なんか心配性の方もいるようなので。
ちょっと前にも書いた件。
自転車横断帯がない「歩行者自転車専用信号」
「自転車専用」の信号がある場合、車道を通行する自転車は、車道の信号に従うとアウトになります。
歩道を通行する自転車は歩行者用信号機に従えばいいのですが、確かに車道を通行する自転車にはトラップです。
で、自転車横断帯が撤去されたにも関わらず、信号に「歩行者自転車専用」がついている場合。
紛らわしいので。
なお、以前も書いたように、車道を通行する自転車からこんな小さな補助標識が見えるわけないじゃないですか。
車道を通行する自転車としても、少なくとも交差点手前50mくらいの地点で「従うべき信号機」が明らかじゃないと、危ないだけ。
そうじゃないと、補助標識の有無を確認しながら交差点に向かうことになり、やたら横断歩道側を注視しなければならなくなる。
つまりは前方不注視状態で補助標識を探すことになるので、そもそも「交差点安全進行義務」すら果たせない。
第三十六条
4 車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
何個の目があれば足りるのやら。
で、横断歩行者妨害等をしない限り、従うべき信号を間違っても「悪質な違反とは言えない」はず。
それでも赤切符を切るという警察官がいるなら、以下の最高裁判例を元に「違法な取締り」だと主張してよいです。
ところで、道路交通法施行令七条三項には、公安委員会が道路標識を設置するときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように設置しなければならない旨を規定しており、このことに鑑みても、道路標識は、ただ見えさえすればよいというものではなく、歩行者、車両等の運転者が、いかなる通行を規制するのか容易に判別できる方法で設置すべきものであることはいうまでもない。しかるに本件道路標識は、前示のように、本件交差点の南東角にある元A銀行建物の角からfを約四・七米も南に入つた場所に設置されていたばかりでなく、その標識(矢印をもつて一方通行の方向を示しているもの)は、正確に西を指示しておらず、約四〇度も西南方を指示していたというのである。そのうえ本件記録によれば、本件当時、fも北から南への一方通行と指定されていたこと、本件標識のすぐ前(交差点寄り)にはfの駐車禁止をも示すものと認められる道路標識があつて、本件標識はその背後に一部重なり合うようにして設置されていたことが明らかであるから、その設置場所、設置状況にてらし、本件標識か、eの東から西への一方通行を明らかに指示するものとはとうてい認められず、むしろfの北から南への一方通行を指示するもののように見られるのである。このような標識の設置方法は、道路交通法施行令の前記法条に違反するものであり、右標識によつては、fを南下して本件交差点を左折し、eを東行しょうとする車両等の運転者に対し、eの東行を禁止する旨の通行規制が、適法かつ有効になされているものということはできないといわなければならない。したがつて、被告人が、本件道路標識を見落して、eが東から西への一方通行と指定されていることに気付かず、右道路を東に向けて前記原動機付自転車を運転通行したとしても、なんら過失による車両等の通行禁止、制限違反の罪は成立しないものというべきである。それにもかかわらず、本件道路標識が、右eの東から西への一方通行のみを指示しているものであることは疑いを容れないところであるとし、その設置が違法でないことを前提として、右の罪が成立するものとした原判決および同判決の維持した第一審判決は、事実誤認、ないし法令の解釈を誤つて被告事件が罪とならないのにこれを有罪とした違法があり、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、刑訴法四一一条一号、三号により、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月15日
ところで、道路交通法施行令七条三項は、公安委員会が道路標識を設置するときは、歩行者、車両または路面電車がその前方から見やすいように設置しなければならない旨を規定しており、このことにかんがみても、道路標識は、ただ見えさえすればよいというものではなく、歩行者、車両等の運転者が、いかなる車両のいかなる通行を規制するのかが容易に判別できる方法で設置すべきものであることはいうまでもない。
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月17日
信号無視は成立しません。
赤切符を切るなら公安委員会に苦情入れます(笑顔)。
「悪質な」違反
先日配信されたこの記事について、誤解を生んでいるように思う。
東京都内の大通りにかかるスクランブル交差点。昨年10月、会社員の女性(36)は、自転車で交差点を渡ったところで警察官に呼び止められた。女性は青信号で渡ったのに、なぜ止められたのか理解できなかった。
警察官は「青だったのは歩行者用の信号です。車道の信号は赤でしたよ。守らなきゃいけないのは、車道の信号です」と説明。自転車は道交法上、「軽車両」に分類されるため、原則、車道を走り、車道の信号に従わなくてはならない。女性は歩道の青信号で渡っており、「その認識が全くなかった」という。
さらに、歩道を渡っていた男性が自転車を避けるような動きをしたため、「歩行者妨害」とも指摘され、女性は赤切符を切られた。数日後、警察署で取り調べを受け、書類送検されたが、起訴はされなかった。
Yahoo!ニュースYahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
この件だと思うけど、
自転車で赤切符切られた話
先日呟いたらレポート需要があるとのことなので、つらつら書いていきたいと思います。主観と心の声がうるさいと思いますが、気が向いたら読んでみてください。
遡ること3週間ほど前
仕事が休みだった義理母に0歳息子を預けて、自転車で買い出しに出ました。— あしゃ (@asami2692) November 17, 2021
さらに言うと、車道を渡ったとこ横断歩道を渡っていた作業着のおじさんの通行を妨げたというのである。おっと、という感じに、すこし足を止めた、とのことだった。
信号無視と、歩行者妨害。
2つ重なってしまうと、さすがに見過ごすことができない、とのことだった。おっさん!!!😂
— あしゃ (@asami2692) November 17, 2021
この方、読めばわかるように従うべき信号を間違えたことが即赤切符なんじゃなくて、横断歩行者妨害が加わったことが赤切符の要因。
歩道を通行する自転車を見ていても平気で歩行者の横ギリギリを通行する自転車なんてザラだけどさ、
歩行者の横スレスレを通って「何ら問題だと感じてない」ところに問題があるのでは?
上の報道の件も、単に従うべき信号を間違えたくらいでは悪質性なんてなくて、赤切符の対象にはならない。
実際のところ、警視庁が「悪質な」違反に対して赤切符運用を開始後の報道。
「待ってください。赤ですよ」。31日午前、警視庁が池袋駅近くの交差点で実施した自転車利用者の公開取り締まりで、40代の男性が警察官に呼び止められた。男性はすぐ「すみません」と自転車を止めた。悪質ではなかったことから警察官は「自転車指導警告カード」を渡し、安全運転を促した。
Yahoo!ニュースYahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
ほら、指導警告票止まりだし。
ちょっと面白いアンケート調査があります。
電動キックボードに乗らない1100人に対するアンケート結果です。
https://www.mlit.go.jp/common/001469846.pdf
・歩行中に、原付に危険を感じる人 48%、自転車に危険を感じる人71%、キックボードに危険を感じる人 48%
・車を運転中に、原付に危険を感じる人 59%、自転車に危険を感じる人70%、キックボードに危険を感じる人 61%
・バイク運転中に、原付に危険を感じる人 61%、自転車に危険を感じる人68%、キックボードに危険を感じる人 61%
・自転車運転中に、原付に危険を感じる人 50%、自転車に危険を感じる人62%、キックボードに危険を感じる人 49%
歩行中 | 車を運転中 | バイクを運転中 | 自転車を運転中 | |
原付に危険を感じる | 48% | 59% | 61% | 50% |
自転車に危険を感じる | 71% | 70% | 68% | 62% |
キックボードに危険を感じる | 48% | 61% | 61% | 49% |
自転車の印象悪すぎワロタ笑。
安定した高率をマーク。
歩行者の横スレスレを通っても、何ら問題だと感じてない自転車が多いからですよ。
サイクリングロードで歩行者からクレームがつくのも基本的には同じ理由。
報道の件も、横断歩行者のスレスレを通過したから赤切符なワケで、信号を間違えたことが大要素じゃないから。
自転車乗りだって、すぐ横スレスレをクルマが通過したらキレるじゃん。同じだよ。
従うべき信号を間違えたくらいで赤切符になるわけじゃなくて、間違えたとしても歩行者のスレスレを通るようなマネをしなきゃ赤切符にはならないと思うが。
赤切符運用について、過度に恐れ過ぎているようにしか思えない。
おかしな規制については
自転車に乗っていると、おかしな交通規制が掛かっていることなんてあります。
おかしな規制だと思うなら、管轄の警察署に連絡して撤去を促したほうがよい。
ちなみにですが、行政機関に撤去を促すとき。
「危ないだろ撤去しろ!」だと公務員の方々は心を閉ざします。
「なんでこのような規制が掛かっているのか理由を知りたい」というスタンスで話し合いに持ち込むほうが、結果的にうまくいきます。
理由を知りたい→回答→でもこういうケースでは危ないのでは?→検討→撤去みたいな流れ。
赤切符運用を過大に捉えすぎだし、そもそもネット上では独自道路交通法の創作活動が著しいし笑。
「車道を走らないと赤切符」については、マジな話、これ。
ルール自体をきちんと把握している人が少ないのも問題だけど、自転車横断帯が撤去された後の「自転車専用信号」については、もはや意味がないので撤去を促すしかないです。
なんかおかしな方向に流されている気がするけど、「悪質な違反」が赤切符の対象なのであって、間違えたくらいではならないから。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
「歩行者・自転車専用」はちょっとね、「側道専用」のような標記された信号もあるんだから「歩道専用」で良いじゃないかと思う、そうすれば歩道を走行するものは「人」も「自転車」もわかりやすくてよいのにね。
コメントありがとうございます。
確かにそれです。
警察庁の人たちが机上で考えたクソ法律なので実態に合わないとしか。