,B子が『自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと』を認定する妨げとなるものではない。
そして,B子に本件事故の発生と因果関係のある自動車運行上の過失がない以上,運行供用者であるA郎も『自動車の運行に関し注意を怠らなかつた』というべきである。

東京地裁 平成24年6月12日

しかし、運転レベル向上委員会もわかってないなら解説しなきゃいいのでして。

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