以前書いた記事について、なんだかよくわからないメールを頂いたのですが…
なぜこの自転車道は、ポールと縁石で封鎖されているのか?こちらの件。 自転車道の入口がポールと縁石で封鎖されています。 「これじゃ歩道からしか自転車道に入れないじゃん!おかしいだろ」と思うでしょう。 一応、理由があってこの形です。 自転車道が「変」な理由 まず、自転車道がない状態で考えてみます。...
こんな自転車道が満足なんですかね。かなり危険にしか見えないけど。先日の続きです。 かなり怖くね? こちらが激狭自転車道(双方向通行)。 双方向通行の自転車道(交通法2条1項3号の3)で、普通自転車は通行義務がありますが、第一車線を大型車が通行すると、こんなんですよ? 自転車道ではなく歩道を通行する自転車...
オランダなどでは分離された自転車道が最も安全なインフラだと論文がいくつも出ている。海外の論文を読んでないのだろうと思われますが、浅はかではないか?自転車道を作ることに反対しないで欲しい。
えーと、何か勘違いしてませんかね?
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勘違いしてませんかね?
何か勘違いしているようにしか思えないのですが、様々な記事で書いた内容を総合するとこうですよ。
✕ 「自転車道を作るな」
○ 「中途半端な自転車道や使いにくい自転車道を作れば自転車が不便になる。作るならちゃんとして」
以前から読解力について不思議に思っているのですが、例えばこれ。
ちゃんと読めばわかるように、「横断歩道を横断しようとする自転車に停止すべきではない」なんて話をしているのではなくて、「38条1項後段の義務はないが、事故回避義務まで免除するものではない」という話を単に法律上の観点から解説しただけ。
けどなぜか読み違えて発狂してくる人がいたりする。
話を戻しますが、自転車道の件。
その「海外の論文」とやらについては何を指すのか知りませんが、「ちゃんとした自転車道」を前提にした論文だとしたら「ちゃんとしてない使い勝手が悪い自転車道」についても当てはめるのはムリがある。
なのでどんな論文なのか提示してくださいな~とお願いしたのですが、
「論文ガー!」もいいんだけど、どういう自転車道を前提に書いた論文なのか明らかにしないまま「自転車道は最も安全なインフラだ!」と言われても。
自転車道なので双方向通行になりますが、左車線の半分が路肩のコンクリートブロックになっていて、自転車同士の離合すら困難な自転車道について「最も安全だ」と言われましても。
しまいには車道から自転車道への入口は封鎖されていて、一度歩道に上がってから自転車道に進入する仕組みになっていますが、狭い上に路肩のコンクリートブロックを通行させられたり、車道、歩道、自転車道と複雑な経路を辿らされる自転車道と、ちゃんとした自転車道について考察したのではないかと思わしき論文を同視するのはいくらなんでもバカげているように思うのですが…
繰り返しますが、こちらが書いた内容はこれ。
✕ 「自転車道を作るな」
○ 「中途半端な自転車道や使いにくい自転車道を作れば自転車が不便になる。作るならちゃんとして」
日本には自転車道がほとんどないと認識していますが、自転車道の中で自転車同士が正面衝突した事故はいくつか知ってます。
要はどちらかが逆走していたことが疑われる事故になりますが、例えばこんなのとか。
そして過失割合はいつものこれです。
左側通行について必ずしも徹底されてない現状があることからすると、中央部分をはみ出したことをそれほど大きく評価することは相当ではない
大阪地裁 平成30年11月16日
この判例においては逆走自転車が60%、順走自転車が40%。
ルール守って左側通行している自転車がバカを見る仕組みだからやるせない。
で。
冒頭の自転車道についてですが、問題点は多い。
・車道通行自転車は複雑な経路を辿り自転車道に進入することになる(危険)。
・狭すぎて自転車同士の離合が困難(危険)。
・自転車道については普通自転車のみに「通行義務」があるが、非普通自転車が車道を通行すると「自転車道を走れ」などと非難されがち。
・そもそも普通自転車にしても通行義務があるのかないのか一見してわからないケースが多い。
・一度作られた自転車道については、重大事故でも起きない限りは見直しされない。
「作るならちゃんとして」というだけの話を、何か勘違いしているのではなかろうか。
本当に不思議
例えばここ。
歩道の中に突如自転車道が現れます。
車道を通行していた自転車は自転車道の存在に気がつかずに車道を通行してしまうと思われますが、自転車道がある場合には普通自転車が車道を通行すると違反になるため、仮にクルマが追突してきた場合であっても自転車には通行区分違反の過失が付くことが想定されます。
なので車道通行自転車が何かあったときに不利益を被るリスクがあるのだから、それも考慮して誘導するとか、構造的に分かりやすくするとか、そもそも「自転車道」の定義と構造が不一致なので法律から見直ししてくれとかそういう話になりますが、なぜか全然違う論点にすり替えられてしまう。
そもそもこの自転車道については、やたら広い歩道を分離しています。
元々歩道を通行していた自転車からすれば、この自転車道ができたことと「構造分離によるクルマとの隔離によるメリット」は何ら関係ない。
元々歩道を通行していた自転車なのだから。
単に歩行者との交錯リスクが減った程度の話に過ぎない。
車道を通行していた自転車からすると、
②通行義務があるのかないのかわからない
③自転車道の存在に気がついても、既に柵で分離されていて進入できない
④事故ったときには「通行区分違反の過失」として損害を受ける
などリスクがあるのだから、それらをきちんとしろというだけの話。
けど噛みついてくる人は全然違う論点にすり替えるだけ。
全然違う論点にすり替える人の心理はいまだ理解に苦しむ。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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