先日の記事の続きです。

ここ数年で一気に市民権を得たのがグラベルロードなんですが、メーカーによっては
・アドベンチャーロード
・オールロード
・モダンロード(サーベロ)
いったい何が違うのよ?という話。
グラベルロードを定義する
グラベルロードは、舗装路もオフロードも走れるロードバイクということで大まかな特徴はこんな感じ。
・ドロップハンドル
・ディスクブレーキ
・フェンダーダボ、キャリアダボがあることが多い
・ボトルケージマウントも通常のロードよりは多い
グラベルロードを買う人の用途は主にこんな感じ。
・キャンプツーリングなど荷物を積載して乗りたい
・速度よりも乗り心地にこだわりたい
・街乗り、通勤通学
グラベルロードが登場してまだ10年も経たないと思うのですが、メーカーによってはオールロードとか、アドベンチャーロードとか、モダンロードとか好き放題語るので意味が分かりませんw
そもそもグラベルロードをどう定義するのか?というのが難しいところですが、仮に【オンロード、オフロード両立させたドロップハンドル車】と定義しておきましょうか。
シクロクロスはまたちょっと違いますが、ちょっと除外。
シクロクロスはフレームを担いで走ることもあるので、担ぎやすさまで考慮されています。
各社の動向
グラベルロード、アドベンチャーロード、オールロード、モダンロードなど各社好き勝手に名乗り始めてますが、各社の動向を見ていきます。
まとめる前に、先にキャニオンの事例を。

グラベルロードというところを見ると、さらにオールロード、アドベンチャー、バイクパッキング、グラベルレースと4つのカテゴリが出てきます。
これらは独立した4つのカテゴリではなく、一つの車種で複数に渡って区分されているのもあるので余計ややこしいw
<キャニオン>
カテゴリ | 車種名 | 備考 |
ALLーROAD | GRAIL | |
ENDURACE | いわゆるエンデュランスロード、タイヤは28mmまで。 | |
ADVENTURA | GRIZL | GRAILよりもオフロード性を高めている |
GRAIL | GRIZLよりもオンロード性を高めている | |
EXCEED | MTB | |
BIKEPACKING | GRIZL | |
GRAIL | ||
GRAVEL RACING | GRAIL | |
EXCEED | MTB |
キャニオンの分類では、オールロードの中にエンデュランスバイクも入れている。
MTBを除けば実質3車種(GRAIL、GRIZL、ENDURACE)ですが、ENDURACEをオールロードに入れるのはちょっと違うような気もします。
GRAILとGRIZLの違いは、GRIZLのほうがオフロード性を高めていること。

同じグラベルバイクのカテゴリの中でもこのように細分化しているのがキャニオン。
トレックは、グラベルロードのカテゴリにシクロクロスやDOMANEも入っている。
車種名 | カテゴリー |
Checkpoint | グラベルロード |
Boone | シクロクロス(カーボン) |
Crockett | シクロクロス(アルミ) |
DOMANE | エンデュランス |
狭義のグラベルバイクというとチェックポイントだけになるのかなと思いますが、シクロクロスとエンデュランスロードもグラベルのカテゴリに入れているので初心者さんが悩むポイントになるのかもしれません。
ほかのメーカーも見ていきましょうか。
メーカー | 車種名 | 名称 | その他 |
ピナレロ | GREVIL | グラベルロード | フェンダーやキャリアのダボ穴が無くレーシングモデル |
GREVIL+ | |||
GIANT | REVOLT | グラベルロード | |
コンテンドAR | オールロード | 38mmまで対応 | |
TREK | チェックポイント | グラベルロード | |
キャノンデール | TOPSTONE | グラベルロード | アルミ、カーボン、レフティなどアリ |
スペシャライズド | DIVERGE | グラベルロード | |
Sequoia | アドベンチャージオメトリ | クロモリ・ツーリング(?) | |
FELT | BROAM | グラベルアドベンチャー | ツーリング向け |
BREED | グラベルレーサー | ||
ビアンキ | ARCADEX | グラベルロード | カーボン |
IMPULSO ALLROAD | グラベルロード | アルミ | |
VIANIRONE7 ALLROAD | グラベルロード | アルミ | |
メリダ | SILEX+ | オフロードアドベンチャーツアラー | カーボン |
SILEX | ツーリングバイク | アルミ | |
サーベロ | Aspero | グラベルレース | |
カレドニア | モダンロード |
グラベルレース向きのもの、ツーリング向きのものとありますが、アドベンチャーと名前が付くときはグラベルレースよりもツーリング志向のことが多いのかなという印象。
メーカーによってはグラベルロードのカテゴリにエンデュランスバイクも入れているので、余計ややこしい。
メリダにはスクルトゥーラエンデュランスという車種がありますが、32cタイヤを付けている上にフェンダーマウントもあるので、多少のグラベル性も持たせたエンデュランスバイクみたいな感じになるんですかね。

あと、同じメーカーの中でカーボンとアルミのグラベルロードがある場合。
例えばメリダのSILEXですが、カーボンモデルとアルミモデルでは微妙にジオメトリの違いはあるものの、ほぼ同じと見て取れます。
リアセンター長はどちらも同じ430mm。
けどSILEX+(カーボン)のほうは【オフロードアドベンチャーツアラーのフラッグシップ】とあり、アルミのSILEXのほうは【ツーリングバイク】とあります。
どっちもツーリング系ですよとしているところでは同じですが、ジオメトリがほぼ同じところを見ると、本質的には同じ性質のバイクでフレーム素材の差だと考えればいい。
ビアンキのアルカデックス(カーボン)はリアセンター短め(425mm)、IMPULSO ALLROADは437~440mmと長めにしてあるので、前者がレーシー、後者は安定性重視のツーリング志向かなと読み取れます。
FELTもBROAMとBREEDではジオメトリが全然違うのですが、BROAMはツーリング向けと公言しているくらいなのでリアセンター長が450mmとかなり長め。
BREEDはグラベルレーサーと名乗るくらいなのでレーシングな味付けで420mm。
ピナレロのGREVILも420~425mmと短めにしてレーシーな味付けにしているわけですが、グラベルロードと名乗っていても、ロードでいうところのレーシングバイクとエンデュランスバイクみたいな味付けの差はあるので、このあたりはジオメトリを見ながら考えるしかないですね。
このあたりが初心者さんには酷なんですが・・・見たところグラベル界ではレーシーなモデルはリアセンター長が425mm以下、それ以上だとツーリング向けにしていることが多いような(全てが当てはまるのかは謎)。
印象としてですが、
・グラベルロードと謳いながらも、エンデュランスバイクが含まれる可能性がある
・グラベルロードと言っても、オンロード寄り、オフロード寄り、レース向き、ツーリング向きなどがある
・結局のところ、名称がどうというよりもジオメトリを見て考えるしかない
なので【グラベルロード欲しい!】というだけだと、かなり曖昧になる可能性はありそうです。
グラベルロードという言葉の範囲が広すぎる。
どこを見て選べばいいのか?
グラベルロードは大別すれば、グラベルレース向けかツーリング向けに分かれます。
あとは多少の味付けの差で、舗装路寄りなのか、オフロード性を強めているのかと違いなのかと。
分かりやすいところでいうと、キャニオン。
GRAILが一般的なグラベルロードだとしたら、GRIZLはよりオフロード性を高めているモデル。
ジオメトリにもこの辺りは反映されていて、Grizlのほうがリアセンター長やスタックハイトが大きくなっている感じです。
Grizl | Grail | |||
サイズ | S | M | S | M |
シート長 | 492 | 522 | 492 | 522 |
トップ長 | 562 | 574 | – | – |
リアセンター長 | 435 | 435 | 425 | 425 |
リーチ | 397 | 402 | 442 | 461 |
スタック | 556 | 579 | 638 | 660 |
なので舗装路メインでちょっとオフロードならGRAIL、オフロード多めならGRIZLみたいな分類かと。
スピードにこだわるか、安定性を強めるかの違いと言ってもいいかと。
サーベロのAsperoとカレドニアの違いもキャニオンと似ているようで、全く違います。
カレドニアはエンデュランスバイクとして見たほうがよくて、舗装路メインのロードバイクだけど、グラベルも走れるようなイメージ。
サーベロのカレドニアについては、メリダで言うところのスクルトゥーラエンデュランスが似たような立ち位置かと。

結局のところ、どのようなところを走るかがイメージ出来ていないと、難しい面もあるのかなと。
チェックするポイント | 意味合い | |
1 | 最大タイヤ幅 | かなり荒れたところを走るなら最大タイヤ幅が大きめがいい |
2 | ジオメトリ | レーシーなモデルほどリアセンター長やヘッド長が短め、安定性重視ならその逆 |
3 | フェンダーダボ穴の有無 | 必要なら |
4 | キャリアダボ穴の有無 | バイクパッキングしたいなら |
ピナレロのGREVILなんかはフェンダー・キャリア用ダボ穴が全くないので、キャンプツーリングには不向きかと。
最大タイヤ幅が小さめの車種だと、少々の荒れた路面まではまあいいとしても、それなりに荒れている路面だとつらい。
何を重視して選ぶかになるわけですが、最終的には見た目が大要素になるとは思いますけどね。
見た目が気に入っているなら、後悔するということはそんなにないと思うので。
ただしグラベルロードと名乗っていても、味付けは違うものが結構ありますし、自転車の特性を知って買うのがベストでしょうね。
オフロード性強めのグラベルロードを買ってきて、舗装路が遅いとか言ってもそりゃそうだろとしか言いようが無いですから。
多少はホイールとタイヤの選択で変える余地はありますが・・・

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
あくまで傾向としてなんですが、ツーリング志向というか積載に振ってるグラベルロードは前の三角が大きめでフレームバッグの装着を意識してることが多い気がします。
コメントありがとうございます。
なるほど、そこは盲点でした。
けどフレームサイズが小さいグラベルだとかなりスローピングがキツイような印象があって、シートチューブ側にボトルケージを設置できないものもあるように思ってまして、荷物の積載という点では小さいフレームのほうが不利なのでは?とも思ってます。