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「自転車道(交通法2条1項3号の3)」と「自転車用道路」(交通法8条1項)は違うもの。

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こちらに質問を頂きました。

「自転車道」は公安委員会の規制ではない。
先日のこちら。なかなか興味深い意見が出ている。国道16号線相模原市付近と思われますが、JARTICが公表する各都道府県警察の交通規制データベースを見ても、神奈川県に自転車道の規制を受けた道路は一つも存在しません。なのでこの道は道路交通法第六...
読者様
読者様
JARTICの規制コードには自転車用道路があるので、この記事は間違いなのではないですか?

そもそも「自転車道」と「自転車用道路」は別なんです…

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話がややこしくなる「自転車道」と「自転車用道路」の違い

この方がいう「自転車用道路」とはこれ。

交通法8条1項による規制で、公安委員会が自転車用道路であることの意思決定を必要とします。

(通行の禁止等)
第八条 歩行者等又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない

標識が必須要件で、歩行者と指定された車両の通行を禁止する規制です。

 

自転車道は別なんです…

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

自転車道の法定要件は、「縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画する」であり標識は要件ではない。

 

では交通法8条による自転車用道路とはどういうものを指すのかというと、分かりやすい例でいうとパレスサイクリング。

パレスサイクリング – 自転車産業振興協会

普段は一般道になっている道路を、日時指定で自転車用道路としている。
公安委員会が8条1項に基づいて自転車用道路に指定した場合、歩行者と指定された車両は通行禁止になる。
パレスサイクリングって当初、標識に「歩道を除く」という補助標識をつけ忘れていたために歩道まで規制効力が及んでしまい、歩道を歩行者が通行すると違反になる珍事を巻き起こしていたそうですが、誰かが指摘して補助標識が設置されました。

 

さて話がややこしくなる理由は、この標識が3つの異なる意味を持つことにある。

◯特定小型原付・自転車専用(325の2)

意味 設置管理者
①自転車道であること。 原則として道路管理者 歩道と車道が区別された道路にある自転車道(国道16号相模原など)
道路法第四十八条の十四第二項に規定する自転車専用道路であること。 道路管理者 荒川上流の埼玉県道155号さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線(ただしここは歩行者自転車専用道路であり自転車専用道路ではない)
交通法第八条第一項の道路標識により、特定小型原動機付自転車及び自転車(これらの車両で交通法第十七条第三項の規定により自転車道を通行してはならないものを除く。以下この項及び次項において同じ。)以外の車両及び歩行者等の通行を禁止すること。 公安委員会 パレスサイクリングなど

この標識があるときに3つの意味を持つのではなく、どれか1つの意味しか持ちません
つまり誰がどのような目的で設置したか次第で意味が変わる。

 

例えば②「道路法による自転車専用道路」の場合には、実は小型特殊自動車のうち農耕作業車は通行可能になってますが(道路法施行規則)、自転車道や交通法8条による自転車用道路の場合には農耕作業車は通行禁止になっている。

 

そして③の「自転車用道路」の場合は交通法8条1項により標識で規制するのだから公安委員会の意思決定が必須ですが、①の「自転車道」については標識が必須要件ではないため、公安委員会が意思決定する仕組みがありません。

分かりにくいですが

公安委員会による交通規制は道路交通法の規制で、かつ標識等を必須要件にしたもののみ。
それを踏まえて定義、標識令、道路交通法、道路法を整理しないと間違ってしまいます。

 

ただまあ、これは警察の交通規制課でも混乱を招いていて、パレスサイクリングは当初「道路全体」に「自転車用道路」の規制を掛けてしまったために、車道のみならず歩道を歩行者が通行できない珍事を引き起こした。
さらに特定小型原付が登場した際に325の2の意味が改正され、従来は「普通自転車」に限定していたのが非普通自転車にも解禁された。

パレスサイクリングと交通規制。非普通自転車は不可!?
こちらについてコメントを頂きました。"道路交通法上の自転車道を意味しながら公安委員会が「自転車専用(325の2)」を設置することは基本的に無い(管轄外)"とのことですが、パレスサイクリングはどうでしょうか?一般道が日時限定の自転車道になるの...

たまたま特定小型原付施行のちょい前に「パレスサイクリングって非普通自転車の通行が禁止になっているように思うけど、それは妥当なのか?」と問い合わせしまして。
「標識令改正で非普通自転車が解禁されることになっているけど、現在改正条文を検討して規制内容を見直すか考え中」と言われた。

 

ところが「自転車道」の場合、工作物で仕切れば道路交通法上は自転車道なのだから、標識の有無は関係ないし、公安委員会が関与する問題ではない。

自転車道は「区画」とあることや、法63条の3で「普通自転車は自転車道があるときは自転車道を通行せよ」としていること、16条4項で「自転車道が設けられている道路における自転車道と自転車道以外の車道の部分とは、それぞれ一の車道とする」としていることからみても、車道と歩道からさらに区画した一部のみを指すのだと理解できる。

 

分かりにくいしイチイチ整理しながら考えないとわからないのですが、自転車のルールって本当に難解なのよね。

 

なお、自転車道は標識が必須要件ではないことから、標識があって歩道と車道の区別がある場合でも警察的には「自転車道(交通法2条1項3号の3)ではない」としている場所すらある。

自転車道の通行義務と自転車道の道路標識について。意外とややこしい。
自転車道関連の話は何度も書いていますが、道路に自転車道がある場合、自転車は自転車道の通行義務があります。(自転車道の通行区分)第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの(以...

お前らバカなの?とツッコミ入れたくなるほど難解なのよね…
理解できない部分もあると思うので、時間をかけて考えてください。
この話を理解するのに、私はわりと時間が掛かりましたから…

 

それこそ荒川上流のサイクリングロードは「埼玉県道155号さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線」が正式名称ですが、道路交通法上は「自転車道」ではなく「歩道と車道の区別がない道路」(2条1項1号)で、道路法上は「歩行者自転車専用道路」になっている。
つまり一般用語の自転車道と、道路交通法上の自転車道が同じとは限らないわけよ。

 

まとめ

・「自転車道」(交通法)、「自転車専用道路」(道路法)、「自転車用道路」(交通法)は全て違う。
・上記のうち公安委員会の意思決定を必要とするのは「自転車用道路」(交通法8条1項)のみ
・「特定小型原付・自転車専用」(325の2)は3つの意味があるけど、三者択一の効力しかない。
・かなり難解なので、間違えるのはある意味当然。

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