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基本過失割合に内包された過失と、過失修正要素の話。

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今回取り上げようと思うのは、基本過失割合に内包された過失(不注意)と、過失修正要素の話。

左右の見通しがきかない交差点で、一方に一時停止規制がある。
この場合の基本過失割合は4輪車同士でこうなります。

一時停止側 非一時停止側
80 20

さて。
双方ともに0ではないので、この基本過失割合は既に過失が折り込み済み。
基本過失割合に内包された過失はこうなる。

一時停止側 非一時停止側
基本過失割合 80 20
内包された過失 一時停止せず、十分な安全確認をしていない(43条前段+後段) 徐行せずに十分な安全確認をしないまま交差点に進入(42条1号)

一時停止側が一時停止せず、十分な安全確認をしないまま交差点に進入したことと、非一時停止側が徐行せず、十分な安全確認をしないまま交差点に進入したことを80:20と評価しており、現実にはこの態様が多いことから基本過失割合としている。

 

次に過失修正要素。
一時停止側には「一時停止後進入」として一時停止側に有利に過失修正するものがありますが、

これを文字通りに「一時停止していたら適用」と捉えるのは間違い。
一時停止後進入というのは、一時停止し、左右の安全確認をし交差道路を通行する車両を認めたものの、その車両の速度と距離を見誤り低速で交差点に進入したものの事故に至ったことを指す。

 

したがって「止まったから」という理由で必ず適用されるわけではない。

 

次に非一時停止側には「減速したこと」を有利に過失修正するものがあります。
ここでいう「減速」とは、徐行とはいえないけど速度を落として警戒したことを意味する。

 

ここで不思議に思うかもしれません。
非一時停止側が「徐行」していた場合の過失修正要素がない。

 

この理由ですが、

歩道もなく左右の見通しが高度にきかない交差点なのだから、この交差点における徐行とは最徐行に近いイメージになる。
最徐行して警戒して交差点に進入しようとしたなら、よほど特殊な事情…例えば一時停止側が異常な高速度で進入してきたみたいな話…がない限りは事故を回避できるのだから、そもそも事故に至らないことが多いと考えられる。

 

そして基本過失割合は「徐行してないこと」を既に過失として評価しているのだから、徐行した場合には前提が異なることになる。

 

つまり、徐行したけど回避不可能な場合には基本過失割合が適用されないことになる。

 

これは一時停止側が「一時停止し、左右の安全確認を十分した」けど、非一時停止側が異常な高速度で進入してきた場合も同様。
既に基本過失割合が想定する事故態様ではないのだから、個別判断になる。

 

ところでこちら。

著しい高速度の直進車と右直事故。過失割合の考え方について。
読者様から時速194キロ事故について質問を頂いたのですが、確かに直進車:右折車の基本過失割合は20:80ですが、一般的に著しい高速度の態様では基本過失割合は適用されません。現にこの事故について、当初被告人側の保険会社は「右折車80%程度」と...

時速194キロの直進車と右折車の事故ですが、例えば右折車視点で、対向車が150m離れていたから右折開始したとする。

 

194キロだと2.78秒で到達するのだから衝突する。
しかし信頼の原則がいう「制限速度+20キロを想定して右折する注意義務」でいうと、時速80キロの車両が150m進むのに要する時間は6.75秒。
時速60キロ計算なら9秒になる。

 

夜間に遠く離れた対向車の速度を正確に把握することは不可能だと思いますが、仮に150mあったとして、右折を開始した判断は不注意(過失)といえるのでしょうか?

 

言えませんよね。
それを把握するにはレーダーが必要なレベルでしかない。

 

右直事故の基本過失割合は20:80になってますが、不注意(過失)がないのに80%スタートというのは不合理な上に理不尽でしかない。
だから異常な高速度の事故では、基本過失割合を適用しないのが通常。

 

十分な注意を払っていたなら、無過失はある。
十分な注意を払っていても過失がつくというなら、理不尽過ぎるし十分な注意を払うのが馬鹿馬鹿しくなる。
しかし法や実務はそうではなく、十分な注意を払っていたのに想定外な事故になったなら、無過失はあるのよね。

 

ところで、時速194キロみたいな極端な例はともかくとして、裁判をすれば無過失になる可能性がある事案であっても、10:90とかで示談することも多い。
要するに「裁判をすれば」というのは、必ず裁判をすれば無過失が認められるとは限らないし、なにより1年近くは解決しない。
そうすると、「10%ならいいや」と示談する方が得策と考える人が多いと思う。

 

当事者が合意したなら、民事ではそれが全てですから。
1年近くモヤモヤしてスッキリしないよりも、10%なら即座に解決して次に進みたい人も多いだろうし、最初は「無過失!裁判辞さず!」と意気込んでいても徐々にトーンダウンする人が多いのではなかろうか。

 

ちなみにちょっと気になるのは、大分の事故は時速194キロの加害者も重症を負った。
加害者が契約している人身傷害保険は重過失免責を主張するだろうし、0:100で示談成立しているなら、加害者に対しては全く支払われないか、もしくは「自賠責保険分は面倒みるけど、自賠責保険超過分は払いません」という扱いだったのだろうか。

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