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「歩行者自転車専用」信号は、何をしたかったのか?

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「歩行者自転車専用」の補助標識がある場合、車道通行自転車、歩道通行自転車ともに「歩行者自転車専用」信号に従う義務がありますが、

 

理不尽な「自転車の信号」。
こちらの続きです。 クソデマ 平成30年施行規則改正ガー!などと全く関係ない話を根拠にするアホがいるみたいですが、正しくは下記の通り。 警察庁の解説。 (1)信号機に従う義務 自転車は、道路を通行する際は、信号機等に従わなければいけません。...

 

人間の解釈って…「特定の交通」とは。
ちょっと笑った件。 これがついているときは、歩道通行自転車、車道通行自転車ともに歩行者用灯器に従うことになりますが、根拠は施行令2条5項。 5 特定の交通についてのみ意味が表示される信号が他の信号と同時に表示されている場合における当該他の信...

 

この2つ、イマイチ何の話を書いたのかわからないと指摘を受けまして、「デマ」とは何の話なのか?と質問を頂きました。
それプラス、そもそも「歩行者自転車専用」信号とは何をしたかったのか解説してみます。

 

※施行令2条の「対面」がわからない方はまずはこちら。

 

なぜ?「自転車は横断歩道を乗ったまま横断しちゃダメ」という説が定着した理由。
いまだに「自転車は横断歩道を横断するときに、乗ったままではダメ」と理解している人がいます。 これは誤りでして、 同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せない 平成30年1月18日 福岡高裁 このように、自転車に乗...

 

「歩行者自転車専用信号」と対面の範囲。
先日、某巨大なメディアからある件について情報提供の依頼がありまして、そんなもん自分で調べろやとは言わずに情報提供しました。 その際ついでなので、 ・ダブル左折レーン ・左折専用通行帯と直進自転車 ・歩行者自転車専用信号 などの「車道を通行す...

 

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「歩行者自転車専用」信号の意義

「歩行者自転車専用」信号は昭和53年に自転車横断帯と普通自転車の交差点進入禁止規制を新設した際に作ったもの。
当時の発想は、自転車を一度歩道に上げてから自転車横断帯を使って交差点を通行させたかったようですが、自転車横断帯と交差点進入禁止規制は必ずしもセットではなく、しかも「歩行者自転車専用信号」も別規制。

 

平成20年施行令改正以前は、横断歩道を通行する自転車が従うべき信号機は歩行者用ではなく「車両用三灯式」でした。

「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について|e-Govパブリック・コメント
パブリックコメントの「「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について」に関する意見募集の実施についての詳細です。

イ 横断歩道を進行する普通自転車が従うべき信号灯火を定めることについて

 

この項目に対しては、
○ 自転車に乗ったまま横断歩道を通行することはできないはずであり、また、自転車で横断歩道を通行することは大変危険。
といった御意見がありました。

今回の改正は、道路交通法の一部を改正する法律(平成19年法律第90号。以下「改正法」といいます。)により、例外的に歩道を通行することができる普通自転車の範囲を明確化したことに伴い、自転車横断帯が設置されていない交差点において、これらの普通自転車が横断歩道を進行して道路を横断することが見込まれることを踏まえ、横断歩道を通行する普通自転車が従うべき信号を車両用でなく歩行者用灯器とするものです。
道路交通法においては、普通自転車が横断歩道を通行することを禁止する規定はありませんが、横断歩道は歩行者の横断のための場所であることから、交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3号)において、横断歩道の通行について、歩行者の通行を妨げてはならない旨を周知し、歩行者の安全確保を図ることとしています。

 

警察庁パブリックコメント

自転車横断帯は横断歩道の横にあるわけですが、歩行者は歩行者用信号に従い、自転車横断帯を通行する自転車は車両用三灯式信号に従うのでは意味がわからなくなる。
なので「歩行者自転車専用」の補助標識を歩行者用信号につけることで調整した。

隣接する横断歩道・自転車横断帯なのに、歩行者信号が赤、車両用三灯式が青なら自転車のみ横断可能では意味がわからないので、「歩行者自転車専用」の補助標識をつけて従うべき信号を一つにしたわけですね。

 

で。
自転車横断帯の撤去が進んでも、なぜか「歩行者自転車専用」の補助標識が残ったケースが多々あります。
これらは本来「別規制」なので補助標識のみ残しても信号の効力は変わりませんが、補助標識については撤去し忘れの場合と、あえて残した場合があります。

 

自転車横断帯+交差点進入禁止規制は、車道を通行する自転車と左折車の巻き込み防止という意味合いもあったのですが、あえて補助標識を残すことで「クルマ・自転車分離信号」にもなりうる。

 

左折車は車両用三灯式信号で動かし、自転車は「歩行者自転車専用信号」で動かすことで巻き込み防止になりうるのですが、

直進したい自転車の待機する場所を作ることなく「歩行者自転車専用信号」で分離しても意味不明になる。本来、「歩行者自転車専用信号」で左折車と自転車を分離信号にしたいなら、

こんな感じで自転車の待機場所がないと成立しない。

 

結局、「歩行者自転車専用」の補助標識が見えにくいことや、分離信号として活用するにしても自転車の待機場所がないことなどから現状では「大失敗の政策」と言わざるを得ない。

前回記事の内容

警察庁などの解説をみても、「歩行者自転車専用」があるときには車道通行自転車は「歩行者自転車専用」信号に従う義務があるのは明らか。

 

警察庁の解説。

(1)信号機に従う義務
自転車は、道路を通行する際は、信号機等に従わなければいけません。
特に、横断歩道を進行して道路を横断する場合や、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は、歩行者用信号機に従わなければいけません。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/img/3-13.pdf

交通の方法に関する教則

(1) 信号が青になつてから横断しましよう。

なお、「歩行者・自転車専用」と表示されている歩行者用信号機がある場合や横断歩道を進行する場合は、歩行者用信号機の信号に従わなければなりません。

福岡県警。

https://www.police.pref.fukuoka.jp/data/open/cnt/3/15517/1/jitensyasingou.pdf

ところが意味不明な話をし始めたのは、いつも法律解釈では定評()があるT氏ですよ。

x.com
https://twitter.com/toro24f/status/1711323684542234834

彼の理屈はこう。

>>>>>>>
この標識がある場合に、施行令2条5項の規定により「同時に表示される車両用三灯式信号」から自転車に対する意味を失う(つまり全ての自転車は歩行者自転車専用信号に従う)。

施行令2条5項。

5 特定の交通についてのみ意味が表示される信号が他の信号と同時に表示されている場合における当該他の信号の意味は、当該特定の交通について表示されないものとする。

しかし5項でいう「特定の交通」とは、同3項のことを指し4項は指していないと主張。

(信号の意味等)
第二条
3 公安委員会が信号機について、当該信号機の信号が特定の交通に対してのみ意味を表示するものである旨を内閣府令で定めるところにより表示した場合における信号機の第一項の表に掲げる信号の意味は、当該信号機について表示される特定の交通についてのみ表示されるものとする。
4 公安委員会が、人の形の記号を有する青色の灯火、人の形の記号を有する青色の灯火の点滅又は人の形の記号を有する赤色の灯火の信号を表示する信号機について、当該信号機の信号が歩行者等、特定小型原動機付自転車及び自転車に対して意味を表示するものである旨を内閣府令で定めるところにより表示した場合における当該信号の意味は、次の表の上欄に掲げる信号の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。

そして3項に関わる施行規則が平成30年に改正されて、「歩行者自転車専用」の補助標識は4項に関するものになったから、「歩行者自転車専用」の補助標識がある場合には2条5項により車両用三灯式信号から自転車への意味を排除しないと主張。

以上が彼の主張です。

>>>>>>

 

そもそも間違っているのは、令2条5項でいう「特定の交通」については、4項の「当該信号機の信号が歩行者等、特定小型原動機付自転車及び自転車に対して意味を表示するもの」を含んでいるのよ。
平成30年施行規則改正以前から。

 

交通の方法に関する教則でも、「特定の交通」に関する補助標識として「歩行者自転車専用」を入れてますし

元々「歩行者自転車専用」の補助標識は令2条4項の標識なので、30年施行規則改正なんてそもそも何の意味もない。
だから警察庁の解説が変わらずこれ。

 

警察庁の解説。

(1)信号機に従う義務
自転車は、道路を通行する際は、信号機等に従わなければいけません。
特に、横断歩道を進行して道路を横断する場合や、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は、歩行者用信号機に従わなければいけません。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/img/3-13.pdf

交通の方法に関する教則

(1) 信号が青になつてから横断しましよう。

なお、「歩行者・自転車専用」と表示されている歩行者用信号機がある場合や横断歩道を進行する場合は、歩行者用信号機の信号に従わなければなりません。

もし彼の主張通りなら、例えば「車道を通行するときは車道の信号、歩道を通行するときや横断歩道を渡るときは歩行者用信号に従いましょう」みたいにすれば済む。
けどそうはなってないわけで、「令2条5項は3項の場合のみ」という解釈がそもそも間違い。

 

相変わらず珍説ばかりでビックリしますが、平成30年施行規則改正は単に整理しただけです。

第3 その他の改正関係
1 趣旨
歩行者用信号機に「斜め横断専用」の標示(府令別記様式第1の2の「2」に規定される標示をいう。以下同じ。)が設置されている場合であっても、交差点を斜めに横断する普通自転車は、当該歩行者用信号機に従わなければならないものとするものである。
2 内容
「斜め横断専用」の標示の様式に係る規定を改正し、当該標示は、交差点において斜めに道路を横断する普通自転車に対しても表示されるものとした(府令別記様式第1の2)。
このほか、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)第2条第4項の規定による都道府県公安委員会の表示に当たる標示を明確化するため、規定を整理した(府令第3条の2、別記様式第1の2及び別記様式第1の2の2)。

https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20180611_040.pdf

元々4項の標識だし、さらにいえば5項でいう「特定の交通」に4項の場合を含めて解釈してきたのだから、平成30年施行規則改正は解釈に影響しない。
事実、警察の解説内容は何も変わらない上に、特定小型原付が新設された際にも「特定小型」は「歩行者自転車専用信号」に従う義務を明確化したように、あくまでも分離信号としての活路を考えていたのでしょう。

 

要は彼の主張だと、警察庁ホームページ、交通の方法に関する教則、各都道府県警のホームページの内容と合致しない上に、特定小型原付の解説とも合致しない。

特に、次の場合には、歩行者用信号機に従わなければなりません。

歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示がある場合
・特例特定小型原動機付自転車が横断歩道を進行して道路を横断する場合

特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について|警察庁Webサイト

彼が根本的に法令解釈を誤っただけですが、いつも通りの素晴らしい実力でビックリします。

その上で

「歩行者自転車専用信号」が車道を通行する自転車からすればむしろ逆効果に働いているわけで、おかしな補助標識は撤去するように促すか、左折レーンとの関係から「分離信号」として活用したいなら、自転車の待機場所を作るかの問題。

支離滅裂な珍説を唱えたところで警察庁の解説とは合致しないし、事故が起きたときに珍説を披露しても論破されて終了するだけ。
珍説で正当化したところで誰にもメリットがないので、正攻法としては標識の撤去を促したり、分離信号として活用したいなら相応の構造にするように促すしかないのよ。

 

ド素人が珍説を掲げたところで、正しい解釈が変わるわけじゃないのだから。

 

先日の外国人のケースにしても、

 

難解なルールが自転車の動きをおかしくする。
さて質問です。 この場合、誰に何の違反があるのでしょうか? 正解はCMのあと、すぐ。 正解は これは正直なところ自転車からすると酷なんですが、自転車の信号無視になります。 理由はシンプルで、歩行者用灯器に「歩行者自転車専用」がついているため...

 

事故れば「信号無視の過失」がまあまあつくわけで、意味がわからないのよ。
そういう悲劇については、意味不明な間違い解釈を広めたところで変わらない。
間違い解釈を鵜呑みにしたところで、過失が無くなるわけじゃないのだから。

 

しかしまあ、全く関係ない施行規則の改正を曲解できるのは、いつも通りの素晴らしい実力ですよね。
他の解説などと整合性を無視して独自解釈できるのは、なかなか真似できない。

 

そして「見えない標識は無効」の件はまた別問題で、正規の法律解釈があった上での問題。
解釈の問題と、規制が適切なのかの問題と、違法性を阻却する要素の問題がごちゃごちゃになっている様子をみると、本当に解決したいと思っているのか疑わしく思う。

 

ということで、不合理な「歩行者自転車専用」標識を見つけたら、管轄署に撤去を促すなど行動しましょう。
誰かがいずれ不利益を食らうだけなので。


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