ちょっと前にですが、電動キックボードのうち実証実験(シェアリング)の事故数と違反数が公表されていると書いたのですが、
あくまでも実証実験の電動キックボードの内容のみ。
個人所有の電動キックボード(合法、違法問わず)も含めた事故数や違反数も公表されています。
警察庁発表内容
まずは警察庁(全国)の発表内容。
データを見る限り、実証実験(小型特殊自動車扱い)と個人所有(原付扱い)を分けていない模様。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/20220225-3.pdf
違反内容のみピックアップします。
データは令和3年9月~12月の4ヶ月間。
違反内容 | 件数 |
整備不良 | 113件(37%) |
無免許 | 69件(23%) |
通行区分 | 66件(22%) |
その他 | 56件(18%) |
総数 | 304件 |
実証実験の電動キックボードは特定事業者のレンタル品限定な上、免許情報を登録しないと乗れないため、無免許とか整備不良(ナンバーや保安装備等)については個人所有の電動キックボードを指すと考えられます。
ただし、数としては極少とは思いますが、免許保有者がレンタルしたものを免許を保有しない者に又貸しし、無免許&飲酒運転で検挙された事例もあります。
「通行区分違反」というのは基本的には歩道通行のこと。
都道府県別のデータだと、警視庁(東京都)が31%、大阪府が24%と大都市圏で過半数を越えています。
これについては、各警察間の温度差、実証実験の対象地域、個人所有の普及数なども関係すると思います。
とりあえず全国のデータ(令和3年9月~12月)の違反総数は304件、1日あたりにすると2.5件程度でしょうか。
見つからなかった違反はノーカウントです。
事故件数は一旦置いときますが、重大事故として以下の二件が書いてあります。
○ ひき逃げ重傷事故(令和3年5月・大阪府大阪市)
歩道通行中に歩行者に衝突し、そのまま逃走(歩行者は重傷)
⇒ 自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)、道路交通法違反により逮捕
○ 無免許運転軽傷事故(令和3年6月・東京都新宿区)
無免許運転で信号無視をして交差点に進入し、出会い頭にタクシーと衝突
(タクシーの乗客は軽傷)
⇒ 自動車運転処罰法違反(無免許危険運転致傷)、自動車損害賠償保障法違反、道路交通法違反により書類送致
大阪のひき逃げについては、こちらの報道の件と思われますが、個人所有の電動キックボードだったはず。
東京都の件は「無免許」「自賠法違反」とあるように、個人所有の電動キックボードかと。
警視庁(東京都)の事故と違反
こちらの記事にて書いてあるのですが、
公表と書いたのですが、いろいろ調べても元データは見つからず笑。
「電動キックボード等の交通安全に関する連絡協議会」という中で公表されたデータなのかも。
警視庁管内なので東京都のデータで、こちらは令和3年中なので一年間になります。
人身(個人所有) | 16件 |
人身(実証実験) | 2件 |
人身事故合計 | 18件 |
物損(個人所有) | 37件 |
物損(実証実験) | 13件 |
物損事故合計 | 50件 |
人身事故の内訳です。
電動キックボードの運転者が負傷 | 11件(重傷1件) |
歩行者が負傷 | 3件 |
自転車が負傷 | 4件 |
人身事故合計 | 18件 |
8月26日に渋谷区内で発生した、酒気帯び状態でスマートフォンを操作しながら救急車に追突した物損事故はシェアリング(実証実験)だそうです。
実証実験は免許持ちしか乗れないシステムですが、免許保有者が酒食らってながらスマホで救急車の業務を妨害してますね。
終わってます。
ただし実証実験は小型特殊自動車扱いですから、酒気帯び運転は免停や免取の対象になるわけです。
実証実験のデータを踏まえて
実証実験はレンタル事業者のもの限定なので、データ管理されています。
以前記事にて取り上げたデータを再掲します。
https://www.mlit.go.jp/common/001469846.pdf
合計(4月~10月の7ヶ月間) | |
乗車人数 | 85869人 |
乗車時間 | 73546時間 |
走行距離 | 539041km |
事故件数 | 11件 |
違反件数 | 80件 |
なお、事故については内容が簡単に公開されてます。
1、歩行者接触(怪我なし)
2、逆走してきた自転車から接触(怪我なし)
3、停車車両へ接触(怪我なし、軽微物損あり)
4、自損転倒(打撲、捻挫)
5、後方からきた自転車から接触(怪我なし)
6、停車車両へ追突(怪我なし、軽微物損あり)
7、自転車へ追突(先方捻挫)
8、停車車両へ追突(怪我なし、軽微物損あり)
9、自損転倒(打撲)
10、自損転倒(擦り傷)
11、不注意運転タクシーから接触(打撲、物損なし)
一つ前の警視庁の内容にあった「酒食らって救急車に追突」については、この報道内容と一致しています。
なので「停車車両へ追突(怪我なし、軽微物損あり)」の中に含まれているのかと。
データの収集期間が警察庁、警視庁、シェアリング事業者でバラバラなことに注意。
実証実験はスタートが4月だったのでこのような期間でのデータなのかと。
混乱が
一応、こちらにまとめてあります。
実証実験は特定事業者のレンタル品を「小型特殊自動車」とみなす特例なので二段階右折禁止。
今年可決された話は、時速20キロしかでない電動キックボードについて、「特定小型原動機付自転車」という新しい区分を作り、16歳以上は免許無しで乗れる。
ただし法律の施行はまだ先です。
未施行の特定小型については、「自転車通行可の標識がある歩道」を「時速6キロモードにしたことが外見上明らか」なら歩道通行可能になります。
今のところ、時速6キロモードの識別はランプ表示により見分ける予定です。
そのため、「自転車通行可の標識がない歩道」か「歩道モードのランプ表示がないキックボード」が歩道通行していたら違反確定します。
青切符なので、警察官が違反キックボードを見つけ次第躊躇せずに切符を切ることが可能。
上で警察庁、警察庁のデータを挙げましたが、整備不良と無免許については、理屈の上では「特定小型電動キックボード」では発生しない。
通行区分違反については、要は時速15キロの実証実験キックボードとか、時速30キロ以上出る原付扱いのキックボードが歩道通行すると事故発生時には重大事故になりやすい。
特定小型電動キックボードについても、理屈の上では通行区分違反が起こります。
歩道モードにしてないか、通行不可の歩道を走った場合です。
ただまあ、時速6キロで歩道を走る分には重大事故には繋がりにくいのも事実。
今のところ、電動キックボードについては反対論が多数だと思うのですが、確かにもう一年くらい実証実験を積み重ねてから法律改正に向かうべきだったと思うし、免許を持たない人も含めた公道での実証実験も出来たら良かったのにと考えます。
というよりも、免許制は維持した方が良かった。
私が思うにですが、免許制を維持すると飲酒運転で免停や免取になるため、車を運転できなくなる。
これがある種の抑止力になると思うのね。
電動キックボードの違反で免取とか、頭悪すぎなので控えようとする力は働く。
まあ、実証実験でも飲酒運転&ながらスマホで救急車にアタックする人はいますが。
この電動キックボード問題、詳しい事故内容と件数、違反内容と件数をちゃんと国民に開示した上で議論が進むべきだったと思うし、実証実験と特定小型で通行方法(右折方法や歩道通行など)が違うことから、なおさら混乱を招いているように思う。
全部理解して語っている人がどれくらいいるのやら。
そういう意味では、きちんと国民にデータ開示しないことにも問題があると思う。
ちなみに特定小型は自賠責必須、ナンバープレートあり。
無保険でナンバープレートもない違法原付がうようよするよりはマシ。
改正道路交通法の施行には2年くらいあけるみたいだけど、まだまだ混乱はありそう。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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