読者様から「直後横断」について質問を頂いたのですが、
第十三条 歩行者等は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
「直後」とはどのくらいの範囲なのかと。
これは非常に難しい問題ですが、この場合の「直後」とは走行車両も停止車両も含みます。
そもそも直後横断を禁止している理由。

歩行者は黒(対向車線を走行する車両)の「直後」で横断した結果、青車両からすると歩行者は死角に入ってしまい、横断開始した様子が見えない。
その結果、青車両目線では急に死角から歩行者が現れた「直前横断」になってしまい、回避可能性がなくなるんですね。
これが仮に優先道路ではない交差点であれば、車両には「左右の見通しがきかない交差点」として徐行義務が課されていることになりますが、

徐行義務が免除されている優先道路の場合、徐行義務がないため「制限速度で前方注視して、回避可能性がないなら無罪」になってしまう。
要するに直後横断を禁止している理由は、死角に入ってしまい視認不可能に陥り車両側の努力では回避不可能になる事態を避けたいものと考えられる。
そう考えると、直後横断とは「対向車の死角に入らない程度」としか言えないのよね。
ところで、歩行者が自車から見て右から左(歩行者目線で左から右に通行する車両)に横断した事故については、対向車の陰に隠れてしまい視認困難だった事例をしばしばみかける。
これがなにを意味するかというと、双方ともに存在が死角になってしまったか、歩行者からは車両を視認出来て減速してくれることを期待したのに、車両からは歩行者が見えなかったような場合も考えられる。
車両は対向車側を注視するのではなく、前方左右を注視しながら進行するのに対し、歩行者は当該車両「のみ」を注視して横断するから、双方が視認出来る範囲は違う。
さて、この事例。

これは札幌地裁 令和5年4月18日判決の事案です。
対向車10台くらいとすれ違った後に、車両目線では「突然」小学生が乗る自転車が現れた。
注意義務としては対自転車だろうと対歩行者だろうと変わらないですが、車両目線で被害者を視認可能になった時点では既に回避可能性がなく無罪。
歩行者の直後横断を禁止している理由は、こういう形で事故リスクが高いからだと考えられますが、直後横断として禁止されている範囲は死角に入るかどうかで考えるのが筋なのではないでしょうか。
現実的にはこの態様はわりとあると思う。
そして歩行者からすれば、ある種の錯覚なんだと思う。
対向車が来ていないという…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。

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