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優先道路を跨ぐように横断する歩行者の事故と、基本過失割合。

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今回ちょっと取り上げようと思うのはこちらです。

横断歩道がない交差点を横断した歩行者とクルマの事故について、運転レベル向上委員会は「歩行者:クルマ=15:85」だと解説する。
しかしこの交差点では、基本過失割合は「歩行者:クルマ=20:80」になります。
基本過失割合の話であって、修正要素を加味していません(つまり運転レベル向上委員会が主張する態様ではないパターンが適用される)。

 

なぜか?

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優先道路通行車、広路通行車の場合

運転レベル向上委員会が取り上げた態様は、交差点における車両の優先順位(道路交通法36条2項)がない場合に適用され、優先道路通行車、広路通行車の場合には違う基本過失割合が適用される。

歩行者 クルマ
優先道路/広路の交差点ではない 15 85
優先道路通行車/広路通行車 20 80

なぜこのように分けているのでしょうか?

 

※優先道路とは交差点内までセンターラインが引かれた交差点。

 

勘がいい人は察すると思いますが、

優先道路がなく左右の見通しがきかない交差点の場合、クルマには徐行義務が課されている。

(徐行すべき場所)
第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。

しかし優先道路通行車には徐行義務が課されていない。

優先道路通行車には徐行義務が課されおらず、しかも交差点内までセンターラインが引かれていて歩行者も横断するのに注意を払うことが通常
そのため、優先道路通行車の場合は別に基本過失割合を設定している。

 

ここで勘がいい人なら察するかもしれない。

読者様
読者様
優先道路通行車は徐行義務が免除されるけど、「明らかに広い道路」を通行する車両は、左右の見通しがきかないなら徐行義務があるよね?
そうすると管理人の説明はおかしいんじゃね?
管理人
管理人
説明しよう。
優先道路ではないけど「明らかに広い道路」を通行する車両は、徐行してないのが通常。
しかも明らかに広い道路を横断する歩行者は、通常の生活道路を横断するよりもより注意するのも通常。

そういう事情から、「明らかに広い道路を通行する車両」の場合でも優先道路の場合に準じた過失割合が相当だと判断されているんだ。

以前、このように交差点内にセンターラインがない交差点の場合には、左右の見通しがきかないなら徐行義務があると解説しましたが、

現にそれが遵守されているかというと、そもそも徐行義務が課されている交差点だと認識している人のほうが少ない。
そして上図に横断歩道がない場合、歩行者が横断する際にはより注意するのが通常。

 

それらを考えると、「徐行義務が課されていない優先道路の場合」に準じて「明らかに広い道路を通行していた場合」も同じ基本過失割合を適用するのが民事。

過失と違反の差

このように優先道路通行車/広路通行車の場合と、優先道路もなく同等幅員の交差点の場合では基本過失割合を変えている。
要するに徐行義務の有無を基本過失割合に取り入れているわけですが、一方では本来なら徐行義務を負う「明らかに広い道路」の場合も同じ態様として扱っている。

 

道路交通法の基本概念を基本過失割合に取り入れながら、道路交通法とは異なる部分もあるわけよ。
実態を踏まえてモディファイさせている。

 

要するに「明らかに広い道路を通行する車両」は、左右の見通しがきかない交差点なら徐行義務(42条1号)がある。
しかし実情を踏まえて、優先道路の場合と同じ過失割合を適用する。

 

違反があれば民事の過失割合に常に反映されるわけではないのよね。

 

以前から、民事の過失割合は道路交通法を忠実に解釈しているわけではない実例を挙げてますが、例えば優先道路を跨ぐ横断歩道での自転車事故なんかはそう。

自転車が「横断歩道上」で事故に遭った事例と、過失割合。
以前も書いてますが、自転車に乗っていて横断歩道上で事故に遭った場合、交差点の事故における過失割合をベースに検討されるのが普通。なので「横断歩道上での事故」であっても、信号交差点の右左折巻き込みタイプと、優先道路/非優先道路のタイプでは過失割...

道路交通法上は「横断(25条の2)」ですが、民事では「優先道路の進行妨害(36条2項)」とみなす。
逆に優先道路に沿った横断歩道であれば、横断歩道を使って横断した自転車を優先道路通行車(36条2項)とみなす。

優先道路と横断歩道。
こちらの記事にいろいろご意見がある方々から質問を頂いていたことの続きです。この中で、横断歩道を横断した自転車が優先道路の進行妨害(36条2項)とした判例を紹介してますが、この考え方、さほど珍しいものではないようです。ただまあ、このように妄想...

このように道路交通法とはズレが生じますが、そう考えないと著しく不合理だからそうなっているわけでして。

 

今回取り上げた横断歩道がない交差点での横断事故についても、優先道路通行車の場合は別の基本過失割合が適用される。
その理由は「優先道路通行車には徐行義務が課されていないから」ですが、徐行義務が課されているはずの「明らかに広い道路を通行する車両」の場合も、民事の基本過失割合は優先道路態様なのよね。

 

これらから言えるのは、民事判例をみて道路交通法解釈を語ろうとすると間違いが起きる可能性があるし、民事判例を全て道路交通法で説明しようとすると、必ず矛盾にぶち当たる。
道路交通法の義務と民事の過失は必ずしも同じではないことを理解することも必要なのよね。

 

ちなみに上記理由から、民事の適用上「明らかに広い道路」と認められるには、優先道路に準じた明確性がある場合になると思う。

 

そもそも、左右の見通しがきかない交差点での徐行義務は「38条の2を担保する規定」だと警察庁が解説してますが(注解特別刑法 交通編)、徐行義務が課されていない交差点を横断する歩行者には注意義務が加重される。
だから基本過失割合を変えている。

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