読者様から質問を頂いたのですが、

教えてください。
タイムリーなネタなので、たぶんこの件じゃないかと勘ぐる私w
この電動キックボードに乗ってる方、ちゃんと信号守ってて偉いんだけど、そこは首都高の入口なので(赤でも侵入できる)塞いじゃダメ。標識がわからないのかクラクション鳴らされても気が付かない。そして後続の自転車は端っから信号を守る気がないという。 pic.twitter.com/zFH1ZWEVgk
— ミノ (@Nohara_Kei) February 7, 2024
これ、以前同じ交差点について解説した気がする。
「常時左折可」の意味
「常時左折可」は標識令に規定された標識ではなく、イメージ的には信号の一部です。
施行令2条に規定されています。
第二条
2 交差点において公安委員会が内閣府令で定めるところにより左折することができる旨を表示した場合におけるその交差点に設置された信号機の前項の表に掲げる黄色の灯火又は赤色の灯火の信号の意味は、それぞれの信号により停止位置をこえて進行してはならないこととされている車両に対し、その車両が左折することができることを含むものとする。
この「常時左折可」の標示板は、あくまでも信号の意味を変えるもの。
本来赤信号は「車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと」と規定しているところに、この標示板があるときは
赤信号や黄色信号の意味に「左折することができる」という意味を付け加えるのが「常時左折可」。
なので信号の意味を変える標示板という認識のほうが正しい。

「ダメ絶対」の赤信号の意味を「ちょっとだけならいいよ」に変えてしまう魔法のような標示板です。
「常時左折可」と直進したい特定小型原付や自転車
特定小型原付と自転車(特定小型原付等)は、直進する際にも第一通行帯を通行する義務があるので(35条1項、20条1項)、
直進したい特定小型原付等が第一通行帯を通行して赤信号で停止すると、後続左折車とバッティングします。
じゃあどこで信号待ちするのがいいのか?
「D」については通行帯違反になるのでアウト。
で、動画のようにツヨツヨメンタルで青信号に変わるまで塞いだとしても違反にはなりませんが、
要は「赤信号」は「車両等」に対し「停止位置を越えるな」と規定しているのであって、以下は合法です。
○「A」もしくは第二通行帯の前に行く
・停止位置まで乗ったまま進行
↓
・降りて「歩行者クラスチェンジ」を発動させて停止位置を越える
↓
・第二通行帯の前まで歩いていき
↓
・再度乗車する
○横断歩道に向かう
・停止位置まで乗ったまま進行
↓
・降りて「歩行者クラスチェンジ」を発動させて停止位置を越える
↓
・歩道に上がる
なので手順を踏めば「A」でも、第二通行帯の前でも構いません。
第二通行帯の前だと通行帯違反になるのでは?と思う人もいるかもしれませんが、車両通行帯の定義はこう。
停止線より前の「交差点内」には車両通行帯の道路標示はないので、停止線より前の部分は通行帯ではありません。
道路標示で示されてないので。
そのまま塞いで待つのもいいし、歩行者クラスチェンジを活用して停止位置を越えるのもよし。
まあ、こんな構造にした東京都が悪いですよ。
たまに第二通行帯の前に止まっている自転車をみて、「信号無視!通行帯違反!」と発狂する人がいますが、歩行者クラスチェンジで停止線を越えて、通行帯の前の「通行帯がない部分」で再度乗車すると、なんとビックリ!?
信号無視にも通行帯違反にもならない。
まあ、乗車したまま同じプレイをしたら違法、歩行者クラスチェンジプレイなら合法と分ける意味もない気がしますが。
禁断のプレイを
特定小型原付は横幅が60センチまでとなり、60センチを越えたら一般原付になります。
横幅を増やして一般原付にクラスチェンジして、第二通行帯(直進レーン)に進んだらどうなるのですかね笑。



免許ある?
一般原付なら免許が必要だよ。

今は特定小型原付だから免許もヘルメットも不要です!

こんなやり取りになるのか、それとも特定小型原付⇔一般原付のクラスチェンジをした件で問題になるのかはわかりません。
折り畳みミラーを解放して横幅を60センチ以上にして、特定小型原付から一般原付にクラスチェンジし、瞬時にヘルメットを装着すれば第二通行帯から通行しても問題ないのだろうか?
何か違う問題が起きそうな気もするけど、特定小型原付⇔一般原付のクラスチェンジはやっぱりまずいでしょうね笑。
頭がいい人なら謎のクラスチェンジプレイを開発しかねない気がしますが、1台で二度おいしいみたいなプレイを考案するよりも、まずは交差点の構造を見直したほうがよろしいかと。
特定小型原付の横幅を増やして一般原付にクラスチェンジして直進レーンに進行したら、通行帯違反「だけ」は成立しなくなります。
代わりにノーヘルだとかややこしくなりますが。
特定小型原付は歩行者クラスチェンジのほか、一般原付クラスチェンジもできるとしたらある意味凄いけど、特定小型原付⇔一般原付のクラスチェンジはちょっと問題が大きいのでやめましょう。

法律で遊ぶとすると、とんでもなくファンタスティックなプレイが可能になる気がしますが、特定小型原付⇔一般原付のクラスチェンジは何かしら問題が起きるはず。
なので横幅増やして一般原付にクラスチェンジしてから第二通行帯を通行するようなことはやめよう笑。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
役所(原付一種と特定原付は市役所)で特定原付で登録してるので幅変えても特定原付です。
原付一種と特定原付ではナンバープレートの大きさが違うのでわかります。
コメントありがとうございます。
特定小型原付には幅の制限があるので、60センチを越えたら一般原付になります。
なので仮に横幅増やしたら一般原付なのに特定小型原付のナンバープレートをつけているという点でもおかしくなります。
違法改造の特定原付ですね
コメントありがとうございます。
サイズオーバーしている認識がないままであったら特定小型原付の違法改造という話も通りますが、サイズオーバーして一般原付になることを認識していたなら一般原付として処理されます。
故意がどこにあるのか?の問題になりますが…
今晩は。
速度計付いてない特定原付は原付一種にクラスチェンジ出来ないみたいです。
そして有るか分からないが最高時速20キロちょうどの特定原付の原付一種へのクラスチェンジはナンバー灯が要るようです。
4月から自賠責が今まで原付だったのが特定原付用に新しく出来るのでクラスチェンジ楽しむのはそれまでのようですね。
https://bike-sup.com/meter-violation/
https://bike-news.jp/post/237187
コメントありがとうございます。
恐れ入りますが、そこは無関係です。
例えばですが、スピードメーターがついていない時速20キロまでしか出ない電動キックボードを特定小型原付としてナンバーを取得したあとに、不正改造して30キロまで出るようにした。
それを「特定小型原付の不正改造」とも取れるし、「一般原付の保安基準不足等(自賠責保険の問題も含め)」とも取れます。
どちらで捉えるか?については認識の問題にしかならないので、力説されているポイントが違います。
記事でも書いたように、クラスチェンジしたとして「通行帯の問題」はクリア出来ても違う問題(保安基準等)には問題が出ます。
「特定小型原付の保安基準違反」と捉えるか、「一般原付の保安基準違反」と捉えるかについては、本人の認識がどっちなのかの問題でしかありません(刑法ですから)。
クラスチェンジしたとして通行帯の問題「だけ」がクリアされ違う問題が出るという話をしているので、論点がズレていると思いますよ。
ママチャリのスタンドを両足式に変えたら車体長が190cmを越えたので、道路外の駐輪場に出入りする際に赤い人形の信号(歩自専用ではない)を無視して道路横断するのをたまにやってます(笑
車体の寸法を変えてクラスチェンジというのも案外アリなのでは?(このケースの解決法としては使えませんが…)
コメントありがとうございます。
確かにその方法は歩行者用信号に従う義務がなくなりますが、「違反風」に見られることだけが難点なんですよね笑