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逆走自転車を発見したときには、回避行動を取らないと違反になりうる。

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逆走自転車って本当にどうしようもないなと同情するし、回避不可能な状況で逆走自転車が来たら話にならないのですが、

悲惨ですよね。

 

日本の法律って、なぜか逆走自転車に対する保護が強い気がする。

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逆走自転車に対する民事の考え方

何度も書いてますが、生活道路において逆走自転車と順走自転車が衝突した場合の基本過失割合は50:50

足踏み式自転車においては、左側通行が徹底されているとはいえない現状であること、足踏み式自転車においては通常速度がそれほど速くないことから、自己の進路上に対向する足踏み式自転車が存在したとしても、停止や回避の措置により衝突を回避することは極めて容易であることなどを考慮すると、本件道路のような狭路で自転車が正面衝突した場合、過失割合は、基本的には五分五分と考えるべきである。

 

大阪地裁 平成28年9月16日

ルールって何のためにあるのか考えてしまいますが、これが基本。
そもそも、過失とは道路交通法違反のみならず予見可能性と回避可能性の問題になりますが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故について、順走自転車の過失を100%にした判例もあります(横浜地裁 平成17年1月31日)。

 

逆走自転車と衝突したのに、順走自転車が過失100%??
ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなのですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故で、順走側に過失100%を付けている判例を紹介していました。 古い記事のようですし、何か...

 

なぜこうなるかというと、逆走自転車が停止して事故回避義務を果たしたのに対し、順走自転車は逆走自転車との距離が8mに迫るまで逆走自転車の存在に気がついていない。
つまりは前方不注視。

この判例、なぜか順走自転車側から「相手方の逆走行為」について主張されていないので、逆走行為は過失とは認定されていない。
けど仮に主張したとしても、停止して事故回避義務を果たしたほうが有利に働く。

 

法律を守って左側通行したのに「両者痛み分け」みたいな考え方になるのが民事。
ホントろくなことがない。
ほかにも逆走自転車の過失を小さくした判例とか普通にあります。

 

「逆走自転車」と「一時不停止自転車」が衝突した判例。
逆走自転車は正しく左側通行している自転車からみても脅威ですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した場合の過失割合は 50:50 が基本線。 逆走自転車と一時不停止自転車が衝突した場合、どのような過失割合になるのでしょうか? 逆走自転車と一時不停...

 

ロードバイクが破損したときに、日本が得意とする「減価償却ガー!」という話も関わるので、ホントろくなことがありません。

逆走自転車に対する刑事の考え方

逆走自転車と順走自転車が衝突したときに、刑事責任としてどのように扱われるのかについては参考になる判例があります。

 

事件の概要ですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故2件について、順走自転車に安全運転義務違反(70条)、重過失致傷罪(刑法211条後段)の嫌疑があるとして書類送検。
順走自転車が「犯罪の嫌疑がないのに書類送検したことは違法」だとして国家賠償請求訴訟を提起した事件です。

 

事故の詳細はこちら。

 

<1>

原告(順走) 逆走自転車
書類送検容疑 70条違反(安全運転義務違反) 17条4項違反(左側通行義務違反)
処分 不起訴(起訴猶予)

<2>

原告(順走) 逆走自転車
書類送検容疑 刑法211条後段(重過失傷害) 刑法211条後段(重過失傷害)
処分 罪名を過失傷害(刑法209条)に変更の上、不起訴(親告罪の告訴欠如) 不起訴(起訴猶予)

※重過失傷害罪は非親告罪ですが過失傷害罪は親告罪のため、相手方から刑事告訴がないと公訴提起できません。

 

国家賠償請求訴訟はハードルが高いですが、裁判所は原告の請求を棄却。

原告は、本件交差点を自転車に乗車して左折進行するに際し、進行方向前方の状況を確認すべき義務を負っていたにもかかわらず、本件交差点を左折進行するに際し、前方の状況の確認を怠り、速度を保ったまま左折進行した結果、対向して進行してきた訴外Bが運転する自転車と正面衝突したことが認められ、その際、衝突回避措置も取られていなかったことが認められる。
そうすると、第1事故について、警察官が原告について安全運転義務違反(道路交通法70条)の嫌疑があるとして事件を検察官に送致した判断に誤りがあるとは認められない。

 

東京地裁 令和3年7月2日

他にも逆走自転車と衝突した順走自転車が書類送検された事例を聞いてますし、まあまあ一般的な運用なのかもしれません。
書類送検なんてカジュアルに行われるだけなんで。

 

安全運転義務違反は濫用禁止だと昭和35年に国会で付帯決議が出ているのですが…

安全運転義務は具体的義務規定でまかないきれないところを補充する意味で設けられたものであるが、その規定の仕方はきわめて抽象的で明確を欠き(特に同法第70条後段についてその感が強い)、それ故に拡大して解釈されるおそれも大きい。(道路交通法立法の際に衆参両院の各地方行政委員会は安全運転の一般原則に関する規準の設定を付帯決議をして要望している。従つてその解釈にあたつては罪刑法定主義の趣旨に則り、厳格に解釈すべきであり、拡大して解釈、適用することを厳に慎しまなければならない。
右のような趣旨から、同法第70条後段により可罰的とされるのは、道路、交通、当該車両等の具体的状況のもとで、一般的にみて事故に結びつく蓋然性の強い危険な速度方法による運転行為に限られるものと考える。(具体的に物件事故が起きたからといつて常に安全運転義務違反があるといえないことはいうまでもない。)

 

いわき簡裁 昭和42年1月15日

まあ、「有罪にしたわけではない。我々は書類を検察庁に送っただけだ。」という話になるので、嫌疑があれば書類送検することが違法とは言えないことになりますが、行政上は違反としてカウントされ累積があれば違反者講習に呼び出されます。

逆走自転車に対する対処

結局、逆走自転車と衝突すると民事も刑事もろくなことにならないので、発見次第左側端に寄せて停止して待つのが正解になりますが、だいたいは双方停止してお見合い状態になる。

 

お見合い状態になったら笑顔で罵声を浴びせるなど好きにすればいいですが、回避し難い逆走事故でも容赦なく「50:50っすね」みたいな扱いにされかねないので、逆走自転車は本当に困るとしか言い様がないのですが、上で紹介した行政訴訟は代理人弁護士を立てずに訴訟したと思われます。
よほど怒りがあったものと思われますが、民事の「基本過失割合は五分五分だ!」というのと、刑事の「安全運転義務違反の濫用」は何とかならないもんなのかと不思議に思っています。

 

そういやこんな逆走事故もありましたね。

過失割合は50:50で確定(東京地裁 平成20年6月5日)。

 

先日の判例についてちょっと補足。
先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提から。 ・原告(ロードバイク)は車道を通行していた。 ・被告(自転車)は歩道を通行していた。 ・歩道には配電ボックスがあり、被告の身長...

 

ホント世の中不思議です。
法律を守って左側通行した自転車に対する保護が弱くなるという謎。

 


コメント

  1. T.K より:

    逆走自転車、なかなか減りませんね。わたしもこちらで過失割合五分五分という記事を見て驚愕して以来、後ろからクルマも来てないしかわせるかな、などと余計なことは考えずに、ぴったり左端に止めてやり過ごしています。そう言えば先日、ついにヘルメット着用ママチャリの逆走に出くわしました。思わずニヤついてしまったので気持ち悪いと思われたかもしれません…

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      過失割合はなんとかならないもんかと疑問に思いますが、なんともならないのですよね…
      諦めて左側端に寄せて譲るしかないですが、なぜ違法者に譲るのか意味がわからないという…

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