PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

「自転車道」は公安委員会の規制ではない。

blog
スポンサーリンク

先日のこちら。

国道16号相模原の自転車道。
読者様から質問を頂きました。ここ自転車専用道路が整備されてる場所なんだけどなんでわざわざ渋滞作ってまで道路を走るの?(※道路を走っては行けないとはいってない) pic.twitter.com/JUB9HSJPrq— nob (@doroic...

なかなか興味深い意見が出ている。

この見解は誤りでして、「自転車道」は「公安委員会の規制」ではないのよね。
理由はここ。

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

標識も標示も要件になっていないので、自転車道を公安委員会が認定するという仕組みがない
各都道府県の交通規制データベースというのは、標識と標示に関するもの(法4条1項)。
車両通行帯や横断歩道は「道路標示で示した」とか「道路標識等により」と定義されているから、標識等の管理者である公安委員会が意思決定しないと効力がない(法4条1項)。
しかし自転車道は標識等が要件ではないので、公安委員会が意思決定して規制するという仕組みがないことになる。

 

これは「車道」や「歩道」の定義にも言えるんだけど、標識等が要件になっていないので、公安委員会が「車道」とか「歩道」とか意思決定する仕組みがない。
縁石や工作物で仕切ることのみが要件。

 

以前私も勘違いしていたのですが、相模原署の人に教えてもらって納得した。
現に交通規制データベースをみても、「車道」と「歩道」は一つもないわけよ。
それらは標識等によって公安委員会が意思決定するのではなく、構造のみで決まる。

 

ちなみに標識令をみると

この標識は「自転車道であること」としているものの、「交通法2条1項3号の3に規定する自転車道であること」とはしていない。
そして道路交通法上の定義も標識も必須要件にしていないので、理屈の上では標識があっても自転車道ではない場所が存在する。

自転車道の通行義務と自転車道の道路標識について。意外とややこしい。
自転車道関連の話は何度も書いていますが、道路に自転車道がある場合、自転車は自転車道の通行義務があります。(自転車道の通行区分)第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの(以...

そして現に、標識があるけど警察が「自転車道とは考えていない」とする場所すらある。

 

これはむしろ混乱を招いている気がするのよね。
この話を理解するのにかなり調べて考えて、管轄署の話を聞いてようやく納得したけど、

 

自転車道とは「公安委員会の規制」ではなく「構造による法規制」なのよ。
「歩道」の成立に公安委員会の意思決定が不要なのと同じこと。

 

たぶんこれを見てもわからない人は出てくると思うんだけど、道路交通法には法定規制と公安委員会規制があります。
公安委員会規制とは標識や標示を設置して行うものですが、法定規制は標識や標示がなくても行われるもの。

 

その前提を理解してないと、難しいかも。
そして法定規制と公安委員会規制の違いをわからないと、都道府県施行細則を読み間違ってしまう。

違反取り締まり中のパトカーや白バイは、交差点5m以内の駐車が可能か?
読者様から質問を頂いたのですが、こちらの動画。ちょっと前に私人逮捕系YouTuberなる人が横行してましたが、間違った知識だとややこしくなるので解説しておきます。駐停車禁止は法定禁止と公安委員会禁止の二種類この話、何から説明しようか悩むので...
「お前は何様か!」…白バイが速度超過していい根拠はありません…
こちらについて。下記記事について「検察の主張は誤り」と書きましたが、これを書くと抗議してくる方が。検察は、白バイの速度118キロについて、警ら中であり、法律上は問題ないとしているものの、通達を20キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バ...

全部つながってくるのよね。
ただまあ、このあたりは本当に難しいというか一つ一つ整理しながら条文を読まないと間違える。

 

条文の「バラバラ化読み」をオススメするのは、バラバラ化して全体像である「森」を構築してから、細部の「木」を見るという段階で間違いに気付きやすくなるのも理由。
とはいえ、

七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。
三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

この差は「道路標示により」なのよ。
道路標示は都道府県公安委員会が設置管理するとしているのだから(4条1項)、公安委員会が車両通行帯であることの意思決定が必要なんだと読み取れる。
自転車道は標識等が要件ではないので、公安委員会が意思決定するものではない。

 

交通規制データベースは公安委員会の意思決定資料なわけだから、標識や標示に関するものだけが管轄なのよ。

 

とりあえず言えるのは、間違いはわりといろんな人に起きるし、それは弁護士だろうと裁判所だろうと同じ(間違いのレベルは違うだろうけど)。
それこそ歩道がある道路の車道外側線の外側を「車道ではない」と解釈した高裁判例すらありますが…

コメント

タイトルとURLをコピーしました