前にT字路での二段階右折義務について書いていますが、

単独走ならともかく、チーム走とかサイクルイベントで二段階右折したら渋滞になる。
だから臨機応変に動くべき。
こういう意見もあるわけです。
サイクルイベントでの二段階右折
まず、チーム走とサイクルイベントは分けたほうがいいんじゃないかと思うのですが、チーム走といっても何十人で連なって走ればクソ迷惑。
それは何名かのパーティーに分けて走行すれば解決しそうな。
さて、言っている意味ってこうですよね。
サイクルイベントで二段階右折厳守にしたら、こうなるでしょうし、
あまりにも台数が多い場合には、下手するとこうなる。
もはや先頭の人とか、進んでもらったほうが安全な気もする。
停止状態とは言え併走風になっているのもいかがなものかと。
基本的にクローズドなコースではない公道でのサイクルイベントの場合、こういう事態は発生する可能性は当然出てきます。
イベントの主催者によっては、ちゃんと明記してますね。
・交通法規に従って、二段階右折が必要な交差点では、二段階右折を行ってください。また、主催者が必要だと判断した交差点でも、二段階右折を行ってください。
ファンライド鏡野2020(岡山県 鏡野町(スタート&ゴールは鏡野ドーム))・順位やタイムを競うレースではありません。多くの仲間と安全にサイクリングを楽しむ大会です。・交通規制等は行いません。交通規則を遵守し、マナー重視の走行をお願いします。・この大会を通じて、鏡野町は『サイクルリストウェルカムの町』を目指しており...
・右折の場合は、必ず二段階右折を行って下さい。
大会概要 | 北アルプス山麓グランフォンド
で、サイクルイベントによっては交差点に立哨員がいるのですが、こういうT字路で止まらずに進んでくださいと言われることもあります。
クローズドではないイベントでも、警察署の道路使用許可を得ているわけです。
立哨員が指示するくらいなので、そのまま行っていいとする許可を得ているんだろうと思うので、立哨員の指示に従うことにしています。
このあたりの正式な解釈は正直わかりませんが、道路使用許可は道交法77条にあり、道交法76条の絶対的禁止行為に触れないことであれば、管轄の警察署長は許可を出せるはずですし。
そもそも、交通量が多いT字路は避けたコース設定を指示されるはず。
ずいぶん前に出たサイクルイベントでT字路に警察官もいたような記憶があるのですが、あまり詳しくは覚えていません。
臨機応変の意味が違う気がする
チーム走やサイクルイベントを例に挙げての【臨機応変】は、正直なところ論点がおかしい気がします。
臨機応変はどこまで許されるのか?の線引きの話になってしまうわけですが、

安全性確保が優先すべきだから俺は二段階右折をしない。
言い出したモノ勝ちみたいにしかならないので、臨機応変にというのは違うかなと。
チーム走であれば、3人くらいのパーティーに小分けにすれば大渋滞にはならないわけで、臨機応変に二段階右折しないのではなくて、臨機応変にチームのパーティーを分けて道交法を順守しながらも安全確保するのが正解。
イベント系については、主催者と立哨員の指示に従うしかないです。
臨機応変に二段階右折を守らなくてもいい、とすると、拡大解釈しか生まれませんし。
臨機応変に、という言葉、いろんな解釈が出来ちゃうんで、必ず拡大解釈する人が出てくるだけだと思うのですが・・・
これ以上渡ったら渡った先が危ない状況だけど、かといって渡らずに待っていたら渋滞するわけなんですが、
渋滞回避のために道交法を守らなくてもいいという考えも違うはず。
そんなん言い出したら、車が渋滞回避のために反対車線を逆走してみました!という行為がセーフになるのか??という話になるだけ。
ただまあ、実務上の取り扱いとしては、こういうケースも許容(?)されている。

これもニッポン語でいうところの臨機応変になんだと思いますが、臨機応変を拡大解釈するならやっぱり違う。
なのでこういうサイトで解説する以上は、法に則った部分を解説するのは当たり前。
その上で、イベントであれば交差点にいる立哨員の指示に従って行動するしかないです。
チーム走なら自助努力で、小分けのパーティーにすれば解決しますので的外れ。
まさかチーム走といって100人とかで走っているわけではないでしょうし。
二段階右折の法的根拠と意味
前にT字路での二段階右折について【対向車がいないT字路で二段階右折はアホ】みたいに書かれたことがあるのですが、

二段階右折の解釈としては、不十分です。
自転車と原付(三車線以上)に二段階右折を強いている理由は、右折のために右折レーンもしくは道路中央に寄る行為が、速度が遅いから危険と判断されてのことです。
速度域が違う車両が右に寄ろうとすると、事故リスクと渋滞の懸念があるということ。
かといって左寄りのまま右折されたら、後続車はパニックになる。
そもそも、古い時代には全ての車両に二段階右折を義務付けていて、それが今度は全ての車両が小回り右折に変更された歴史があります。
その中で、国際条約加盟のためにいろいろ問題があるので今の法律になったというだけのこと。
二段階右折の根拠はこちら。
道路交通法。
第三十四条
3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。
道路交通法施行令。
第二条 法第四条第四項に規定する信号機の表示する信号の種類及び意味は、次の表に掲げるとおりとし、同表の下欄に掲げる信号の意味は、それぞれ同表の上欄に掲げる信号を表示する信号機に対面する交通について表示されるものとする。
三 多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。)をし、又は左折することができること。
五 交差点において既に右折している多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、その右折している地点において停止しなければならないこと。
前にある件で警察官に質問した時に、

よく見かけますよ。
実態としてはスルーしているようですが、警察官によっては注意指導している様子。
法解釈を知った上で、守るかどうかはその人次第ですし、守ってない人を力ずくで変えさせることも不可能。
臨機応変にと称してケースバイケースで守らない人がいたとしても、同じくその人次第。
ちなみにこのように、側端に沿って徐行して通過した場合は、
道交法34条自体は満たしているけど、道交法7条の違反(信号無視)となります。
第七条 道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。
信号無視は自転車講習制度の対象違反ですし、今後創設される予定になっている少額違反金制度でも間違いなく対象に入るでしょう。
ケースバイケースで二段階右折は守らなくてもいいんだ!と考えるのは自由ですが、その結果違反金の対象にもなりうる話なので、他人にそれを勧める気にはなれません。
まあ、それをいうならこれのケースも厳密に言うと信号無視なんでしょうけど・・・

もしこれで違反金取られるなら、バスの運転手に損害賠償請求・・・となるわけですが、数千円で裁判なんてクソ面倒ですし。
法解釈については、【臨機応変に】ということをなるべく書かないように心掛けています。
法解釈が臨機応変なのではなくて、法解釈は固定されていて、その先の行動を臨機応変(?)ということになりますが、違反である行動を勧めるのも違う。
法解釈は固定で、その先どうするかまではこちらのコントロール出来る範囲ではないので、違反は違反として書きます。
違反であることを知りながら破って違反を取られることは、その人の自己責任ですし。
下手に臨機応変にどうぞなんて書くと、拡大解釈が生まれる原因にしかなりませんから。
ここを分けて考えられない人っているんだよなぁ。
自転車横断帯については、原則として守らない方向をお勧めしています。
理由は単純で、法律を守ると危険だから。
これについては直接的な罰則がなく、警察官の指示に従わない場合のみ罰則なので(法63条の8)、反抗しない限りは問題になりません。

罰則がない以上、誰かの不利益になることもないのでこのように書けますが、直接的な罰則がある条文についてはさすがに違反行為を勧めるわけにいきませんし。
イベントの場合、警察署長から特別な許可をもらっている可能性もあるので、立哨員の指示に従えばいいと思います。
渋滞するから違反してもいい・・・という考え方は許容できませんが、他人が違反することまでは口出し出来ませんし。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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