ちょっと前にも書いたように、
自転車用のウインカーは、正直なところ良さそうなものは皆無と言っていいです。
実際のところ、使い勝手が悪いものばかりですし、構造的に難があるものもありますし。
ウインカーで良さそうなものがない理由
過去にこういうリアライト&ウインカーを使っていたことがあります。
まあ、ある日走行中に折れて落下して終了してますが。
このウインカー、致命的な問題を含んでいまして、
これが致命的な弱点。
もう一つ、操作性の問題で言うと、ハンドル部につけたリモコンを操作しないといけないわけですが、
さらにもう一つ言うならば、
ロードバイクの歴史でいうと、昔は変速シフターというとダウンチューブにつけていたダブルレバーですよね。
シマノが手元変速を開発してカンパニョーロが追従して、いまや手元変速は当たり前の時代になっているわけです。
操作性という観点でも、ブラケットを握ったままウインカー操作できるようなものじゃないと、そのうち面倒になって使わなくなるのがオチ。
こういうのもあるわけですが、
リモコン操作が面倒になるのがオチなのかなと。
探すといろいろ出てきますが、結局はリモコン操作で手を離して作動させないといけないわけです。
今のところ良さそうなものはないです。
法的な側面
自転車にも、合図する義務はあります。
第五十三条 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。4 車両の運転者は、第一項又は第二項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。
左折、右折、進路変更、減速、停止などのタイミングで、合図する義務があります。
また左折や右折などでは、その行為が完了するまでは合図は出しっぱなしじゃないと違反です。
曲がりきるまでは継続です。
ちなみに進路変更というのは、車線変更とイコールではありません。
同一車線内でも、進路変更するときは合図する義務があります。
ただこれ、ママチャリ等自転車全体を見渡したときに、合図をちゃんとしている人なんて皆無に等しいです。
ロード乗りでも、例えば左折前に手信号で出しても、左折が完了するまで出しっぱなしの人を見たことがありません。
探せばいるのかもしれませんが、行為完了まで出していないと、法的には違反です。
警察としても、これを取締り対象としているようではないらしく、取締り対象にするととんでもない数の自転車が違反になるはず。
実際、自転車講習行きの15類型にも、合図不履行は入っていません。
・信号無視【道交法第7条】
・通行禁止違反【道交法第8条第1項】
・歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)【道交法第9条】
・通行区分違反【道交法第17条第1項、第4項又は第6項】
・路側帯通行時の歩行者の通行妨害【道交法第17条の2第2項】
・遮断踏切立入り【道交法第33条第2項】
・交差点安全進行義務違反等【道交法第36条】
・交差点優先車妨害等【道交法第37条】
・環状交差点安全進行義務違反等【道交法第37条の2】
・指定場所一時不停止等【道交法第43条】
・歩道通行時の通行方法違反【道交法第63条の4第2項】
・制動装置(ブレーキ)不良自転車運転【道交法63条の9第1項】
・酒酔い運転【道交法第65条第1項】
・安全運転義務違反【道交法第70条】
・妨害運転(交通の危険のおそれ、著しい交通の危険)【道交法第117条の2の2第11号、第117条の2第6号】
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/koshu.html
警察としても、片手運転で合図を出すよりも、両手でしっかりとハンドルやブレーキ操作をしたほうが安全と考えているようで、手信号出したらパトカーから注意された話も聞いています。
片手運転がダメな根拠は、道交法70条か71条6号になるわけですが、
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。六 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項
⇒各都道府県の道路交通規則に片手運転が違反になるような記述があることが一般的です。
(運転者の遵守事項)第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。(3) 傘を差し、物を担ぎ、物を持つ等視野を妨げ、又は安定を失うおそれのある方法で、大型自動二輪車、普通自動二輪車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと。
安全運転義務違反(70条)については、具体的な状況下で、客観的に他人に危害を及ぼす速度と方法を認定しないと違法であるとは言えないので、片手になったから即座に違反というわけではない。
都道府県規則(法17条6号)については、恣意的に解釈すれば片手になった瞬間が違反・・・とするのは無理があって、ある程度継続的に物を持っているなどじゃないと成立しない。
そうなった場合、これらの規定で合図不履行を正当化出来るのか?については若干疑問。
急に歩行者が飛び出てきて急ブレーキを掛けるときは、当然ですが片手になって制動力を落としてまで手信号を出せば、衝突して怪我をさせる恐れがあるので、手信号を出す義務までは求めていないだろうと思いますが、それ以外のケースではどうなんでしょう?
法解釈は微妙な面を含むので、実態としての安全性を優先させているようで、片手運転で手信号よりも、両手でしっかり運転するほうを優先させているようです。
こちらの方のように(08:10あたりから)
手信号を出したばかりに、片手運転になり片手ブレーキングで盛大に落車しているので、手信号よりもまずは自分自身の安全性確保に努めるべきなのかなと思ってます。
実態として警察も、自転車の合図不履行について取り締まる気も無さそうですし、事故の判例を見ていても自転車の合図不履行について過失になっている事例を見たことがないので(あるかもしれませんが)、実態としてはほぼ重視されていないのだろうと。
まあ、法律を守ると豪語している方の場合、例えばコンビニに入るために道路外へ向かって左折するときも、左折が完了するまで手信号を出し続けないと違反になるわけで、出し続けるんだろうなと思います。
もちろん、道路交通法施行令21条に従い、左折する30m手前から、左折が完了するまでの間ですね。
一旦歩道を通過するために段差もありますし、歩道に上がる際には歩行者の安全確保に努める義務もありますし、片手で手信号を出したまま段差超えとかしたくないので、私は危険行為にしか思いませんが。
法律を守る人なら、当然左折が完了するまでは手信号を出しっぱなしじゃないと違反ですしね。
歩行者が車道に飛び出してきた場合でも、停止する手信号を出す義務があるわけですが、法律を守る人って急制動のときも片手ブレーキになってでも守るんだろうなと思うと、バカバカしいなと思ってしまいます。
で、ネットで検索すると、警察に問い合わせて回答を得たという人の話も出てきます。
その内容をまとめると、
・手信号は義務
・手信号を出すのが危険と思うなら自転車から降りて進んでくれ
・けど取り締まりしているとも限らない
こんな感じ。
ただこれ、警察の回答が恐らく、手信号を左折・右折、停止などに限定して捉えているのだろうと思われまして、その理屈でいうならば、急に歩行者が飛び出してきて急制動掛けるときも、停止の手信号を出す義務が生じます。
手信号と両手ブレーキ、どっちを優先したらいいかは考えるまでもなく。
手信号を出す義務を果たすべく、ブレーキングが不足して歩行者にヒットしたり、安定性を失って落車したら本末転倒だし。
両手ブレーキングであれば歩行者に当たらずに回避できたのに、わざわざ手信号を出して片手ブレーキングになって
歩行者に当たれば、過失致死傷罪に問われる。
道交法の合図履行義務がそれで免責になるかは不明ですが、道交法違反よりも安全を優先させるほうが一般的には優先する。
しかし53条の合図義務には、緊急時に合図不履行でもいいという規定はなく、法律論ではなく感覚論に置き換わっていると・・・
このように言ってくるでしょうし。
左折するときには30m手前から、左折完了まで手信号を出さないといけないので、例えば横断歩道に歩行者がいて停止するときも、手信号を出しっぱなしじゃないといけない。
発進時もその状態をキープして手信号を出すために、片手で発進するの??と謎事態が多々生じる。
どうやって達成すればいいのか不明なんですよね。
法律を守ると豪語する人なら、手信号を出しつつも急制動できるスキルを磨いているから、それが出来ない奴は自転車に乗るなみたいになるんですかね。
全人類に不可能なスキルとしか思えませんし、こういう部分って法律の抜け穴というか、矛盾点なんだろうなと思います。
ということもあって、私の場合は手信号よりも両手でハンドルやブレーキ操作するほうを優先してます。
上でも書いたように、法解釈は自転車については矛盾を含んでいると思われ、合図不履行だから即違反とは出来ないだろうと思うからです。
ロングライドイベントなどに出たときや、交通量の関係で後続車が微妙な動きをしている場合には手信号を出すこともありますが、あんまり多くはありません。
手信号は必須・義務・・・と言えますかね。
道路交通法を精査しても、車ヤオートバイでは達成可能なことでも、自転車では
左折と右折を同時にしろと言われているくらい、無理難題じゃないかと考えてまして。
左折と右折を同時にすることは不可能ですし、それと同じような意味じゃないかなと。
このあたりは、警察でもハッキリ答えることは無理じゃないかと思うというか、結局はこのセリフで濁すでしょう。
白黒ハッキリ付けるわけにはいかないから、自転車の合図不履行について取締りしてないんだろうなと思います。
合図不履行のロードバイクを処分したら、間違いなく反論されてしまうポイントなので、裁判になればどっちに軍配が上がるか全く分かりませんし。
自転車ライトの【点滅が違反とは言えない】と警察庁がしているのも、恐らく似たような理由です。
道交法では【灯火をつけなければならない】とありますが、灯火をつけるという表現の範囲に、点滅が含まれるのかは司法判断が下らない限り決着できませんし。
実態を踏まえて
ウインカーについては、マジな話いいものはありません。
なのであんまり必要ない気がします。
手信号についても、グループライドするときにはあったほうがいい場合もあるのですが、グループライドでも手信号出して誰かが転倒すると、それ以降の人も片手ブレーキになっている恐れがあって、集団落車に繋がることもあります。
そういうこともあり、ショップ単位の走行会では、手信号ではなく声で知らせるようにしているところもあるようです。
声の場合は聞き取れない可能性もあるので確実性は落ちますが、ハンドル操作の確実性は手信号よりも上。
そういう実態も込めて、手信号が必ずしも必要だとは思っていなくて。
法律を厳密に適用するならば53条(合図履行義務)が優先する可能性があるだろうと思いますが、手信号にこだわって爆死するのはナンセンスだと思うので、必要性が高いとき&安全性が確保された状況だけは出すけど、原則としては自分自身のハンドル操作を優先してます。
より厳密にいうと、こうなります。
・手信号を出す義務がある。
・かといって他人に危害を及ぼす恐れがある行動はNG
この両方を満たさないと、法律を守ることは不可能です。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
いつも拝見しております
私も手信号については懐疑的でした
運転免許が必要な自動二輪でも
片手運転で法規走行が完璧にできるのは教官クラスじゃないでしょうか
つまり、一般の免許所有者はそれ未満
運転免許が不要な自転車に同様のことを求めること自体が無理があると考えます
また、グループライドの手信号に対しても否定派です
そもそも公道でトレインを組むのが道交法違反だと思いますし
ドラフティングが有用な車間距離で手信号を確認してからの行動は間に合わない
逆に言うと、手信号が効果を発揮するような速度・車間なら
そもそ前方の確認は自己責任なので
手信号を出す方が片手運転するという
安全運転義務違反ともいえる状態なのではと思います
NHKの某番組でも
自動車教習所を借り切って
手信号は義務
といって、さまざまな危険行為をいていましたが
あれが啓蒙活動になるとは全く思えませんでした
手信号は自転車横断帯とともに
早急になくすべきだと思います
コメントありがとうございます。
そうなんですよね、トレインが道交法違反だということは事実なのですが、なぜか文化風習だとして正当化されるのもおかしな話です。
まあ、道交法の規定を全て守って自転車に乗ることは事実上不可能なので、何を優先するかになってくると思います。