ちょっと前にこのような事故がありました。
この日から始まった「秋の全国交通安全運動」ののぼり旗を歩道に立てる作業をしていて、反対車線の道路脇に止めた自分の車に戻ろうと、バイパスを横断中だったということです。
現場は片側1車線の緩やかなカーブで、近くに信号や横断歩道はありませんでした。
Yahoo!ニュースYahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
ご冥福をお祈りいたします。
Contents
そもそもの原因
事故の原因については一切報道されてませんが、みんな大好きだよね。
「妄想性事故原因の創作活動」が。
このタイプの事故原因として、よくあるパターンとしてはこれ。
②歩行者の直前横断(13条1項)
横断禁止でもないし、付近に横断歩道がないそうでせら「横断という行為」自体は何ら問題ありません。
まあ、「バイパスだから横断するな」とか「横断歩行者等妨害」などと支離滅裂で根拠がない話をする人までいるので目も当てられない。
以前、直前横断の定義についてはこちらでも書きました。
通常走行中の自動車の直前又は直後というのは、その自動車の制動距離(空走時間を含む)付近以内の距離をいうと解される。
執務資料道路交通法解説
車が仮に制限速度を超過していた場合には、超過していた速度ベースでの制動距離以内で横断することも直前横断になります。
ただし13条1項には罰則規定がないため、歩行者の直前横断が問題になるのは民事の話。
直前横断について検討するに、原告は、被告車両が時速約45キロメートルで走行中、被告車両の停止距離約20.77mよりもかなり短い約15m手前で飛び出して横断を試みたものであって、客観的に危険発生のおそれが高いといえるから、道路交通法13条1項で禁じられている「車両等の直前」で横断したということができる。
原告は、被告が制限速度を遵守した上、前方を注視していれば、衝突前に被告車両を停止させることが十分可能であったとして、原告の直前横断を否定するが、制限速度違反や前方注視義務の不遵守は、被告側の過失として考慮されるべき事柄であり、原告の過失として考慮すべき直前横断の問題と区別して考えなければならないものであるから、原告の主張は理由がない。
松山地裁 平成17年6月16日
歩行者は、車両等の直前で道路を横断してはならないところ(道路交通法13条1項)、同規定にいう「直前」とは、当該車両等の速度との関連において客観的に危険を生ずるおそれがあると認められる範囲をいうものと解するのが相当である。そして、(中略)を総合すると、原告は、進路左右からの接近車両の有無、動静を確認すべき注意義務を怠り、しかも、本件車両との衝突の危険を生ずるおそれがある範囲内で本件道路を横断したものであると認められ
金沢地裁 平成30年5月9日
ドライバーが負う刑事責任は、歩行者の横断開始を視認できた地点と車の距離をまずは計算するになりますが、制限速度内で通行していてすぐに急制動した場合に回避可能性があるかないかが判断の分かれ目。
で、それが本題なのではなくてさ。
脳内道路交通法違反の一例。
○バイパスは横断してはダメ→デマ
○横断歩行者等妨害になる→デマ
○直前横断したに違いない→そんな報道はない
○車がスピード出しすぎ→そんな報道はない
架空の道路交通法違反の創設プレイか、妄想性違反認定のどっちかしかないw
ひどいな、あんたら。
何がアレなのか?
架空の道路交通法違反の創設プレイについてもそうなんだけど、
警察官の職務を妨害する輩まで登場する始末。
まあ、警察官が「歩道逆走」で切符を切る時代なので、もはや一般人に正しい法の適用を求めることに無理があるのか…
まあ「警察庁に聞いた」としながらも実際には聞いてないジャーナリストもいる時代なので、理解に苦しむことは多々ありますが、少なくとも本件事故については、以下のことしか明らかにはなっていない。
○付近に横断歩道はない
○横断禁止道路ではない
○残念なことに死亡事故が起きてしまった
架空の道路交通法違反を創作するプレイや、妄想性違反認定プレイ。
架空or妄想の世界は怖いわ。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント