読者様からこちらの記事にコメントを頂きました。
多摩川のサイクリングロードを夜走っていますが
対向の人のライトがかなり眩しく、
歩いている人や走っている人が確認しずらく
危なかったことがあります。
そのような人は、ほぼ、一人でロード用に乗っている人です。
スピードも出しています
スムーズに早く走るために、明るくしているんでしょうが
対向の人からしたら迷惑行為です
自分では気づいてないのかと思います
取り締まってほしいです
これ、マジで怖いんですよね。
サイクリングロードでのハイビーム問題
一般道だとロードバイクは左寄り通行なので、真正面に対向車が来ることはほぼ無いと言ってもいいですが、サイクリングロードのように狭い道路だと、マジで怖い。
画像は多摩川CRの川崎側ですが、そもそもギリギリ対向自転車とすれ違い出来る程度の幅しかない。
こんなところで対向ロードバイクがハイビームだと、
・距離感が分からなくなる
・真ん中にいるのか、左寄りにいるのかすら分からなくなる
しかも相手が減速していないと、もう爆死寸前ですよ。
コメントを頂いた時に、ちょうど外をロードバイクで走っていたので、デイライトの角度を確認してみました。
ここ最近、デイライトでもRN400とALLTY2000の組み合わせで乗ってますが、こんな下向きの角度。
ちなみにデイライトで使うのはRN400だけです。
ALLTY2000は夕方になったとか、トンネル内とかしか使いません。
ライトについては、道交法ではこのような規定になっています。
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
対向車が来たとか、ほかの車両の後ろを走るときには減灯しろというのが法律です。
減灯の方法は、政令で決まっているのですが、
第二十条 法第五十二条第二項の規定による灯火の操作は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める方法によつて行うものとする。
一 車両の保安基準に関する規定に定める走行用前照灯で光度が一万カンデラを超えるものをつけ、車両の保安基準に関する規定に定めるすれ違い用前照灯又は前部霧灯を備える自動車すれ違い用前照灯又は前部霧灯のいずれかをつけて走行用前照灯を消すこと。
二 光度が一万カンデラを超える前照灯をつけている自動車(前号に掲げる自動車を除く。)前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
三 光度が一万カンデラを超える前照灯をつけている原動機付自転車前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
四 トロリーバス前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
自転車についての規定がありません。
これについて前に某県警本部に聞いたのですが、政令で決まっていないから自転車は減灯措置が求められていないなんてわけもなく、対向車を幻惑させる恐れがあるときは注意すると言ってました。
取り締まりするかどうかについては・・・話しぶりだとかなり微妙です。
一応、減灯措置違反については妨害運転罪の構成要素にもなってますが、妨害運転罪は妨害意思を立証しないといけないので、単に対向車のハイビームだけでは無理かと。
ロードバイクに求められる減灯措置
ロードバイクのライトって、車のようにワンタッチでハイ・ローの切り替えが出来るわけではありません。
対向車が来たらグイっと捻って下に下げる・・・なんて方法は合理的ではないので、そもそも下向きにつけるのが基本。
これ、前も記事で書いたことですが、
近年、
こういう記事が結構あって、ロードバイクも基本はハイビームだと勘違いする人もいます。
ハイビームが基本になるのは車やオートバイなどだけです。
政令で求められる照度を確保しようとすると、車やオートバイはハイビームしか達成できないんですね。
ロードバイクは全く当てはまっていません。
自転車の灯火については各都道府県の道路交通規則で決まっていますが、明確にハイビームを禁止しているのは2県、条件付きでハイビームを禁止しているのは5県あります。
埼玉県の道路交通法施行細則。
第7条 令第18条第1項第5号に規定する軽車両(牛馬を除く。以下この条において同じ。)の灯火は、次の各号に定めるとおりとする。
(1) 前照灯 白色又は淡黄色で、夜間前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度を有するものであり、進行方向を正射し、その主光軸は下向きであること。
青森県道路交通規則。
第十条 令第十八条第一項第五号の規定により軽車両(牛馬を除く。以下この条において同じ。)がつけなければならない灯火は、次の各号に掲げるものとする。ただし、反射器材を備え付けている場合は、第二号に掲げる灯火をつけることを要しない。
一 灯火の色が白色又は淡黄色で、夜間前方十メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる性能を有する前照灯(前方十メートル以上照射できる前照灯火にあっては、主光軸の地面における照射点が前方十五メートルを超えないもの)
一通り各都道府県の道路交通法施行規則などを見た結果をまとめます。(R2.12.09調べ)
自転車フロントライトの方向 | 都道府県名 | 数 |
ハイビームに制限あり | 埼玉県、青森県 | 2 |
発電装置の場合のハイビームの制限あり | 福島県、神奈川県、山形県、静岡県、滋賀県 | 5 |
ハイビームに関係する記載なし | 北海道、東京都、大阪府、岩手県、秋田県、宮城県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県、長野県、石川県、富山県、新潟県、福井県、愛知県、岐阜県、三重県、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、広島県、岡山県、島根県、鳥取県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | 40 |
※発電装置のライトだけ制限を設けている理由は不明ですが、恐らく条文が古く、ダイナモライトが主流で今みたいなLEDライトが無かった時代に出来たからだろうと思います。
まあ条文がある・無いに関わらず、ロードバイクのライトは下向きが基本。
そうじゃないと対向車を幻惑させる恐れがあるので。
取り締まりは・・・
現行法でも理論上は取り締まり可能ですけど、実態としては無灯火については取り締まり対象でも、減灯措置の違反は恐らく取り締まりしてないと思います。
パトカーがたまたま気になったら、注意する程度がせいぜい。
サイクリングロードも道交法上では道路になるのですが、パトカーが入れませんので、事実上は取り締まりしていません。
注意がせいぜいなので、警察に通報しても、
するのかしないのか分からない程度の回答しか来ないかと。
直接注意するのはトラブルの元になるので止めたほうがいいです。
ではどうすべきなのか?という話。
恐らく法改正の陳情しかない
警察庁が検討している、自転車への少額違反金制度に期待・・・というのもいいんですが、たぶん、無灯火については少額違反金制度の対象に加えるでしょうけど、減灯措置違反について違反金が設定されるのかはちょっと疑問。
なにせ車やオートバイのような保安基準が無いので、どこまでがハイビームなのかが判定できないですし。
また、違反金制度の対象になったとしても、サイクリングロード内にパトカーは入れませんし、事実上はサイクリングロードでの取り締まりなんてしないでしょうし。
自転車ライトって、近年高輝度化が進んでいて、歩行者とか車のドライバーからもさほど評判は良くないです。
眩しい・ウザイ、という話はチラホラ聞きますし。
ドイツって自転車ライトに対する規制がしっかりしています。
上方向の配光をカットしないといけないのがドイツの規格。
まあ、オーライトもそれらしき機能は付いていますが・・・(お察し)。
キャットアイのGVOLTシリーズはドイツの規格に沿ったライトです。
日本でも、何らかの基準を作ったほうがいいのかなと・・・
法改正は簡単ではないですが、こういうのってある程度社会問題化すれば、意外と早く決まったりします。
まあ、自転車の灯火については各都道府県の道路交通規則になってくるので、どこかの自治体が改正すればそれに追従するところはあるかもしれません。
なので法改正の陳情になってきちゃいます。
警察への通報でもいいんですが、サイクリングロードなので巡回するかすら疑問。
時々書いていることですが、第三者の思考とか行動を変えることって事実上不可能だと思ってます。
いつも眩しいそのロードバイクの人も、何らかの信念に基づいてハイビームを使っているとしたら・・・注意されても直らないかもしれませんし。
そう考えると精神衛生上最もいいのは、サイクリングロードを走らないことになってきちゃうんですよ。
そいつと会わないルートにすれば、気にならなくなる。
ちょっと前にオーライトから最大3500ルーメンのライトを頂いてますし、2000ルーメンのライトも頂いてますが、
このクラスのライトって、使い方を間違えば確実に凶器。
ALLTY2000も水平設置してマックスでハイビームにしたら、マジで凶器です。
400ルーメンくらいでも、サイクリングロードでハイビームされたら凶器になりますが、もうちょっと自転車ライトについては、設置方法を法律で縛ったほうがいいような気がしてます。
現状では
現状を考えると、警察に通報しても取り締まりするとは思えません。
せいぜいちょこっと巡回して、気になったら注意するかも程度かと。
注意されて従う人だったら効果があるでしょうけど、ハイビームにすることが正義だと思っている人もいます。
要は視認性・被視認性ともにハイビームがいいという自己中心的発想。
そういう人が注意されたとして、それ以降も直すのかは疑問。
自転車ライトって、視認性・被視認性・周囲への配慮の3要素をバランスよく取るようにしないと、自己中心的発想になってしまうと思ってます。
少額違反金制度が出来たときに、減灯措置違反も対象になっていればワンチャンスあるかもしれませんが・・・
ちなみに普段ライトはこの角度にしてますが、
もし多摩川サイクリングロードを夜に走るとしたら、たぶんさらに下げると思います。
一般道とサイクリングロードでは、対向車の接近度が違うので、対向車を幻惑させないためにはもうちょっと下かな。
まあ現状を考えると、夜にサイクリングロードを走るのを止めるというのも一つの選択肢。
ずいぶん昔に夜間サイクリングロードを走ったことがありますが、正直なところ明るいライトを使っても怖すぎる。
街灯がないので、歩行者が黒い服着ているとマジでわからないですし。
何かあってから後悔しても遅いので、あんまり通りたくはないですね。
まあ、高輝度ライトについて不快に思う人が増えれば、何らかの形で法整備される可能性もあります。
警察って自転車についてはあんまり興味がないというか、無灯火じゃなければお咎めナシなのが現状。
違反金を取れない自転車に関わっても面倒なだけと考えているかもしれません。
過去にウーバーなどの自転車運転について苦情があったことで、警察が動いて集中取り締まりしたこともあります。
なので警察も全く聞く耳を持たないわけではないと思いますが、信号無視とか歩道爆走と違って、対向車のハイビームが怖いだと正直微妙かもしれません。
けど直接注意するとトラブルになる可能性もあるので、一度警察に相談してみるしかないですね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
高はしです。
取締りは、正直むずかしいでしょうね。立証が難しい(見え方、ですからねぇ・・・)うえに、下手なことすると、こちらの身が危なくなりそうです。逆上されるのが必至かと。
コメントありがとうございます。
車のように、ハイ・ローが確立されていれば取り締まり可能なんでしょうけど、自転車用だとおっしゃる通り見え方次第なので、恐らく警察でも注意どまりがせいぜいだと思います。
一番いいのは、夜にサイクリングロードを走らないことなのかもしれません。