現代では、フレーム素材というとカーボンが主流で、ついでアルミがあります。
クロモリフレームもありますが、クロモリは選ぶ人も少ない素材で、大手メーカーの中にはクロモリフレームを出していないメーカーすらあります。
スカンジウムフレームといってもピンとこない人が多いかもしれませんが、昔は流行った素材です。
スカンジウムフレームの魅力について説明します。
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スカンジウムフレーム
スカンジウムフレームというとカーボンでもなくアルミでもなく、クロモリでもない素材と思う人もいるかもしれませんが、実態としてはアルミフレームの一種です。
アルミフレームというのは、純アルミニウムだけで出来ているわけではありません。
アルミニウムに何かを混ぜてアルミニウム合金としてフレームを作っています。
よくあるアルミフレームでは、6061アルミが使われます。
6061アルミの成分としては、アルミニウム以外にSi、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ga, V, Ni, B, Zr等を含みます。
何をどれだけ混ぜるかによってアルミ合金の品番は変わり、4桁の数字で表されます。
缶ジュースだってアルミ缶がありますが、あれは3000番台のアルミ合金が使われるようです。
スカンジウムというのはレアメタルのひとつですが、アルミニウムに微量のスカンジウムを混ぜたもので作ったフレームを、スカンジウムフレームと呼びます。
厳密にはアルミ合金の一種ですのですし、スカンジウム自体はごく微量しか含まれていませんので、厳密に言うとアルミ合金のほうが正しいでしょう。
しかし自転車界ではスカンジウムフレームと呼びます。
スカンジウムフレームの特徴
スカンジウムアルミ合金の特徴ですが、6000番台の一般的なアルミ合金に比べると軽量で高剛性であるとされています。
アルミに0.5%程度のスカンジウムを混ぜるだけで軽量でかつ強度もしっかり出せるということで、自転車界ではハイエンドアルミフレームの一種として知られていました。
なので素材として評価するならば、一般的なアルミよりも軽いし硬いと言えます。
強度が高いということは軽量化しても成り立つわけですので、軽量な金属フレームを作るには好都合だったわけです。
昔、スカンジウムフレームの乗り味というと、【硬い】というのが多くのフレームに共通したことでした。
なのでスカンジウムフレーム=硬いというイメージがついて回りますが、フレームとして評価した場合、必ずしも硬いというわけでもありません。
というのも、近年はアルミの加工技術が向上し、アルミフレームでも複雑な造形が可能になっています。
それによりカーボンほどではないにせよ、部位ごとの剛性コントロールがしやすくなっており、【ここを硬く】【ここはしならせたい】などがある程度は実現できています。
カーボンフレームの場合だと剛性のコントロールはさらにしやすくて、カーボンの積層によっても変える事ができます。
スカンジウムフレームについては、確かに硬めの乗り味のモデルが多いですが、昔のスカンジウムフレームに比べるとマイルドな味付けが出てきているように思います。
ただし、バイクとしてはピュアレーサーが多いですね。
エンデュランスバイクならスカンジウム合金よりも、より柔らかいアルミ合金を採用することが多いでしょう。
スカンジウムフレームの唯一の弱点ですが、値段としては高額になる傾向があります。
というのも、やはりレアメタルのスカンジウムでお金がかかるのでしょう。
とは言っても、カーボンのハイエンドフレームだともっと高額ですし、一般的なアルミフレームから見ると高いというところですね。
現在も買えるスカンジウムフレーム
現在も販売されているスカンジウムフレームは、多いかというとかなり少ないです。
私が知る限りでは、3つしかありません。
DE ROSA SCANDIUM
名門ブランド、デローザの車種名まで【スカンジウム】です。
もうそのまんまですねw
このスカンジウムフレームですが、フレームセットのみの販売で、お値段は50万(税別)です。
まさに金属フレームの王様という位置付け。
溶接紺処理なども抜かりなく、まるでカーボンフレームかのようななめらかさ。
塗装の質感もさすがですよね・・・
アルミ合金系フレームとしてはかなりの高額なフレームですが、所有欲も満たしてくれる一台でしょう。
カンパニョーロで組んでかっこよく仕上げたいところですね。
ビアンキ FENICE
《在庫あり》【Bianchiからの贈り物】Bianchi(ビアンキ) 2019年モデル FENICE105 (フェニーチェ105)[アルミフレーム][ロードバイク・ロードレーサー]
2019モデルより、FENICE PROからFENICEにモデルチェンジしたスカンジウムフレームです。
FENICE PROは試乗したことがありますが、ゴツゴツした剛性だけでなく、乗り心地も思っていたよりも悪くないという印象のバイクでした。
ビアンキの金属系フレームの中では最高峰の位置にいますし、2018年モデルのFENICE PROではマルコパンターニ時代を彷彿とさせるカラーリングで人気を集めましたね。
BIANCHI ビアンキ 2018 FENICE PRO 105 フェニーテェ プロ 105 チェレステ/イエロー
サドルとステムも特別品で、オールドファンで欲しがった人も多いのではないでしょうか?
2018モデルではカンパニョーロのコンポがついた完成車もありましたが、2019モデルでは105完成車のみです。
コラテック CORONES SL
コラテックのCORONES SLもスカンジウムアルミ合金です。
コラテックというとどちらかというとマイナーブランド扱いされがちですが、ドイツのメーカーらしいしっかりとした作りで定評があります。
フレームセット販売もありますし、ティアグラ完成車、105完成車、アルテグラ完成車を用意しているので買いやすい価格に収まっていることも特徴でしょうか。
この三つの中では、価格、質感ともにデローザのスカンジウムが群を抜いています。
デローザのスカンジウムについては、まさに究極の金属フレームを求めた作りという感じですので、所有欲はかなり高いでしょう。
正直なところで言うと、走り自体の完成度はカーボンフレームのハイエンドモデルには敵いません。
金属フレームのデメリットは、設計で剛性コントロールがカーボンよりもしづらいというところでしょう。
デローザのスカンジウムは細身のパイプでクラシカルな雰囲気もありますし、最近の太いカーボンのパイプが苦手だという人にもいいかもしれませんね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
せっかくならチタンとかマグネシウムとかのフレームも取り上げてほしいですね
コメントありがとうございます。
それについてもまとめているところです。
よろしくお願いいたします。
スカンジニウムフレーム・・・
はい、私昔からビアンキ乗りですので、あの色のフレームを購入しました。
おっしゃる通り、パンターニカラーのフレームセットです。
「割と安いので、売ってるうちにとりあえず一本買っておけ」と。
スペシャリッシマまであの色が出たのは誤算でしたけど(汗)
あくまでも私感ですが、ビアンキのフィニーチェのフレームは中々秀逸です。
しかし、残念なことにフレーム単独の販売が無くなってしまいました。
ビアンキ完成車はバラ完より高くつくのでコストパフォーマンスがダメです。
あの定価はないわ!です(大汗)
またそれどころか、フィニーチェの販売は日本だけの模様で
実は本国や他国、グローバルサイトではカタログ落ちしています。
悪い言い方をすると「日本で在庫処分」なのかもしれません。
サイクルヨーロッパジャパンが何をどのように販売戦略にしているのか
判りませんが、ビアンキ乗りとしてはちょっと残念です。
コメントありがとうございます。
私も元々はビアンキ乗りでした。
今は浮気中ですがw
パンターニカラーのフェニーチェ、カッチョイイですよね。
グローバルサイト、今確認して知りました。
サイクルヨーロッパジャパンの方針はなんだかよくわからないことが多く、センプレもグローバルサイトだと残ってますよね。
昨年センプレソラをとんでもない激安で売ってましたが、あれも一体何だったんだろうと思ってます。
日本での在庫処分、確かに考えられますね。
フェニーチェって世界的には売れない子だったんでしょうかね?