先日のこちら。

なかなか興味深い意見が出ている。
国道16号線相模原市付近と思われますが、JARTICが公表する各都道府県警察の交通規制データベースを見ても、神奈川県に自転車道の規制を受けた道路は一つも存在しません。
なのでこの道は道路交通法第六十三条の三の自転車道ではないという事では。https://t.co/mkrDw2lWj9— てゆうか (@edlkit) July 14, 2025
この見解は誤りでして、「自転車道」は「公安委員会の規制」ではないのよね。
理由はここ。
標識も標示も要件になっていないので、自転車道を公安委員会が認定するという仕組みがない。
各都道府県の交通規制データベースというのは、標識と標示に関するもの(法4条1項)。
車両通行帯や横断歩道は「道路標示で示した」とか「道路標識等により」と定義されているから、標識等の管理者である公安委員会が意思決定しないと効力がない(法4条1項)。
しかし自転車道は標識等が要件ではないので、公安委員会が意思決定して規制するという仕組みがないことになる。
これは「車道」や「歩道」の定義にも言えるんだけど、標識等が要件になっていないので、公安委員会が「車道」とか「歩道」とか意思決定する仕組みがない。
縁石や工作物で仕切ることのみが要件。
以前私も勘違いしていたのですが、相模原署の人に教えてもらって納得した。
現に交通規制データベースをみても、「車道」と「歩道」は一つもないわけよ。
それらは標識等によって公安委員会が意思決定するのではなく、構造のみで決まる。
ちなみに標識令をみると

この標識は「自転車道であること」としているものの、「交通法2条1項3号の3に規定する自転車道であること」とはしていない。
そして道路交通法上の定義も標識も必須要件にしていないので、理屈の上では標識があっても自転車道ではない場所が存在する。

そして現に、標識があるけど警察が「自転車道とは考えていない」とする場所すらある。
これはむしろ混乱を招いている気がするのよね。
この話を理解するのにかなり調べて考えて、管轄署の話を聞いてようやく納得したけど、
自転車道とは「公安委員会の規制」ではなく「構造による法規制」なのよ。
「歩道」の成立に公安委員会の意思決定が不要なのと同じこと。
たぶんこれを見てもわからない人は出てくると思うんだけど、道路交通法には法定規制と公安委員会規制があります。
公安委員会規制とは標識や標示を設置して行うものですが、法定規制は標識や標示がなくても行われるもの。
その前提を理解してないと、難しいかも。
そして法定規制と公安委員会規制の違いをわからないと、都道府県施行細則を読み間違ってしまう。


全部つながってくるのよね。
ただまあ、このあたりは本当に難しいというか一つ一つ整理しながら条文を読まないと間違える。
条文の「バラバラ化読み」をオススメするのは、バラバラ化して全体像である「森」を構築してから、細部の「木」を見るという段階で間違いに気付きやすくなるのも理由。
とはいえ、
この差は「道路標示により」なのよ。
道路標示は都道府県公安委員会が設置管理するとしているのだから(4条1項)、公安委員会が車両通行帯であることの意思決定が必要なんだと読み取れる。
自転車道は標識等が要件ではないので、公安委員会が意思決定するものではない。
交通規制データベースは公安委員会の意思決定資料なわけだから、標識や標示に関するものだけが管轄なのよ。
とりあえず言えるのは、間違いはわりといろんな人に起きるし、それは弁護士だろうと裁判所だろうと同じ(間違いのレベルは違うだろうけど)。
それこそ歩道がある道路の車道外側線の外側を「車道ではない」と解釈した高裁判例すらありますが…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


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