ではこちらの続き。

左折する前には「できる限り左側端に寄って」(34条1項)としてますが、
自転車乗りがいう「危険」とは、自転車のすぐ前方に割り込むように寄せることを意味していて、

このように適正な車間距離すら保てない状況で強引に割り込むのが「危険な」左側端寄せ。
一方、まともなドライバーが実践している左側端寄せは、後続自転車と十分な距離がある状況なのを確認してから左側端に寄せることを意味する。

前者の危険な左側端寄せが許されないのは当たり前(26条の2第2項)。
ところが話がややこしいのは、後者の「安全な左側端寄せ」に対して「迷惑」とイチャモンつける自転車もいること。
これらはルールの不知が原因とも言えるんだけど、本質的には他人を尊重する気持ちがあれば危険な左側端寄せはしないし、

安全な左側端寄せに対し文句をつけることにもならない。

イーデザイン損保の動画って、そういう意味で他人を尊重する気持ちを説いているのよね。
自分勝手な気持ちだと、法を正しく理解しようとせず自分有利な解釈ばかりしたがるのがオチ。
で。
この人の投稿が炎上している様子をみると、思考回路が「自転車vsクルマ」なので、対立構造を煽るだけになっているところが原因なわけ。
『「ビタ寄せ運転」。自転車ユーザーの77.6%が危険、迷惑だと感じたことがある一方で、車ユーザーの60.8%がこのような運転をすることがあると回答。このような運転をする理由として「左折時に自転車を巻き込まないようにするため(67.2%)」』
理由がどうあれ、危険を感じさせるのでは、意味がない pic.twitter.com/zDM8JVnUFT
— Johnan 城南 Rotten (@cyclepistols) May 14, 2025
「左側端に寄せる」ということに対するイメージは上に挙げたように2パターンありますが、この人自身が前者の態様なのか後者の態様なのかを明らかにしないからそれぞれが思い描くイメージで捉え話が噛み合わなくなる。
当たり前の話として、危険な左側端寄せが正当化されることはない。

まともなドライバーがイメージするのは後者の態様。

後者の態様をイメージする人がこの人の投稿をみれば、「自転車乗りはワガママだ」と感じるのは当たり前だし、前者の態様をイメージする人なら「危険な左側端寄せはやめろ」というのは当然のこと。
それらを明確にしないまま話を進めれば、そりゃ炎上するわな…と。
ところで、「できる限り左側端に寄って」を誤解している人もわりといる。

「できる限り道路の左側端に寄り」とは
(イ)「できる限り」とは
その場の状況に応じ、他に支障のない範囲で可能な限り、行えばよいとの趣旨である<同旨 法総研125ページ 横井・木宮175ページ>。
左側に車両等が連続していたり、停車中の車両等があって、あらかじめ道路の左側に寄れなかった場合には、たとえ直進の位置から左折進行したとしても、本項の違反とはならないことになる<横井・木宮175ページ>。東京地方検察庁交通部研究会、「最新道路交通法事典」、東京法令出版、1974
間違っても「できる限りだろ!」といって強引に自転車の進行を妨害するのはダメ(26条の2第2項)。

たぶん「左側端寄せ=巻き込み防止」という感覚が強すぎるのかなと思うんだけど、立法者の説明によると左側端寄せの意味はこうなる。
道路交通法34条1項が交差点における左折車に所謂左寄せ義務を課した所以は、原判決の説示するとおりで、その車両が左折しようとするものであることを同法53条で命ぜられた左折の合図をするだけでなく、その車両の準備的な行動自体により他の車両等に一層よく認識させようとするためであることは明らかなところ
福岡高裁宮崎支部 昭和47年12月12日
立法者(警察庁交通企画課、宮崎氏)の解説書(条解道路交通法)も同じ見解で、左折巻き込み防止という話は全く出てこない。
しかし一方、下記判例もある。
道路交通法によれば、車輛が左折しようとするときは、燈火等によりその合図をするとともに、あらかじめできる限り道路の左側に寄り、かつ、徐行しなければならない旨規定し(道路交通法34条、53条)ているのは合図によるだけで、当該車輛と道路左側との間隔が大きいと、その中間に他の車輛が入りこみ、左折する車輛とその後続車輛とが衝突する恐れがあることを考慮し、できるだけあらかじめ左側に寄ることを要求していることがうかゞえるのである
大阪高裁 昭和43年1月26日
これらから言えるのは、立法者が意図した「できる限り左側端に寄って」とは「ウインカーのみならず左側端に寄せることで左折意思を示すため」のみで、本質的には巻き込み防止措置は別だということ。
ただし左側端に寄せた状態であれば、実質的に2輪車が進入する余地はなくなるから後方確認の範囲が小さくなる(結果論)。
そもそも、左側端寄せは「できる限り」なので、できない場合には可能な範囲でかまわない。
下記みたいな至近距離で左側端に寄せたら危険なのは明らかなのだから

「できない場合」に該当し、交差点直前までそのまま直進して巻き込み確認してから左折したとしても、それは「できる限り左側端に寄って」になる。

「できる限り道路の左側端に寄り」とは
(イ)「できる限り」とは
その場の状況に応じ、他に支障のない範囲で可能な限り、行えばよいとの趣旨である<同旨 法総研125ページ 横井・木宮175ページ>。
左側に車両等が連続していたり、停車中の車両等があって、あらかじめ道路の左側に寄れなかった場合には、たとえ直進の位置から左折進行したとしても、本項の違反とはならないことになる<横井・木宮175ページ>。東京地方検察庁交通部研究会、「最新道路交通法事典」、東京法令出版、1974
けど一部勘違いした人が「できる限り左側端に寄せる!」として危険な左側端寄せをしてしまう。

自転車に乗る人がイメージするのはこれ。
そしてまともなドライバーがイメージするのはこのような危険な左側端寄せではない。
イメージの乖離から無駄な対立を煽って炎上してますが、それも含めて他人を尊重する気持ちがあれば、誤解を生まないように配慮して投稿すると思うのよね。
危険な左側端寄せの話だという前提なら、全ての人が「そりゃやっちゃいかん」と考える。
そこをアバウトにするから無駄な対立を煽るだけになって炎上する。
けどこの人って普段から対立を煽る投稿をしている印象しかないので、狙ってやっているのかもしれません。
そういう姿勢も含めて他人を尊重する気持ちを説いているのだと考えられますが、要は「左側端寄せ」という概念からイメージする態様は一つではないのよね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


コメント
ロードバイクで市街地を走る上で,いちばんに気にするべきは左折巻き込みですね。
10kmも走れば2回ぐらいは左折ウインカー無しか、直前ウインカーで左折する車に出くわします。
交差点の手前から車の横にならない様にしてますが、追越し直後に左折される事も。
追い抜く側は絶対にこちらの存在に気付いているはずなのに、危険予知出来てないのか、自転車が避けるもんだとか思ってるんですかね?
せめて気前よく手前から左折ウインカーは出して貰えば、あらかじめ左に寄せようが寄せまいが先にイカせてあげれるのに、スッキリ出せないケチな人たちには困ります。
コメントありがとうございます。
自転車乗りからみて危険と感じる典型例ですよね。
ただまあ、当該発信は危険ではない左側端寄せと区別せずに話をするからムダな対立を生んでいるので、そりゃ炎上するわなと。