ではこちらの正解編。

このような状況において、
①「あらかじめ」だから交差点30m手前で一時停止して自転車通行帯を通行する自転車を先行させ、自転車の進行を妨害しないことを確認してから左側端に寄せる(26条の2第2項)
②「できる限り」なのだから、この場合は「左側端に寄せることが困難な状態」と捉えて交差点までとりあえず直進し、交差点部で自転車を先行させてから左折
どちらが正解かというと、どちらも間違いではないんですね笑。
現実的には②がほとんどでしょう。
要は交差点手前30m付近で一時停止されても、その意図は他の通行者には伝わらない。
「できる限り左側端に寄って」としているのだから、ガンガン自転車が来ていたら「左側端に寄れない状態」なんですよね。
「できる限り道路の左側端に寄り」とは
(イ)「できる限り」とは
その場の状況に応じ、他に支障のない範囲で可能な限り、行えばよいとの趣旨である<同旨 法総研125ページ 横井・木宮175ページ>。
左側に車両等が連続していたり、停車中の車両等があって、あらかじめ道路の左側に寄れなかった場合には、たとえ直進の位置から左折進行したとしても、本項の違反とはならないことになる<横井・木宮175ページ>。東京地方検察庁交通部研究会、「最新道路交通法事典」、東京法令出版、1974
間違っても「できる限りだろ!」といって強引に自転車の進行を妨害するのはダメ(26条の2第2項)。
若干気になるというか、要はこの話ってケースバイケースですよね。
画一的に「自転車通行帯に進入して左折が正解だ」と解説することは必ずしも実情には合わないし、ましてや指定通行区分があるなら自転車通行帯に進入することは指定通行区分違反になる。

道路交通法って実は正解が一つとは限らないことがあるけど、そもそも「できる限り」を勘違いする人は多い。
これは何度も取り上げてますが、駐停車の規定。
第四十七条 車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
2 車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
停車 | 駐車 |
できる限り左側端 | 左側端 |
駐車は「左側端」、停車は「できる限り左側端」としてますが、なぜそのように規定したかについては当時警察庁で道路交通法を作った宮崎氏が解説してます。
停車の説明
なお、「できる限り」としたのは、本来は左側端にぴったり寄るのが望ましいが、道路工事その他障害物のため左側端に寄ることが不可能な場合を考慮したからである。
宮崎清文、条解道路交通法、立花書房、1961(昭和36年)
駐車の説明
本項においては、停車の場合と異なり、「できる限り」という言葉が用いられていない。したがって、車両は、駐車しようとするときには、かならず道路の左側端に寄らなければならぬことになる
宮崎清文、条解道路交通法、立花書房、1961(昭和36年)
できない状況を除外する意味で「できる限り」としているのに、「なにがなんでも」というニュアンスに受け止める人が多いのよね。
ここを勘違いすると「左側端に寄って」よりも「できる限り左側端に寄って」のほうがより左側だと勘違いする。
「できる限り左側端に寄って」とは「左側端に寄って、ただし道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない」という意味。
現実的にはこうなるでしょうね。
けどこれを違反と捉える人もいるからややこしい。
道路交通法って共通理解がないから話がおかしくなるわけですが…

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
現実は
③追い抜いてそのまま左折する
が多い気がします。
まあ、タイミング的に自転車のブレーキが間に合う事が多いので、事故にはならない事が多いですが、後ろから追い抜いて目の前を横切られるとイラっとしますね。
②の様に待ってくれるケースって先行する左折車に自転車が追い付いてしまって自動車が譲ってくれるケースしか私は遭遇したことがありません(私は追い付いただけなので左折車に先に行ってもらいますが)。
コメントありがとうございます。
結局のところ、ちゃんと自転車を見えてるのかイマイチ信用しがたいんですよね…