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結局はマナーの世界。

こういうのを見ていて、うーん、と思うのですが。

そもそも論として

側方通過時に「通過される側」が感じる危険を、ある種の有形力と捉えたとして。

相対的に強い有形力はダメ、相対的に弱い有形力ならOKという考え方なんですかね。
個人的にはその有形力が相手にとって危険、恐怖と感じることであれば、相対的に弱い有形力だろうと控えますけど。

道路交通法上、追い越し時の側方間隔については具体的な数値の規定はありません

28条4項。

追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

平たく言えば、状況に応じてできる限り安全な速度と方法であればよい。
追い越しではなく追い抜きの場合は70条と考えられますが、内容としてはほぼ同じ。

「できる限り」というのは、判例では「支障のない範囲での客観的可能な限度」とされてます。

できる限りとは道路や交通の状況等をかんがみ支障のない範囲における可能な限度を意味すると解され、単に運転者の主観において可能な限度を持って足りると解すべきではない。

昭和46年9月14日 名古屋簡裁

自転車に対する側方間隔については、このような判例があります。

先日書いた記事について、コメントを頂いていたのですが、 ちょっと誤解されているのでは?と思うところがありまして...

時速40キロ、側方間隔95センチでふらつきもなく進行する大型車が自転車を追い抜きした事例ですが、無罪(業務上過失致死)。
道路交通法上、側方間隔の規定はないため、1.5m空けましょうというのはルールではなくマナーと言える

28条4項の規定をみていくと、例えば先行自転車が時速15キロでふらつきもなく進行していて、注意深く時速16キロ、側方間隔0.7mで追い越しする行為が違反と言えるのか?という問題になりますが、これも違反と言えるほどではない。

対して、自転車が先行車の車列の隙間ギリギリを抜ける行為。
先行車が停止中のケースもあれば、低速進行中のケースもある。

割り込みのような明確な違反はまず論外。

(割込み等の禁止)
第三十二条 車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。

ギリギリで通過する行為が、安全運転義務違反になりうるかどうかになる。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

「他人に危害を及ぼさないような」とありますが、こういう人もいます。

いろんな人
いろんな人
自転車が車に当たっても車が傷つくだけでドライバーに危害を及ぼすことなんてないから、ギリギリを抜ける行為は安全運転義務違反にならない。

他人に危害を及すというのは、直接的な外力のみではなく、例えば急ブレーキを踏ませたり、急に進路を変えさせることも含まれます。
代表例でいうと、桶川のひょっこりはんと呼ばれた方。

普段使っている判例検索サイトで自転車の安全運転義務違反について調べていたのですが、よーく見たらこれはあの有名な自転車あおり運転の判決文ですね...

70条違反は、故意犯、過失犯、妨害運転罪と3つの罰則がありますが、ひょっこりはんさんは故意の70条違反と妨害運転罪としての70条違反で有罪。

「他人に危害を及ぼさないような」なので、危害を及ぼし得る可能性で成立する。

時速15キロ程度で車が進行していて、後続自転車が左のギリギリの隙間をすり抜けて行く行為をしたとして。
車のドライバーとしてはビックリするし危ないと思っても、急ブレーキしなきゃいけないような状況でもなければ70条違反になるわけでもない。
しかも自転車の70条違反なんてめったに取り締まりしてないことからしても、なおさら成立することもない。

18条1項の規定も、必ず自転車通行分の左側端を空けておく義務までは課してないというのが法解釈。中には判例の意味を取り違えて、常に2m空ける義務があると思っている人すらいますが、無能。

ずいぶん前にも書いたのですが、 道路交通法18条1項の解釈、どうも勘違いする人がいるような。 18条1項 ...

けどそこそこのドライバーは、二輪車が左からすり抜けて行く行為はマナーが悪いと考える。
そりゃ車を傷つけてそのまま逃走する自転車とかもいますし、傷つく可能性がある至近距離通過されたくないのは理解できる。

結局のところ、「自転車に対して1.5m空けましょう」というマナーと、「左のギリギリを抜けるのはやめましょう」というマナー同士の話になる。
「自転車の側方間隔は1.5m空けろよ!」という自転車乗りの願望と、「左のギリギリをすり抜けるのはやめてくれ!」というドライバーの願望の話とも言える。

冒頭の話に戻ります。

有形力の大小だけに目を向けて、相対的に強い有形力だからダメ、相対的に弱い有形力だからOKみたいな考え方って、何ら相互理解には向かわないと思う。
どちらも明確に違反と言えるかは相当怪しいマナー論の世界だけど、されたくないことはしないというのが根本的な原理なのであって、違反ではないから何をしてもいいわけでもない。

まあ、違反ではないなら何しても構わないと考える人もいるので、人間って難しいですけどね笑。

こんな程度で、シェアロードとか語れるのかな?

相互理解

車は違反ばかりだろ!とか、チャリは違反ばかりだろ!とか批判しあったところで何が生まれるのかな?というのは疑問。
双方の違反については、それぞれ批判されてしかるべきことではあるけど、違反とは言えない領域について求めるならば、相互理解、ギブアンドテイクがないと無理だと思う。

自転車に対して1.5m側方間隔を取らなければならないというルールもないし。
弱者保護という観点で、より大きな有形力を持つほうが注意義務は大きくなるにせよ、だからといって有形力が相対的に小さい者が法律に触れない範囲で好き勝手してもいいのか?という疑問。

こんなもんで正当化する奴がいる状況では、車が自転車への側方間隔を1.5m空けるという「マナー」をしたいとは思わないんじゃないですかね。
判例では、大型車が時速40キロ、側方間隔0.95mでも違反ではないとして無罪(業務上過失致死傷)ですが、民事での過失は別にすると、1m程度空いていれば仮に死亡事故が起きても無罪(先行自転車がふらつきもなく進行していた場合)。

車と自転車の間に、無駄な対立を煽ったところで何が生まれるのわかりませんが、有形力が相対的に小さいからといって擁護する程度であれば、車も違反とは言えない範囲の側方通過しかしないのでは?

まあ、1.5m空けることをルールだと思い込んでいる人もいたりするので、ルール自体の勉強もしないと無駄なトラブルの元になりかねないけど。

マナー論って難しいですが、他人にマナーを求めるならまずは自分から、なのかなと思う。
一方的に「やれ」と言われてもな。
マナー論って、人それぞれ何がマナーなのか考え方が違うので、ルールのような統一見解を出せないという弱点はありますが(側方間隔についてはそもそもルールでも曖昧ですが笑)、だからこそ難しい。
一方的に非難しているだけでマナーが改善するようには思わないけど。

どちらもルールではないマナー面なので、力の大小でグダグダ言い訳するよりも、「お互いこうしましょう」のほうがはるかに建設的だと思う。
「お前は強者だから1.5m空けろよ、俺は弱者だから至近距離でもすり抜けするわ」では、話を聞いてくれそうな気配は微塵も感じない。
それとも、1.5mがルールだと思い込んでいるタイプなんかな?

されたくないプレイはしない、というのが普遍的な原則のように思ってますが、自分がされるのは嫌で、自分がするのはOKという人もいますしね。
典型例は、車道で車の至近距離追い抜きに怒っている割には、歩道では歩行者のすぐ横を減速もせずに通過するようなプレイ。
サイクリングロード(風)では、お決まりの歩行者が持つ不満ですよね。

怪我をしている身からすると、本当に恐怖なので歩道でもちゃんとして欲しいのですが・・・
自分が怪我をして弱者となったときに、こういうのって本当に痛感します。
自転車からしたら事故が起こっていないという結果論だけで見ているのか?と思ったりするけど、こっちからすれば恐怖でしかない。

あっ、もちろん私はそういう雑で危険なプレイはしませんよ。
自分がされたくないので。




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