この人がなぜ、判決文を切り抜きして意味を変えてしまうのか不思議なんですが、
19歳軽自動車に5人乗車…神戸のトラック右直事故を分析。運転手の刑事罰と親の保険の適用条件とは? 02026年4月3日に神戸市兵庫区の新開地駅前交差点で発生した、軽自動車と中型トラックの衝突事故(右直事故)について解説します 。報道によると、右折しようとした軽自動車には定員を超える5人が乗車しており、大変痛ましい結果となってしまいました ...
仙台高裁 平成13年12月4日判決(業務上過失致死)を引用している。
そして下記判決文を理由に
道路交通法36条4項によれば,交差点を通行しようとする車両は,交差点の状況に応じ,右折車両に特に注意し,かつ,できる限り安全な速度と方法で通行しなければならないのであるから,本件被害者においても,交差点に進入するに当たり制限速度を守らなかった点で件衝突について過失がある,という。
この部分については過失があると判断されているとする。
運転レベル向上委員会から引用
まるで裁判所が認めたかのような解説をしているし、運転レベル向上委員会の引用だと主語が「道路交通法36条4項」に見えるでしょ。
つまり、道路交通法36条4項が被害者に過失があると言ったかのような切り抜きをしている。
これ、主語が判決文とは違うのよね。
本当の判決文はこちら。
(3) 所論は,道路交通法36条4項によれば,交差点を通行しようとする車両は,交差点の状況に応じ,右折車両に特に注意し,かつ,できる限り安全な速度と方法で通行しなければならないのであるから,本件被害者においても,交差点に進入するに当たり制限速度を守らなかった点で件衝突について過失がある,という。なるほど,同条項に定めるように,直進車にも,交差点を通行するに当たってはできる限り安全な速度と方法で進行すべきことが要求されるといえるが,一方で道路交通法37条は,直進車の右折車両に対する優先を定めているのであって,それは,直進車が制限速度を時速10キロメートル程度を超えた速度で進行する場合であっても適用されるというべきであるから,右折車両としては,直進車が制限速度を時速10キロメートル程度超えた速度で進行してくることを予測して,その進路を妨げることがないようにすべき義務があり,直進車からいえば,その程度の制限速度を超えて進行することを右折車両が予測して行動するものと期待してよいといえるのである。
さらに,例え被害車両が交差点に進入する時点で時速40キロメートルの制限速度に減速していたとしても,上記の被告人車と被害車両との相互の位置及び距離関係などからして,衝突が避けられた,あるいは被害者に衝突回避の措置を期待できたとはいえないのである。したがって,本件被害者が,制限速度を時速約10キロメートル超える速度で交差点に進入したからといって,本件衝突について被害者に過失があるとはいえない。仙台高裁 平成13年12月4日
所論とは裁判において「当事者が主張する内容」を指し、この場合は控訴審であるから、控訴人、つまり被告側の弁護人の主張なのね。
主語を切り落として「裁判所が認めた」かのように語るのは悪質すぎる。
要するに「弁護人は、道路交通法36条4項から被害者に速度超過があるから過失があるはずだと主張するので検討する」という意味で、結局この裁判では10キロの速度超過があった被害者に道路交通法36条4項に基づく過失はないと裁判所が判断した。
なぜなら、この裁判での事実認定はこうだから。
被告人は,交差点の対面信号が青色であることを確認し,右折するため,交差点の手前20数メートル付近で右折の合図を出し,時速約15キロメートルに減速しながらセンターライン寄りを進行し,交差点の手前約8.9メートルに設けられた停止線付近で,前方約51.9メートル付近に対向直進してくる被害車両を認めた。しかし,被告人は,被害車両が交差点に進入する前に,その進路を妨げることなく右折を完了できるものと考えて,交差点中心付近まで進行せず,交差点入口の横断歩道付近から内回りの方法でもって,上記速度で右折を開始したところ,被害車両が前方約20.9メートルの交差点進入直前にまで進行して来ているのに気付き,衝突の危険を感じて急制動を掛けたが,それから約4.5メートル進行し,右折方向の道路上に設けられた横断歩道に達する手前の交差点内の地点で,被告人車の右前部角付近と被害車両の前部から右側面にかけてが強く擦過する状況で衝突した。
被告人が右折を開始したときには、被害者は既に20.9mという至近距離に迫っていた。
仮に被害者が時速40キロであっても、被害者の努力では回避不可能な距離なのだから、被害者に指定最高速度遵守義務違反があるとしても、その違反は事故発生とは何ら因果関係がないことになる。
なおこの判例は以前何回も紹介しているので参考に。

しかしまあ、主語を切り落として「裁判所が認めたかのように偽る」のはずいぶん運転レベル向上委員会も悪質だなぁと思ってしまいますが、

判例の改竄は既に10件を越えている。
この仙台高裁判決は、運転レベル向上委員会がよく語る「36条4項の解釈」とは相容れないもの。
そりゃ運転レベル向上委員会は誤った解釈をしているのだから、裁判所の判断と合うわけがない。
それを「主語を切り落として」まで持論に都合よく改竄するのは、この人が語る内容はきちんと原典を確認しない限り、どんな切り抜きや改竄をしているか信用ならないことになる。
そもそも運転レベル向上委員会の解説だと、道路交通法34条2項に違反して早回り右折したことが過失であるかのように語ってますが、
「被告人は,交差点で右折するに当たり,対向直進してくる被害車両を前方に確認しながら,被害車両との距離,速度等を十分に確かめることなく,その通過前に自己が右折を完了できるものと速断し 内回りの方法で右折を開始したのであって,その過失は軽いとはいえない」とある。
あくまでも過失の内容は「被害車両との距離,速度等を十分に確かめることなく,その通過前に自己が右折を完了できるものと速断して右折開始したこと」。
違反と過失を相変わらず区別出来ていない。
道路交通法34条2項に則した右折をしても、対向車を十分確認していなければ事故は起きるのだから、早回り右折自体が過失になるのではない(逆に十分な安全確認をしていたなら、34条2項に違反した早回り右折でも事故は起きない)。
苫小牧118キロ白バイ事故にしても、交差点中央まで進出していれば「より対向車の確認が容易だった」という趣旨は述べてますが(札幌地裁判決)、結局対向車確認を十分してないのは明らかだからあくまでも過失は「確認不足」なのよね。
運転レベル向上委員会の人は、判決文を引用しちゃダメな人なのよ。
主語を切り落として意味を変えてしまうのだから、持論の間違いを認めない人って哀れだよね。
そして間違いを認めない人がどういう行動に出るかという意味では興味深いけど、反面教師にするのがよい。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。






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